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Topsy Turvy WORLDs  作者: JAVELIN
序章:[An Fantasy With Encounter]
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EPISODE:047 [戦略的撤退]

戦略的撤退ほど負け惜しみを語る言葉は無いと思うの。

 動きづらいので先ずフェルを引っ剥がし、《念話》で逃走経路を伝えながら走り出す。


(私達・が・来た・通路・に・逃げる・今すぐ・に)


 あんな魔法撃ってくる奴の横なんて通り抜けられるか!!


 フェルも即座に走り、2人揃って通路に入る。通路の中は、沢山の焼け焦げた死体と不死者(アンデッド)がおり、それらが進路の妨害を行ってくるが、《魔闘法》で身体強化をして、避けて、殴って、魔法を撃って、出せる限りのスピードを保つ。


 しかし、あのルキアとかいう女は私達を逃がす決断はせず、さっきの爆発する魔法の廉価版を打ち込んできた。


 だが、お生憎様。爆発するタイプの魔法の対処方法は古来より決まってるんだよなぁ。

 不死者共の隙間を縫って直進してくる魔法に、私はそばに居た動く死体(ゾンビ)君を力ずく投げつける。


 すると、当然のように爆発四散し周囲に四肢と内臓が飛び散った。それと同時に発生した爆風に少し背中を押されたが、抗わずに身を任せて一瞬だけ加速する。


 しかし、後ろをみる余裕も無かったのか、フェルはこの攻撃を予測できなかったようで、少しばかり体制を崩してしまう。


 私は出来たばかりの余裕を使い、《闇球(ダークボール)》を飛んでくる光魔法に当てて対処することで、フェルのサポートをする。


 女はこの魔法があまり効果が無いとみるや、撃つ魔法を私が顔を抉られたあの光線の魔法に切り替えてきた。


 更に、女自身も走って追い掛けてくる。


 …って速いな!?


 死体を踏みつけたくないのか、死体を避けて踏む場所を選びながら追いかけてきているので、遅くなっているが、それでもとんでもない速さだ。


 それに、光線の魔法が思ったよりもうざい。不死者共を簡単に貫通してくるから、奴らが壁としての機能をしない。

 それどころか、奴らの体の所為で攻撃が見えなくて、突然貫通してきた光線に当たりそうになったことが何回も有った。


 ジュッ。


 うわッ!肩掠ったぞ!?

 ていうかジュッって効果音は何だよ。何で一瞬で肉が焼けるんだよ!

 上手に焼けました~。ってか!?


 必死に追撃を避けて逃げると広間の入り口が見えてくる。


 よし。確か上に続く階段に繋がっている通路はここを右に曲がる筈だ。これで一旦女の魔法の射線から外れる事が出来る。


 しかしながら、それでは根本的な問題解決には至らない。

 何か有るはずだ。


 …そういえばフェルが居た部屋の手前の広間のあのクソローブ。そこの広間に行き着くまでの通路の天井や壁を崩落させてなかったか?


 ゲームではダンジョンの壁とかって壊せない場合が殆どだが、このゲームでは壊せる?


 …やってみるか。


 広間に辿り着くと、通路からは見えない位置へと直ぐに移動する。


 立ち止まった私に対して、フェルが必死な様子で私を引っ張ろうとする。


(貴女・やはり・馬鹿・?・早く・逃げる)


 こいつやっぱり失礼だよな?


(お前・先・に・行け・私・は・ここ・で・足止め・を・する・最初・に・会った・場所・で・合流・な・?)


(無駄・無駄・死ぬ・だけ)


(策・は・ある・私・が・死ぬ・と・思う・?)


(……・分かった)


 それで良い。

 てか結構時間ロスしたんだけど。


 フェルに借りパクしていたあの呪われたナイフを投げ渡す。


(どうか・生きて)


 なんか今生の別れみたいになってない?死ぬ予定は無いんだが。


 …まあいいか。


 フェルが通路の先に進んでいくのを確認すると、あの女の方に向き直り、集中するためにも、一度深呼吸をする。


 時間が無いため、直ぐに終えると、体の中を巡っている熱いもの、魔力に対して働きかける。

 使用する魔法は《闇球》。

 何時もはただ一定の量を手に集めるだけであったが、今回は体のほぼ全ての魔力を両手に集める。


 魔力とかいう、こんな未知の感覚を表現しているこのゲームには一々脱帽するな…。


 このゲームの魔法はただ選択して撃つのではなく、ちゃんと魔力というものを操って放つ。これは人によって得意不得意が有り、一部の人々(雑魚)から批判されていた。その事には触れずに、非合理的なシステムではないか、と。

 しかし、その一見非合理的な方法(システム)が、このゲームでの魔法の自由度を格段に跳ね上げさせた。


 例えば、魔力を普段よりも多く込めて威力を強めたり、複数発放ったり、といった風に。


 今回は前者を使う。


 魔法陣が体の前に浮かび上がり、魔力を込めていくと、その輝きが増して魔法陣自体も大きくなってくる。


 魔力を何時も以上に込めている所為だろうか、手が震えてきた。

 更にその震えが強くなってくると、今度は手に衝撃がきて、至る所から腐った黒色の血が吹き出してくる。


 魔法陣も明滅を繰り返し、不安定そうだ。


 …これ…、大丈夫か……?


 いやッ…、大丈夫な筈だ!!寧ろそうでないと困る!!!


 手に掛かっている負荷を無視して、数秒後、やっと殆どの魔力が両手に集まった。


 あの女はもうすぐそこまで来ていた。


 だが、一足遅かったな。


「《闇球(ダークボール)》」



 普段よりも数倍大きい闇の球体が、普段よりも数倍大きい魔法陣から放たれる。


 それは、女が標的ではなく、標的は通路の天井。


 それが天井に当たると、あのクソローブが放ったあの攻撃と同じ大きさの爆発を起こし、通路の天井のが次々に崩落していく。


 女は驚愕の表情を浮かべていて、完全に予想していなかったようだ。


 一泡吹かせたようで、気分が良くなる。

 女に分かるように、私は嘲笑ってみせた。


 それと同時に一気に通路の天井が崩れ、女の姿は見えなくなった。



 あ~…。やってやったぜ。対戦あざしたー。


 しかし、手がなんかちょっと痺れるな。上手く動かせない。


 手をグッパーさせて、どのくらいかを詳しく見る。更に、念の為他にも影響が無いか体の様子を確かめる。


 手だけか。じゃあ、あの魔力を集め過ぎたのが原因か。無理矢理した感じだったもんな。もっと練習すればこうならなくなるか?


 ーーッ。ガアァァン。


 突如として、崩落による瓦礫で塞がれた通路から異音と共に衝撃が伝わってくる。


 は?


 ドオォオォン。ゴオォン。


 衝撃で粉塵が宙に舞う。


 …おいおい……。


 ドゴオォォン。


 刹那、瓦礫の隙間から眩い光が漏れ出て、それとほぼ同時に瓦礫がこちら側に吹っ飛んできた。


 間一髪でそれを避けると、開通された通路に目をやる。




 巻き上がっている粉塵のカーテンから現れたのは、


 あの女だった。




 God damn(ガッデム)!!!


 空気読めよ!クソ(アマ)ァ!!

格好良く《闇球》って言っても、実際はア"ーア"ー言ってるだけっていうね…。


うん…。


ダサッ(笑)




ん?誰か来たようだ。

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