EPISODE:045 [最初は最悪]
何か間違いが有れば、どのエピソードでもいいので報告下さい。
目の前の動死体系統の魔物の今までの反応を見て、この個体が明らかに『知能持ち』の『異常個体』の魔物だということが分かった。
『異常個体』というのは、通常の魔物とは違って明らかに特異な点を持つものを指す名称のこと。個体数はとても少なくて、見つけようと思って見つけられるものでは全然ない。
その中でも『知能持ち』は珍しくて、『合成喰魔』や、『狂争獣』、『偏食個体』といった、主な『異常個体』と比べると、その数は更に少なくなる。
けれども、その危険度はそれらを大きく上回る。知能ならば〈矮小鬼〉や〈豚鬼〉も持っているが、比べ物にならないくらいに賢い。
前に一度だけ、『知能持ち』を相手にしたことがある。あの戦闘は酷かった。
相手はDランクの〈人形師蜘蛛〉だった。
殺した相手を《腐敗耐性》の糸で覆って、その死体を操るという厄介な習性を持つ魔物で、私達討伐隊が着いた頃には村人を皆殺しにしていた。
奴は虫なのに、喜悦の表情を浮かべて死体の損壊を気にせずに弄んでいた。
当時、まだ青かった私はそれに怒って、討伐隊の仲間の制止の声を無視して突っ走り、森の中に誘われてそのまま返り討ちにあってしまった。
言い訳でしかないが、森の中には無数の罠が仕掛けられていて、奴は村人達の死体を肉盾にしながら、ヒットアンドアウェイをしてきたんだ。
あの時は間一髪で仲間が助けてくれて、体勢を立て直す為に逃げ帰った。
そして、もう一度討伐する為に村に行くと、奴は姿を消していた。
組合長が言うには、何度も私達を退けられてもより強い者が来るだけだと察して、姿を眩ませたのではないか、とのこと。
その後、B級冒険者パーティー「青輝の雫」があの魔物を無事に討伐したと聞いた。
私は自分がとても情けなかった。自らの行動で仲間を危険に晒してしまった。あの事でいくら魔物に強い恨みが有ると言っても、決して褒められる行動では無かった。
けれども、今の私はあの頃とは違う!毎日欠かさずに地獄のような鍛錬をして、B級冒険者にもなった。
今更あのような愚行は冒さない。
そう意気込んで、私は情報を集める為に奴に対して《鑑定》をした。
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〈高位動死体〉 LV15 名前:セツナ
状態:普通
能力値
HP:518/725 MP:197/240
物理攻撃力:495
物理防御力:270
平均速度力:220
魔法攻撃力:190
魔法防御力:170
スキル
《最低位不死者》《鑑定》《魔力感知》《魔力操作》《HP回復速度上昇LV4》《MP回復速度上昇LV1》《ダッシュLV2》《暗視LV3》《魔闘法LV2》《疫病攻撃LV1》《捨て身LV2》《槍術LV5》《斧術LV2》《体術LV2》《闇魔法LV4》《叫び声LV2》《体力LV5》《魔力LV3》《強力LV4》《堅固LV2》《敏捷LV4》《魔攻LV3》《魔防LV2》《光属性脆弱LV9》
称号
『最低位不死者』『腐乱体』『知恵アル魔物』『常在戦場』『同族殺し』『不死者殺し・最低位』
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これは…、こんなステータスで私の魔法を避けたのか!?
名前があるのは、『知能持ち』が自分自身に名付けをする事は少なくないので、別に驚くことでは無いけれど、思ったよりも随分と能力値が低い。
光属性の魔法は他の属性のものと比べて、その放たれるスピードは最速。それをあの短時間で、魔法陣の角度から弾道を予測して避けた。
そんな事が出来るくらいの上位種と思っていたのだけど、蓋を開けてみれば、一度しか進化していない高位動死体とある。
つまり、さっきのはただの技量。
とんでもない危険個体だと再認識する。このまま育つとBランク以上は確定。もしかしたらAランクにまで届くかもしれない。
『常在戦場』や『同族殺し』などの称号を持っている事から、闘争を求める『狂争獣』でもある可能性がある。
そんな厄災の芽は早い内に摘み取っておかなければならない。
色々と思考していると、突然不快感が体を走る。
この不快感には覚えがある。スキルの《鑑定》で自らのステータスを覗き見られた時に起こるものだ。
《鑑定》まで持っているのか…。
さっきまでは雑魚の相手だったので加減していたが、出し惜しみは無しで確実に消し去る。
LV2の《閃光魔法》―ーー
「暁光の煌めき」
ランクの説明
強さ→魔物→冒険者の順(?)で説明。Cランク以上はまたの機会に。
・Gランク:雑魚。子供(異世界基準の浮浪子)と同じくらいの戦闘力で、冒険者の新人が最初に狩る魔物がこれくらい。
・Fランク:一般人でも、10人で囲んで武器でリンチにすれば大した怪我無く倒せる強さ。1対1だとやや魔物有利。
・Eランク:大体の魔物が(数的に)この等級で、調子に乗った新人がコイツ等に殺される。普通の冒険者からすると問題無く倒せるが、油断すれば逆に殺される。
・Dランク:村は潰せるかな…?といった感じの強さ。街は無理。このランクが、冒険者を辞めるか、続けるか、死ぬかの分水嶺。




