EPISODE:001 [終わりが始まる世界にて]
処女作です。
温かい目で見て下さい。
ある所の空の下で、2つの勢力が互いに睨み合っていた。
一方は人族で構成されているが、統一された鎧を着ている者達、小説などに登場する冒険者の様なものを着ている者達、中には装備全てバラバラな奇妙な格好をしている者など、かなりの数がいるが、軍隊と言うには統一感が無く、それぞれで一塊になっていた。
そして一方は、青紫色の肌に角が額から生えている典型的な魔族に、雷を纏う大鬼、悪魔などがおり、こちらは人族よりも数が少なく、やはり統一感が無かった。
しかし、そのどちらよりも奇妙なのは、両者の間に浮かぶ半透明の大きな板だった。その板には[開始まで10.54]と書かれており、その数字は1秒ごとに減っていっている。
所変わって、魔族側の一角にぽっかりと穴が空いている場所があり、その中心には1人の若い女の魔族が立っていた。年齢は女子高生くらいだろうか?その女は、周りから避けられていることを何とも思っておらず、少し退屈そうにしていた。するとそこに、女の名前を呼ぶ声がした。
「おーい、セツナ〜!!」
セツナは声の主を探すが何処にもおらず、空耳か?と思った瞬間、突然後ろからド~ンと強い衝撃が走った。
「セツナっ!!んっ…?どうしたんだ??」
セツナに後ろから抱きついてきたのは、まだ幼さが残るが、ボーイッシュな、セツナよりも少し小さい狼人の少女だった。
セツナは、またか…と思い、苛立たしげに狼人の少女にこう言った。
「ライカさー、前にやった時、もうしませんって言ったよな」
ライカはさっきのにこやか顔から一転、バツが悪そうな顔になった。
「えーと、言ったっけ?ハ、ハ、ハハっ⋯⋯」
ジーー⋯
セツナはライカを無言で見つめたが、急に興味を失ったかのように目線を外した。
「まあ良いか、次はやるなよ」
「もちろんっ!!」
ライカは食い気味にそう言った。
しかし、セツナはまたやるだろうな、と心の中で思った。ライカのそういう所は何時まで経っても直らないので、ライカを知る人はもう諦めている。
「ところで、他の奴らは?」
そうライカに問いかけると、
「あっ、忘れてた!!」
と言い、あわあわと慌て始めた。
それを見たセツナは、頭に手を当て呆れた顔で言った。
「忘れてたって⋯お前本当に馬鹿だな」
それを聞いたライカは怒り始め、セツナに対して反論を始めた。
「馬鹿とは何だっ、馬鹿とはっ!!それを言うならセツナの方がずっと馬鹿だろ!!」
「私の何処が馬鹿って言うんだよ!」
「前のイベントの時、みんなが止めるのを聞かないで、1人で突っ込んで行ったじゃないか!!」
「そっ、それは⋯⋯」
セツナは痛い所を突かれたと言うように、狼狽し始めた。
それをチャンスと思ったのか、ライカが更に言及しようと口を開いた瞬間、3メートルはあるゴーレムにゲンコツを落とされたライカは、地面をのたうち回った。
「痛ったーっ!!!!!痛ーーい!!」
後ろからゴーレムが近づいて来ていたのを見ていたセツナは、ライカには目にもくれず、ゴーレムに話しかけた。
「おっ、クリスタルじゃん。いやーこいつ役に立たなくてさっ。あいつらは何処に居るんだ?」
クリスタルと呼ばれたゴーレムは、その身体で器用に溜め息を吐き、
「モシヤト思イ来テミマシタガ、ヤハリデスカ⋯⋯ミンナハ、モウ集マッテマスヨ。マダ来テイナイノハセツナト、ユウダケデス」
「ユウ?あいつがまだ来てないのか?何時もならもう来ててもおかしくないだろ?」
ユウの性格を知っているセツナは驚いた。
しかし、ゲンコツから回復していたライカは大して驚いておらず、不思議そうな顔で言った。
「えっ、当然でしょ?ユウ、大事な用事があるから今回来れないって悔しがってたよ」
これに対して2人は驚き、
「エッ、聞イテナイデスヨ!?」
「はあ?私も聞いてないぞ?」
「えっ⋯みんなには連絡届いてないの?」
これには来ないと知っていたライカも驚いていた。しかし、すぐに落ち着きを取り戻した3人は、まあ
後で締めるかという結論になった。
そして、これ以上遅れたら仲間に煽られるのは必至なので、いい加減行くことにした。
「じゃあ、そろそろあいつらの所に行くか」
「アッ、ソウデシタネ」
「何でお後が忘れてるんだよ⋯⋯」
一話書くのに3日掛かりました。
投稿頻度は不定期で、一週間に一度ぐらいになりそうです。
出来たらその日には投稿します。