《水莽草》●神話短編小説
戦乱と飢饉に耐えられなくなった少女は、池のほとりで水莽草を食べた。
水莽草は猛毒を持つ毒草だった。少女の魂は肉体から離れ、化界へと向かった。
「あなたは水莽草を食べて自殺したのか?」と、少女と同じ姿の人物が現れた。
「私はこの世の苦しみを耐えられませんでした。死んで苦痛から解放されたいです。」
「本来であれば、私はあなたの命を奪うべきだ。しかし、私たち一心同体のため、もう行きなさい。」
少女は拒否した。
その人物は「あなたは死後の世界がどのようなものか知っているのか?」と問った。
「死後、あなたはここで代わりの人を殺し、魂を取ってから転生できるんだ。」
少女は驚いた。
魂を奪ったり命を奪ったりすることなんて、若い少女が考えられることではない。
急にその人物は本当の姿を現した。
彼は数年前の戦乱で亡くなった婚約者だ。
「人生は長く険しいものです。人間としての心を失わないでください。あの世はあなたにはまだ遠いのです。どうかご自愛ください。」
夢は消え、少女は目を覚ました。
彼女は再び希望を取り戻し、人生に立ち向かう決意をした。
この小説の霊感は、清の時代の中国の怪異小説集「聊斎志異」(りょうさいしい)の同タイトル《水莽草》より書いた話です。
中国も台湾も、人が死んだらすぐ転生することができず、特に自殺や、人間で苦しんで死んだ人は怨念が強く、化け物になるのです。
それらの化け物は転生したいなら、生きる人を掴んで殺して、魂を奪ってからできます。
この文化背景で、ショートショートの少女は人間で苦しんだから自殺したが、
死んだ婚約者は「死んでも苦しいことをやるんだ(人間の命を奪うこと)」と教えてあげました。