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174  作者: Nora_
9/10

09

「久しぶりに私が来ましたよー」

「遅いよ、もう一月二日なんだけど?」

「だって呼ばれなかったからね、ずっと待っていたんですよ私は」


 彼女はこっちの頭に手を置いてから「連絡してくれませんでしたけどね」と言ってきたが……。


「そういえば大晦日のときに侑紀を見たよ、手は繋いでいなかったね」

「きゃー、ストーカーがいるー」

「伊吹君に誘われて僕もあそこにいたんだ、千弥子ちゃんは参加しなかったけど」

「声をかけなさいよ、空気を読もうとしなくていいから」


 それはできない、多分あそこで話しかけていたら今日みたいに家に来たときに文句を言われていたはずだ、なにもしていなくても言われているわけだからきっとそうだろう。


「それよりさあ、今日は新作にお土産を持ってきたんだよね」

「お土産? 特になにかを持っている感じには見えないけど……」

「ちょっと待ってて」


 リビングから出ていった瞬間に分かってしまった、どうせ千弥子ちゃんに外で待ってもらっていたとかそういうことだ。

 風邪を引いてほしくないからなるべくそういうことはやめてほしいのだが、もう来てしまっているのであれば言っても仕方がないから黙って待っておくことにした。

 ……最近はこうやって待つことが多いな、それで損をしているというわけではないから構わないと言えば構わないが……。


「じゃーん、太田兄妹だよ!」

「……もしかして連れ出してきたの?」

「ううん、途中で出会っただけだよ、太田兄妹も新作のお家に用があったみたいだから一緒に歩いてきたの」


 なんだ、無理やりというわけではないのであれば問題はないか。

 それにしても会っている回数は恐らく少ないのにこのふたりは相変わらず侑紀と楽しそうに話すものだ。

 これだけ話せるなら伊吹君の方はもっと友達に囲まれていてもおかしくはないが、なんであんなことになっていたんだろうね。

 顔が怖かったとしても関わってみればすぐに中身まで怖いわけではないということが分かるのに本当に謎だ。


「よいしょっと、新作というソファはいい感じね」

「隣、空いてるよ?」

「そんなの見れば分かるわよ、歩いていたら冷えてしまったんだからあんたはあたためなければだめだの」

「んー、よく分からないな……」


 僕の妹でシスコンだったとしたら積極的にしていたかもしれないがそうではない、だからこういう接触だって結構危険なことだった。


「千弥子が悪い、俺が無理やり連れ出したから少し不機嫌なんだ」

「「あ、そうなんだ」」

「ああ、だからとりあえずは相手をしてやってくれ」


 相手をする分には問題ないから頷いておいた。

 何故か彼の横に立っていた侑紀がドヤ顔になっていて訳が分からなかったが。

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