言い聞かせられた
「魔王討伐から凱旋した幼馴染みの勇者に捨てられた」の第七話に次のような誤字報告をいただきました。
(現状)「言い聞かせられた」
(報告)「言い聞かされた」
せっかく報告してくださいましたが、いろいろ調べたり考えたりした結果、適用しないことにいたしました。
以下、割とどうでもよい国語文法の話になりますので、興味のないかたはスルーしてください。
実を言うと、報告内容を見た瞬間に泡をくって、即適用しそうになりました。が、ボタンクリックする直前に、「いや、でも間違いじゃないような気がする……」と少しだけ冷静になって思いとどまったのです。そして実際のところどうなのか、調べてみることにしました。
で、結論から言うと「言い聞かせられた」と「言い聞かされた」はどちらも間違いではありません。
「言い聞かせる」の受け身+過去形であれば「言い聞かせられた」だし、「言い聞かす」の受け身+過去形であれば「言い聞かされた」となります。
念のため青空文庫(著作権切れの著作を集めたオンライン文庫)で確認してみましたが、どちらも用例がありました。「言い聞かせられる」は島崎藤村の「夜明け前」でも使われているので、問題のない用法であろうと思います。
ただし問題のあるなしにかかわらず、「言い聞かす」のほうが一般的なら誤字報告を適用しておこうと思ったので、国語辞典を当たってみました。
すると「言い聞かせる」は手持ちの国語辞典すべて(広辞苑、大辞林、岩波国語辞典、三省堂国語辞典、新明解国語辞典)に見出しとしてありましたが、見出しに「言い聞かす」が収録されていたのは大辞林のみで、それも「言い聞かせる」の同義語という形での収録でした。
こういう調べ物には電子辞書がとても重宝します。複数の辞書を一発で横断検索してくれるので。
というわけで「言い聞かせる」のほうが標準的に使われている語だと判断したため、誤字報告の適用は見送った次第です。
調べているうちに「言い聞かせる」がゲシュタルト崩壊を起こして、自分でも何が正しいのかよくわからない状態になってしまいました。が、たぶんこれで大丈夫、のはず……。