元徴用工の謎⑥
この1950年の調査から、個別企業による供託状況が明らかになり、多くの供託金・未供託金がある事実がわかりました。
これで「元徴用工の話は嘘ばかり」という話はデマだということがはっきりしたと思います。
更に企業が朝鮮人労働者に在日資産を返却せずに供託したのは「昭和25年政令22号」による政府の指示だったこともわかりました。
供託する際に、氏名住所を記した供託名簿も作成されている事もわかっています。
しかし、この供託者名簿は公開されていません。
もし公開されれば、あまりの人数の多さに日本人は驚くでしょう。
朝鮮人戦時労働者に対する不信感も、随分薄れると思います。
また、元徴用工問題が、慰安婦問題や南京問題のような、左翼によるデマばかりではないことも、わかると思います。
日本国民が誤解してたことを反省すれば、きっと韓国も歩み寄ると思いますので、じつは元徴用工問題は慰安婦問題や南京問題よりずーと解決は楽なのです。
元徴用工問題の闇は、正しい知識から、解決への道が開けると、私は思います。
さて、労働省関係の未払金関係総額が、集計表の判明分だけでも、当時の金額で1732万円を超え(インフレ率60倍だとすると、1,039,200,000円)、債権者数は延べ15万人であることがわかりました。
大蔵省の別の集計表では、約1億1千万円(インフレ率60倍だとすると66億円)の未払金があると書かれています。
※ここで、また「強制連行真相究明ネットワーク」の恣意的な観測が書かれています(以下の1文)
「しかし、連行状況や逃亡の状況からみて、普通に実際数は、これ以上の未払い金があったと想像するのは容易でしょう」
ここで、重要なことがわかっています。
朝鮮人聯盟などに渡された金額は約1万7千人分、296万円(インフレ率60倍だとすると177,600,000円)だ、ということです。
※ここで朝鮮人連盟について少し解説しておこう。
在日本朝鮮人連盟は、1945年(昭和20年)10月15日に結成され、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)占領下の日本で1949年(昭和24年)9月8日に解散させられた日本在住の朝鮮人によって組織された団体。
朝鮮総連元幹部の金賛汀の著書『朝鮮総連』(新潮新書)では、朝鮮総連の前々身である朝連(在日本朝鮮人連盟)発足当時の活動資金の話が登場し、その請求額が4366万円だと書いてある。
しかし、この「経済協力 韓国105」によって、朝鮮人連盟に渡された金額は296万であったことがわかっている。
勝共連合が著書で宣伝した4366万円の嘘は、水増しだったことがわかります。
参考のため著書の一部をコピペしておきます。
当初朝連は「親日派も民族派も共産主義者もいた在日朝鮮・韓国人互助組織」だったが、日本共産党中央委員の金天海が出所して朝連の実権を握り右派を粛清した結果、朝連が事実上共産党の支配下に。この朝連の「潤沢な資金」で戦後の共産党は活動した。
その資金源を記した箇所は以下。
「最大の財源になったのは帰還していく強制労働者の未払い賃金等であった。1946年末までに朝鮮中央労働部長名で強制連行者を雇用していた日本の各企業に未払い賃金の請求が出された。その請求額は4366万円に達し、朝連はかなりの金額を企業から徴収し、それらのほとんどは強制連行者の手には渡らず朝連の活動資金にまわされた。これらの豊富な資金は日本共産党再建資金としても使用された」(『朝鮮総連』)
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朝鮮人聯盟は1949年に解散させられ、財産は政府に没収されているから「第3者に対する引渡分」の多くが政府へと回収されたとみていいので、共産党に渡った額は更に小さくなるでしょう。
1949年の大蔵省によるGHQへの報告と1953年の大蔵省の再集計表から、1949年末頃の、朝鮮人への債務の総額が2億3700万円(インフレ率について60倍だとすると142億2千万円)を超え、その内訳が、法務省約6000万円、旧陸軍900万円、旧海軍約5630万円、労働省約1億1千万円などであることがわかります。
軍人軍属の供託金はその後増加するが、この時点での未払い金の集約状況はわかります。
第4に、運輸省船員局関係では1950年に、延べ2076人分、約435万円が供託されたことがわかる。
この船員関係については、つくば分館に、背に「朝鮮人船員の未払給与等」、表に「供託政令」と朱書された簿冊がある。この史料は1949年の船員関係の供託に関する書類である。ここには朝鮮人船員の306人分の死亡者名簿や未払金についての表が収録されている。「その他」の船員とされている58人の名簿の中にも朝鮮人名が記されている。これらの名簿は運輸省海運総局給与厚生課が作成したものであり、死亡一時金が未払いである者の名簿である(1948年末現在調)。収録されている別の史料によれば、未払給与のある「殉職船員」の朝鮮人船員数は654人、「生存船員」の朝鮮人数は882人である。
第5に厚生省勤労局調査による朝鮮人労務者名簿の記載と比較すると、未払い金を報告していない事業所があることがわかる。ここに示された供託金は未払い金の一部を示すものにすぎないわけである。北海道をみてもGHQへと供託した事業所のうち、この資料に記載があるのは北炭の平和・夕張・幌内だけであり、10をこえる事業所が欠落している。未払い金の存在を報告した事業所だけがここに記載されているのであり、この調査が悉皆調査ではないということである。
以上、この「経済協力 韓国105 労働省調査 朝鮮人に対する賃金未払債務調」を見て感じたことをまとめた。「帰国朝鮮人労務者に対する未払賃金債務等に関する調査統計」については、エクセル形式で一覧表を作成したので、希望者には配布できる。