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元徴用工の謎  作者: やまのしか
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元徴用工の謎⑤

1950年の政令22号、これは「国外居住外国人等に対する債務の弁済のためにする供託の特例に関する政令」で、この1949年のGHQ指示による調査を経て、朝鮮人の未払い金などの在日資金を東京法務局に集約する形で供託をさせるために出された政令である。


(政令22号第三条2 前項の認定を受けた債務の履行地は、供託に関しては、他の法令の規定又は定款若しくは契約の定にかかわらず、東京都千代田区とする)


1953年3月現在で、政令22号による供託額は約8千9百万円(現在価値53億4千万円)となっている。


※さて、ここで、インフレ率60倍の根拠を書いておく。

戦後ハイパーインフレがあったため、円の価値は戦前と戦後では恐ろしいほど下がった。

消費者物価指数で見てみると、昭和10年2.06→昭和22年224.1と、約100倍になっている。

ゆえに、だいたい戦時中に貯めた貯金は、今の価値に換算すると、約60倍位の価値があったとした。

ゆえに、1953年、供託金の額は現在の価値では約53.4億円相当だったとする。


そして、その後も供託が続き、現在も当時の「未払い金」が供託金として東京千代田区法務局に残されています。


これらの供託金を未だに残している理由を、日本政府は、北と南に分離できないためであるとしている。


しかし、個人名も住所もわかっているのに、返却してない理由としては、日韓請求権協定で無償3億ドル、有償2億ドル、の経済援助したから、既に解決済みなのだという政府の立場によっての事でしょう。


更に「強制動員真相究明ネットワーク」が、この史料からわかる事柄を何点かあげております。


まず、労働省関係の「帰国朝鮮人労務者に対する未払賃金債務等に関する調査統計」から、企業ごとの供託金や未供託金の状態がわかりました。


この資料が公開されるまで、各個別企業の供託金と未供託金の額はわかっていなかったので、大変重要な資料だと思います、ただし、この資料をもってしても、未供託金の全てはわかっていません。

朝鮮人を使用していた企業が、全て掲載はされてはいないからです。

少なくとも真面目に供託した企業に関してだけは全てわかっています。


労働省調査に応じて、真面目に書類を提出した企業だけが、責められるのも、釈然としませんが、それは仕方のないことなのでしょう。


この史料の供託分から数社をあげれば、次のようになります。


▪事業場名 ▪ 債務種類 ▪ 債権者数 ▪ 金額 円.銭 ▪ 供託年月日


▪不二越鋼材▪退職積立金 ▪  122人 ▪ 510.57円   ▪ 1947.8.30

▪不二越鋼材▪退職金   ▪  441人 ▪ 1252.44円  ▪ 1947.8.30

▪不二越鋼材▪厚生年金  ▪  184人 ▪ 3464.82円  ▪ 1947.8.30

▪不二越鋼材▪国民貯蓄  ▪  459人 ▪ 29226.17円  ▪ 1947.8.30

▪不二越鋼材▪預り金   ▪  430人 ▪ 55188.19円  ▪ 1947.8.30


▪西日本重工広島造船所▪賃金 ▪1951人(下の数値との合計数)▪70380.5円 ▪1948.9.7

▪西日本重工広島造船所▪貯蓄金 ▪108099.16円▪1948.9.7


▪三菱重工業長崎造船所▪現金(給料団体積立金退職金)▪3406人▪859770.78円▪1948.6.2


▪麻生鉱業久原炭鉱▪賃金▪100人 ▪7415円   ▪1947.4.16

▪麻生鉱業久原炭鉱▪補給金▪133人▪2370.83円▪1947.4.16

▪麻生鉱業久原炭鉱▪援護金▪2人 ▪475円   ▪1947.4.16


★未供託分から数社をみれば、以下のようになる。


▪事業場名 ▪債務種類 ▪債権者数 ▪金額 円.銭

▪不二越鋼材▪貯金   ▪16人   ▪1062円

▪不二越鋼材▪貯金   ▪37人   ▪1637.6円

▪麻生鉱業久原炭鉱▪愛国貯金▪58人 ▪2765.55円

▪麻生鉱業久原炭鉱▪国債貯金▪63人 ▪1594.42円

▪神岡鉱業▪国民貯蓄  ▪690人  ▪22188.16円

▪神岡鉱業▪国債貯金  ▪346人  ▪16963.48円

▪神岡鉱業▪退職積立金 ▪401人  ▪3743.88円

▪神岡鉱業▪債券保管証 ▪238人  ▪3332円

▪神岡鉱業▪郵便貯金  ▪98人   ▪18066.39円

▪神岡鉱業▪団体生命保険▪7人   ▪3500円



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