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元徴用工の謎  作者: やまのしか
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元徴用工の謎④

さて、この「真相究明ネットワーク」による「経済協力 韓国105」レポートですが、

「真相究明ネットワーク」はあくまで「韓国 経済協力105」に収録されている史料を、再構成しているだけだそうです。


「司令部への報告(に対する)外務省への報告と吾が方調査との相違点調」(大蔵省理財局外債課1953年6月)について。


「本計数は労働省が吾が方を経由して司令部へ報告せるものと、吾が方の調査によるものとの差(+-)を示す」(同課1953年7月)


これらは、1949年の報告に対する再調査を示すもので、その際の調査史料が、


「軍人軍属徴用者の未払給料等及び供託額調」、

「朝鮮人の在日資金」(大蔵省理財局外国財産課1953年6月集約)、

「朝鮮人未払金に対する債務調(労働省調査1950年)」(1953年7月集約)、

「帰国朝鮮人に対する未払賃金債務等に関する調査(統括表)」(1953年7月)などです。


供託経過やGHQの在日資金調査の状況を示すものが、厚生省などの通牒類やGHQ関連の文書(英文)です。


「強制動員真相究明ネットワーク」による解説ですが、この小冊子が作られた頃(1953年)の政治的背景についても書かれています。


1952年2月からの第1回日韓会談で「財産請求権委員会」がもたれたが、これに対して、日本側は対韓請求権を主張して、会談は決裂している。


1953年4月になって第2回日韓会談がはじまり、その際、日本側は「財産請求権委員会」については大蔵省側が未準備であることをあげ、開催の延期を求めた。


しかし、韓国側はそれを拒否し「財産請求権委員会」は開催されることになった。


1953年5月に入って韓国側は非公式会談で「徴用者の未払い金」などを要求するが、朝鮮戦争の休戦という事態の中で、韓国代表団は召喚された(高崎宗司『検証日韓会談』44~46頁)。


1953年10月に第3回日韓会談が始まるまで空白期間が生じた。

この『経済協力 韓国105』にある②「司令部への報告(に対する)外務省への報告と吾が方調査との相違点調」(大蔵省理財局外債課1953年6月)の文書は、この期間に作成されている。


「経済協力 韓国105」の標題名は、日韓会談での請求権問題が「経済協力」の形で決着する中で作られたものであり、当初はこの文書の頁の多くを占める「朝鮮人未払金に対する債務調」がこの文書の標題であったとみることができます。


このときの再調査で大蔵省が調べたかったことは、1949年12月に大蔵省がGHQへと送った

「朝鮮人在日資金の調査報告」にある在日資金「約2億3千7百万円」(インフレ率60倍とすると現在の価値142億2千万円)の内訳です。


この報告はGHQが「韓国からの賠償請求クレーム」を受けて、1949年5月に日本側に提出を求めていたものであり、その調査結果は1949年12月に報告された。


この報告に対し、さらにGHQは1946年1月に未払い賃金の「部門別詳細」「総額」「受取人の氏名」などの詳細を提出するように求めている。


※ココ↑の部分は、たぶん日付が間違っている。

大蔵省がGHQに「朝鮮人在日資金の調査報告」を送ったのが1949ねん12月なのに、

この報告を受けて、GHQが詳細を提出するように求めたのが1946年では、日付が逆行する。

1950年以降ならば辻褄が合う。


報告された「金額約2億3千7百万円」(現在価値142億2千万円)については、GHQから駐日韓国代表部ミッションにも送られた。


日韓会談がはじまり、韓国側はこの金額を踏まえて請求権を主張した。

日本側は自らの資料としてこの金額の正誤を検証し、詳細を集約する必要があった。


※ここで日本側が当時いかに慎重に韓国人の在日資産を調査したのかがわかる。

この調査報告書を元に日韓請求権交渉が進められたと書いてあるのだから。


収録文書の「司令部への報告(に対する)外務省への報告」とは1949年12月の報告のことを指しているものとみられる。


この調査のために大蔵省は1949年調査の段階で「未払い金」が存在した省庁に資料を提出させた。


それにより、たとえば、法務府からは海軍陸軍と労働省関係の「供託金」、

労働省からは各都道府県の「供託金」の状況が報告された。


労働省が1949年に各地方当局から得た「未払い金」の数値は「約1億1千万円」(現在価値66億円)であり、そのうち「未払い金」は「9千6百万円」(現在価値5億7千6百万円)であった。


※ここで「強制連行真相究明ネットワーク」の独自の恣意的な観測が書いてある(以下の文)


この金額は調査できた金額であり、連行者数からみて実際にはこれを上回る金額が存在していたはずである。

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