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第一章

 高校1年生にして異世界転生をしたアトは、チート人生でハーレムを期待していた。


 しかし、そこに待ち受けていたのはチートでもなければハーレムでもなかった。


「どうしたアト? 浮かない顔して」


 全身毛むくじゃらの大男、ガルドが問いかけてきた。


「随分うなされていたようだが?」


 大男のガルドは土人種という種族だ。


 この異世界に5種類いる種族の1種族。


 土人族は、大柄で毛深い者が多い。


 一方の人間に一番近い種族が人類種と呼ばれる。


 アトも当然人類種に属する。


「うなされていたか……ちょっと昔を思い出したようだ」


 何でもないと言うように答えながら、眼鏡をかけるアト。


「気分が優れないならまだ横になっているといい」


 普段は無口であまり喋らない、太真が気を遣って言う。


 流石はパーティーの副リーダーだ。


 成長しても子供の姿のままの小人種にして、パーティー最大レベルの5に相当する実力者だ。


 もう大丈夫だと応えようとしたアトは、別の声に遮られた。


「おい。そこの。悪夢を見るなんてたるんでる証拠だぞ」


 男嫌いのハイリエだ。


 森人種という長い耳を持った容姿端麗の魔法剣士が厳しい一言を言う。


 太真と並ぶレベル5の実力者にそう言われては言い返せない。


 アトは確かにたるんでいるのかもしれない。


 昔を思い出した夢を見て、なんじゃこりゃー! と叫んでしまったのだから。


 あの頃と比べると、大分マシなパーティーになったものだと思いながら、アトは他のメンバーを見回す。


 今は野営中で、ガルド・太真・ハイリエが見張りをしてくれていた。


 アトと同じく人類種で女好きのライラ、猫耳と尻尾が特徴的な猫人種で太真に好意を抱いている由美、この2人がアトと共に寝ていたのだ。


『あの頃か……』


そう思いながら、転生したばかりの頃を思い返す。


 ※


 ――ありふれたテンプレのような話だった。


 夜にコンビニでおやつとジュースを買いに行ったアトは、その帰りに交通事故に遭う寸でのところで異世界転生した。


 違ったのは、ハーレムでもなければチート能力も有していなかったという点だけ。


 ――死んだ!


 そう思って目を閉じたアトだったが、いつまで経っても痛みが来ない。


『あれ?』


 そう思って目を開けると、目の前には見渡す限りの空と荒れた大地が広がっていた。


『おぉー。いい景色だなぁー』


 そう呑気なことを考えていると、自分の体が地面に触れていないことに気が付く。


『あれ? もしかして浮いている?』


 そう思った時には時すでに遅しだった。頭からアトは荒野に落ちていった。


『異世界転生してすぐに死ぬって、そんなことあるの?』


 世の中の理不尽さを嘆くアトだったが、そこでプッツリ思考が切れる――


 ●


 ――通じた。異世界人の召喚に成功した――


 アトの頭の中に聞こえる謎の声。


 その直後――


 ゴツンッ!


 アトは頭を打った。


 奇跡的に一命を取り留めた。


「○×△□~」


 甲高い声が響く。


『え? 生きてる?』


 頭をさすりながらアトは周りを見渡した。


 自分とぶつかったものは、小さな女の子だった。トンボの様な羽が生えており、いわば妖精の様な見た目をしていた。


「○×△□~」


 甲高い声で女の子はアトに話しかけているが、アトには言葉が通じなかった。


『異世界だと言葉が通じないのか……』


「@*+ー」


 どうしようかとアトが戸惑っていると、背後から野太い怒号が聞こえた。


 女の子は焦った様子で、アトの手を引くが時すでに遅し!


 ザワッとした空気がアトを撫でる。


 アトはそのまま女の子に手を引かれるように荒野を疾走する。


 後ろを振り返ると、毛むくじゃらの大男が荒々しく地団駄を踏んでいた。どうやら悔しがっている様子だ。


 ひとしきり走ると、女の子がアトに話しかけるが、相変わらず話は通じなかった。


『こりゃ、この世界での意思疎通は難しそうだな』


 ポリポリと困り顔で頭を掻くアト。


 すると今度は、温かい空気がアトを包む。


「あなた異世界人だったのね! ティナの妖精魔法でこの世界の言葉が分かるようにしてみたのだけれど、どうかしら?」


 アトは驚く。どうやら、先ほどの温かい空気が妖精魔法だったようだ。


 あぁ。分かるよ。と答えようとしてアトは再び驚いた。


 声が出ないのだ!


「さっき、沈黙の魔道を使われてるからね。あなたは今何も話せない状態なのよ。どうかしら、言葉は分かる? 分かるなら頷いて」


 そう言われてアトは頷いた。


 良かった。とティナと名乗った女の子は安堵の息を吐く。そうして状況を詳しく説明してくれた。


 ●


 ティナは妖精と呼ばれる、この世界でも特別な存在だった。


 この世界にはモンスターが人々(人類種・小人種・森人種・土人種・猫人種)を脅かしていた。


 そんなモンスターを退治するために冒険者が存在する。


『ここまでは、ほぼテンプレだな』


 そう思いながらアトはティナの話を聞き続ける。


 冒険者は通常、妖精と契約を交わすことで、様々なスキルを獲得できたり、レベルアップやステータス更新が可能になる。


『ゲームで言う経験値を獲得するようなもんか』


「で、さっきのやつらは、ティナと無理やり契約をしようとしてきたのよ。そこにあなたが空から降って来たから、助けに来た魔道使いか何かかと勘違いして、沈黙状態にしたってわけ」


 沈黙状態なら、言葉が喋れないので魔道を使うことが出来ないと言って締めくくった。


「ティナのせいで巻き込んじゃったわけだし、あなたと契約するわ!」


 ティナはそう言って、何やら呪文を唱え始めた。


 白い光が迸ったと思ったら光はすぐに消えた。


「契約終了っと! これでティナとあなたは一心同体よ! 頑張ってステータス更新しましょ!」


 とんとん拍子に話が進んでいるが、アトはどうやらあまり理解していない様子だった。


 しかし残念ながらこの2人、アトが喋れないので意思疎通が出来ていない。


「まずはあなたの沈黙状態を治す方法よね~。普通は街とかで治して貰うんだけど、どっからどう見ても転生したてのあなたとティナじゃあお金もないしね~」


 ティナは親切にも、何も分からないであろうアトに分かりやすく説明してくれていた。


 こうしてアトとティナのあてもない旅が始まった。


 ●


「でね、異世界人って大抵が強くなるんだって。だからあなたもきっと強くなるわ! ティナ本当は誰とも契約するつもりなかったんだけど、どうせ契約するなら強い人とがいいじゃない?」


 アトが喋れないので、基本的にティナのマシンガントークだった。


「大丈夫! 転生したては弱くてもすぐに強くなれるわ! 風の噂で聞いた話だと、ここでの戦い方に慣れれば異世界人に敵はいないレベルで強くなるんだってさ! 楽しみだよね! それまではティナがあなたをサポートするから安心してね!」


『異世界人が強いってのも何だかよくある話だなぁ』


 呑気なことを考えるアト。


「そうそう! おまじないみたいなものなんだけど、1つ。妖精魔法を見せてあげる!」


 そう言ってティナは《妖精魔法:妖精の守護》を唱えた。


 アトの腕に銀色の腕輪が装着される。


「妖精の守護って言ってね、一度だけ契約者を守ってくれるんだって。まぁおまじないみたいなもんだし、その腕輪の輝きが消えたら役目を果たしたと思っていいらしいよ!」


『ミサンガとかそんな感じかな?』


 にっこり微笑むティナに対して、そんなことを考えながらアトは頷いて答えた。


「なんにしても、このままじゃ話にならないわね。とりあえず、その辺にいるモンスターを倒してモンスターの素材を売るしかないかな?」


 ティナがそう言って指さした先には、芋虫をもう少し大きくしたようなモンスターがいた。


「あれは、ワームね。まぁ、雑魚だし簡単に倒せるけど、あなた武器もないのよね? とりあえず、その辺の石とかを武器にして戦ってみて。戦い方が分からなくても異世界人だしきっと大丈夫!」


 根拠のない自信を述べてティナがアトを押す。


 ワームがアトに気が付き、目の無い顔を向けて威嚇する。


 大きく広げた口の中には、鋭いギザギザした歯がびっしりと生えそろっていた。


『あれで噛まれたら痛いだろうな……』


 そんなことを考えながらもアトは、ティナが言った【異世界人だから大丈夫】を信じて余裕で石を構える。


 次の瞬間――


 ワームは凄い速さで地面へと潜っていった。


 想像以上の速さだった。


『ワームのあの歯は、攻撃用というよりも硬い石とかを砕くためのものか……』


 なんて考察をしている暇はない。


 ――ガブリッ!


 足元の地面に小さな穴を空けて、そこからワームは顔を出し、アトの足に噛みついた。


「――っ!」


 悲鳴をあげたくても声が出ない。


「大丈夫? ワームは動きが速いから気を付けて! でも鉱物しか食べないから噛みつきは威嚇よ!」


『先に言ってくれ!』


 涙目でティナを見ると、「だって雑魚モンスターだし」とティナはふくれた。


『いくら、初めての戦闘とはいえ、異世界転生したんだ! 僕にだって何かしらチート能力があるはず!』


 そう思ってアトは、足にかじりついているワームを足を振って遠くに飛ばす。更に手に持つ石を投げる!


 ……


「ショボッ!」


 思わずティナは声に出してしまった。


『あれ? 現世での運動音痴が引き継がれてるの?』


 アトは運動全般が苦手だ。


 体育の授業は平均以上を取ったことがない。


 異世界転生したのだから、身体能力は向上しているものと思ったのだが、その実以前と変わらなかったことが判明した。


 アトが投げた石はアトの目の前にポトリと落ちた。


 文字通り、ティナの言う通りしょぼかった。


『近づかなきゃ倒せないってことか……』


 この時点で、ワームへの戦い方に勝機を見いだせなくなるアト。


『なんか都合よくチート能力発動しないかな?』


 色々と念じたりするものの、そんな力が発動する片鱗すらなかった。


 諦めてアトはワームと向き合った。


 なんとワームは、アトが先ほど投げた石に食いついている。


『あれ? エサだと思った?』


「さすが! わざと注意を逸らしたのね?」


 ティナが歓喜している。


 違うけど、今はそれどころじゃない。


 人差し指を口元に当てて、ティナに【静かに】の合図を送る。


 ティナは慌てて両手を口に当てた。


 そぉーっと、ワームの後ろに回り、先の尖った石を振り下ろす!


 苦戦しつつも無事ワームを倒すことに成功した!


 ティナはグロいのが苦手なのか、ワームを倒す時には目を背けていた。


 口調はたまに悪い時があるが、なかなか可愛らしい一面もあるものだと、アトは思った。


 実際、ティナは見た目も可愛いので、こんな可愛い子と共に生活するなら、ハーレムじゃなくてもいいとさえ思っていた。


「ワームのお腹の辺りを切り開くと、消化できずに残った鉱石があると思うから、それを回収して。いいお金になるからさ!」


 言われた通りにお腹を開くと、やや小さ目の黒い塊があった。500円玉くらいの大きさだ。


「黒石かー。ハズレね。まぁ価値がないってことでもないし、とりあえず、取っておきましょ。ワームの素材は何にもならないから後は剥ぎ取らなくていいわ」


 ティナがそう言うので、アトはとりあえず黒石をポケットにしまい、死骸を放置した。


「カラスかなんかがきっと食べるわ」


 なんて言っているので、放っておいていいのだとアトも判断した。


「まぁ、石ころよりはマシよね。その辺で拾えるのと変わらないから価値ないし。黒石は大きさにもよるけど、これくらいなら10ゴールドってところかしらね」


 こうしてアトは暫くワームを狩ることにした。


 大抵は、エサを食べている最中に不意打ちの一撃で倒せていたが、稀に見つかって戦闘になると、まるで歯が立たなかった。


「あんた本当に異世界人? ワームに苦戦するって……」


 ティナが絶句する。


 本日5匹目のワームを撃退したところだった。


「お! 水色石じゃん! これ結構貴重だから、きっとあんたの沈黙もなんとかなるわ! とりあえず、日も暮れるしどこか休める場所を探しましょ?」


 こうしてアトとティナは街を探すことにした。


 アトはワームに苦戦して両足を何度もかじられていたが、道端に生えていた薬草を傷口に巻いて何とかすることにした。


「この薬草なら、お金にならないけど多少の傷に効くわ!」


 と言ったティナの言葉を信用したのだが、傷にかなり染みた。


 街のアイテム屋などを活用すれば、もっと効率的なアイテムも入手できるともティナは言った。


『何だかゲームの世界に来てしまったようだ』


 そんなことを考えながらふとした疑問が頭を過った。


『あれ? 寝る時って見張りとか要らないの? モンスターは夜も襲って来ないとかそんな設定?』


 呑気なことを考えながらアトは眠りについた。


 しかし、そんな設定あるはずもなかった。


「起きなさい! 魔兎よ!」


 寝たと思ったのも束の間。兎がアトを襲う。


 兎は一匹ではなく集団だった。


 魔兎は非常に凶暴性が高く好戦的なモンスターだった。見た目は可愛い兎だが、手練れの冒険者でも油断してはいけないモンスターが魔兎だ。


「あんた1人じゃどうにもならないわ! とにかく逃げるわよ!」


 ティナの案内で全力疾走で魔兎から逃げるアト。


「魔兎は、縄張りから離れれば襲って来ないから」


 そうティナは解説する。


「それにしてもあんた足遅くない?」


 魔兎から逃げきれた時にティナが突っ込む。


『そりゃそうだ! 僕は運動音痴なんだから!』


 心でそう叫びながらアトはティナに不満そうな顔を向けた。


 言葉が出せたとしても、こんなに息を切らしていたら反論できなかっただろう。


「まぁいいわ。ティナたち妖精も戦えればいいのに、戦闘能力は0に等しいからね……戦闘中のアドバイスくらいしかできないし、今はあんたの成長を見守ることにするわ」


 そう言ってティナは眠りに着いた。


 アトはあんな恐ろしい目にあったからか、目がさえており、一睡も出来なかった。


寝不足で異世界2日目に突入したのだった。


 ※


 如何にも怪しい部屋に<その者>はいた。


『解せん……なぜこの呪術の効果がないのだ? 失敗? そんなはずはない。呪術の大魔王であるこの私が失敗などするはずがない……だとすると何だ? 誰かに妨害でもされたのか?』


 強力な力を持った大魔王。


 誰も逆らうことができない大魔王。


その一角を担うであろうはずの呪術の大魔王が失敗?


そんなはずはない。何か理由があるはず。


そう思って<その者>――呪術の大魔王――は、苛立ちを露にしていた。


『邪魔する者がいないわけではない……まずは見極めねばなるまい。そしてあの者を探す必要があるな……』


暗闇の中、如何にも怪しい場所で呪術の大魔王は密かにそう決心した。


 ※


 森の中でティナが難しい顔をしている。


 喋れないアトは、どうしたのか? という質問をするようにティナの顔を覗き込む。


「ティナの妖精魔法がおかしいわけじゃないよね? 倒した数が少ないからってステータス更新が全くできないってことあるかしら? レベルアップが出来ないのはいいにしても、ステータスが全部【並】なのは何で?」


アトには何が何だか分からない説明だった。


首を傾げると、ステータスとレベルについて説明してくれた。


 ●


 冒険者は妖精と契約をすることで、レベルやステータスといった概念を習得できる。


 ステータスは、【力・守り・素早さ・魔法力・精神力】の5種類であり、そのランクは下から【並・中・上・良・優・秀】の6段階。


 モンスターを倒して、契約妖精にステータス更新をしてもらうことで、ランクが上がることがある。


 全てのステータスが【秀】の段階でステータス更新を行うとレベルアップとなり、レベルが1上がってステータスが【並】に戻る。


「でも、今までの【力】とかは目に見えない形で引き継がれてるから、レベル2の全ステータスが【並】の人とレベル1で全ステータスが【秀】の人だと同じくらいの強さね。ただ、レベル補正もあるから、レベル2の方が一般的には強いと言われるわ」


『何にしろ、ちょくちょくステータス更新して、レベルアップするのが強くなるための方法ってことか』


 ところが、ここ数日でワームを何匹か倒したアトが全くステータス更新できないのだとティナは言う。


 つまり、アトは全く強くなっていないということになる。


「うーん。とりあえず、名のある天使に契約して貰ってファミリーを作るのが手っ取り早いかー」


 ティナが独り言のように呟く。


『天使とかいるの? 妖精だけじゃなくて? 本当にファンタジーな世界だ!』


 アトは心の中で喜んだ。


 それもそのはず。


 ここ数日間、まともに寝れていないのだから。


 夜はティナと交代交代で寝て見張りを立てた。そのせいで神経がすり減っている。


 昼間はティナはアトの懐に入り込んでスヤスヤ眠っている。


 その間にアトは、ティナが教えてくれたリルド村という村を目指しつつ、倒せそうなワームだけを狙っていた。


 当然、ある程度経験値が溜まっていてもおかしくないはずなのだが、なぜかアトはステータス更新が出来なかった。


 ティナが頭を抱えるのも当然だ。


「まぁ、悩んでても仕方ないし、とりあえず進みましょう!」


 そう言ってティナはアトの懐に潜り込む。


『進もうって、歩くのは僕なんだけどね』


 心の中でアトがため息をついた瞬間、ティナが大声を上げた。


「ストーップ!」


 キンキン声で言われ、アトの耳が少しおかしくなる。


『沈黙以外の状態異常にかかった気分だ』


 ティナの声で歩みを止めると、珍しく人が歩いている。しかも複数人。


「商人のパーティ―ね」


 ティナが説明してくれる。冒険者同士でチームを作ることをパーティを組むと呼ぶのだそう。


「こんにちは! この子が沈黙状態にかかってしまって、アイテムを融通して欲しいのですが」


「ワシらは、これから商売に行く途中。あなたらに譲ってあげる義理はないんだがまぁ、条件次第かのう」


 足元を見られているようだ。


「これで1つお願いします」


 ティナはなんと、今まで集めたワームからの鉱石全てを差し出した。


「ふむ。鉱石狩りで集めたのか。よろしい。」


 商人は緑色の液体の小瓶を1つ、ティナに渡した。


「念のため、今使うから待ってて貰える?」


「怪しむのは当然」


 ティナが、本物かどうかを確かめるからそれまで商人に待つように言った。


『そこまでする必要ある?』


 そう思ったが、とりあえずアトは緑色の液体を飲んだ。


「まっず!」


 むせながらアトが言葉を発する。


 沈黙が解除されたのだ。


「ありがとう!」


 お礼を言って商人と別れた。


 2人はようやく意思疎通ができるようになったのだった。


 波乱な旅が幕を開けた――

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