1話 風変わりな出会い
変わり映えしない毎日
僕は、いつも通り、学校に行く
「いやだな」
そう嘯いた
端的に言えば、いじめられているから
高校でも、先生は助けてくれない
今日もいつも通り、いじめが始まる
校舎裏
僕をいじめている3人は、また僕からお金をとって、暴力を振るおうとした。
「やっぱり、こういうところに居るんだな」
不良の後ろに、誰かが歩いてきた
その人は、真っ白な髪に真っ白な肌、それに、中性的な顔立ちの
この学校じゃ、僕でも知ってるくらいの見た目の先輩だ
「丁度いいから、腕試しさせてくれよ。見た所いじめっ子ってヤツでしょ?」
「どうせ、弱いものいじめしか出来ない無能だろ?」
全く臆すること無く、不良に言葉を投げつけている
「おいおい、白唯、お前には関係ないだろ?こいつみたいになりたくなければ・・・」
あっという間だった
近づいた不良の1人を、パンチ1発で倒してしまった
「テメェ!」
もう1人を、意図も容易くいなして地面に叩き付けた
「お前、こんな事してタダで済むと・・・」
残りの1人が、怯えながら言っている
それに被せるように、先輩は、スマホを見せながら言った。
「そうだな、ただ、いじめてた奴と優等生、どっちの言う事を大人は信じるか、それくらいわかるだろ?」
この日から、いじめは無くなった
後から聞いた話によれば、彼らは少年院に入ったらしい、と風の噂で聞いた。
次の日の放課後
先輩にお礼を言いに行った
「先輩」
「昨日は・・・その・・・」
「許せなかったから、やっただけだよ」
先輩は、ぶっきらぼうに言った
「君の為にやった訳じゃない」
「あ・・・」
僕は、なんて返せば良いのか、わからなくなった
「でも、よかったよ」
先輩は、少し笑顔を浮かべながら
「いきなり・・・ですまないんだけど」
「その・・・良かったら、友達にならない?」
先輩が、少し恥ずかしがりながら言ったその言葉に
僕は、涙が溢れてきてしまった
「あ・・・大丈夫?、嫌なら嫌でも・・・」
「おね・・・がい・・・します・・・」
僕は、泣きながら言葉を絞り出した
先輩は、優しく僕の手を握って、抱き寄せた
「ありがとう」
「その・・・名前を、知りたいな」
「自分は・・・白唯 優って、言うんだ」
先輩の手の温かさを感じながら、振り絞るように
「僕の名前・・・は・・・雨乃 理久・・・です」
先輩は、安心したように、はにかみながら優しい声で言った
「よろしく、理久くん」
これが、先輩との出会いだった