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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

何度世界を繰り返しても、俺は君とハッピーエンドを迎えたい

作者: NaHCO3

 もしも、どんな願い事でも叶うとしたら、君は何を願う?


——ねえねぇ、知ってる?魔王を倒すと、神様がどんな願い事でも1つ叶えてくれるんだって


「この我が、ここで滅するというのかあああ!」


——ルミエラ、君がいない世界で、何でも願いが叶うなら、一体何を願えばいい?


「勇者アレス。神力が届かぬ魔の領域の討伐をご苦労だった。対価として何を望む?」


 ルミエラ、君がいないまま10年間を過ごすなんて耐えられなかった。だから俺は——

「——ルミエラを、俺の幼馴染ルミエラを生き返らせてください」

「…それはできぬ。汝の力の原点こそがルミエラ、彼女が居なくなっていなければ魔の領域の討伐という事実も消え去る」


 ああ、生き返らせることができないのか。今でも鮮明に覚えている君の笑顔、声、そのすべてを取り戻すことができないというのか…。


「アレスよ、汝は何を願う?」


 ルミエラを生き返らせることができないのなら、俺は———


☆★☆


「ねえねぇ、知ってる?魔王を倒すと、神様がどんな願い事でも1つ叶えてくれるんだって!」

「そうなの?じゃあ、僕はルミエラとずっと平和に暮らせるようにお願いしようかな!」

「私もアレスくんと幸せに暮らせるようにお願いする!」

「じゃあ、今日も剣の練習しよっか!」

「うん!」


 ここが原点だったのかもしれない。二人で剣を練習して、魔法を練習して、周りよりも強かったから。


「わぁ、ねえみてアレスくん!あれ!勇者様のパレードだよ!すごいね!」

「勇者様ってすっごく強いんでしょ?僕たちの何倍も!」


 この世界には、勇者と呼ばれる魔に唯一対抗できる人物が常に1人だけ存在している。


 勇者には、聖印という勇者の証が常に左手の甲に輝いており、光の加護が宿っている。


 勇者は最強であり、魔にダメージを与えることができるのも勇者のみだ。


 強者故に孤独、それが勇者であり、世界の希望なのだ。


 それゆえ、勇者が死ぬと同時に次の者へと聖印が移る。聖印が誰かの手に現れた時、それは勇者が魔に敗北したことの証でもあるのだ。



「ねえアレス!私の手に聖印が出たよ!私が勇者ってことなのかな!?」

「ルミエラが勇者!?すごいじゃん!…ってことはこの前見た勇者様は…」

 死んでしまったのだろう。


「私、敵を取ってくる!そして神様にアレスくんとの平和な生活をお願いする!」

「本当!?じゃあ僕はもっと強くなってルミエラが返ってくる家とかをいっぱい揃えておくね!」


 僕の幼馴染のルミエラが勇者に選ばれた。今この王都で一番強くて頭もいいルミエラなら、魔王を倒して、いつの日か一緒に読んだ本の中の英雄みたいに帰ってきてくれるだろう。…そう信じていた。


「行きましょう、勇者様。聖印を見せれば街での支援は受けられます。どうか、ご武運を。」

「じゃあ行ってくるね!寂しくなるけど、魔を倒してくるから!」

「絶対に無事に帰ってきてね!」


 その後、ルミエラの活躍は新聞などで沢山知ることができた。負けないようにとこれまで以上に剣や魔法の練習をしたけれど、ルミエラがいない王都は、やっぱり少し寂しかった。

 ルミエラが旅に出て2年後の武術大会で優勝して、次の魔法競技会でも優勝した。


「いやぁ、アレスは本当に強くなったな!」

「いや、()はまだまだルミエラには敵わないよ」

「そりゃあ、当たり前だろ?だってルミエラは勇者だぜ?」

「それでも、ルミエラが帰ってきたときに隣に居れる人になりたいんだ」

「ルミエラは四天王まで倒して、あと王を残すのみなんだろ?もうすぐじゃねえか!もう国で一番なんだからその資格はあると思うぜ?」

「…ルミエラを剣で守れるようになるって言うのが俺の夢なんだ…」

「ははは!そうか!…ってお前、手!」


 王都で、いや、国で一番強くなった日、俺の手に聖印が現れた。それはつまり、ルミエラが負けたということ。ルミエラが死んだ…という…ことなのか……?


「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」


☆★☆


「お、おいアレス、無茶はするなよ…?」

「いや、俺はルミエラの敵を…魔の王を倒してルミエラを生き返らせてもらう…」

「ルミエラが最期にいたのはブレグスタウンだ。そこが一番魔に近いと思う。頼んだぞ…」


 魔には、四天王の次に三傑というものが存在した。


「グッ、ナンテスピードダ。マエノユウシャヨリモハヤイ…」

「ルミエラは俺よりも強かった。悪いとは思わないが俺は魔の王を倒しに行く」

「グッ、ガアアアアアア!」


 三傑の最後の敵が使っていた剣はルミエラの物だった。こいつに、こんな奴に負けたというのか。敵は取った、だが、魔の王を倒さなければ何も始まらない。


「フハハハハ、ここにたどり着いた勇者は30年ぶりか!戦って、倒れ、絶望し、我に勝てる者など居ないのだと終に知れ!」

「お前を殺す。そしてルミエラを取り戻す。」


 ここに来るのに8年。2年間で四天王を倒して見せたルミエラはどれだけ強かったのか。才能がない俺とは全く違う。


 魔の王の攻撃は光の加護がなければ防ぐことはできない。逆に、光の加護は魔の王にも通る。こいつを殺したらルミエラは帰ってくる。8年前の姿なのだろうか、生きていたとしたら迎えている姿なのだろうか?もし、8年前の姿だったら驚くだろうな。いつの間にか8歳差になっていたとしても、ルミエラはきっと受け入れてくれるだろう。


 魔の王の攻撃をよけ、光を飛ばす。才能はない、でも努力はしてきた。全てはそう、この時のために。俺が勝てるとしたら最初の数瞬だろう。魔の王の魔法攻撃に向かって一気に光を当てる。閉ざされる視界の中、一気に詰め寄り剣を突き刺す。


「ふっ、ただの剣を突き刺しても我には効かんぞ?」

「知っているさ。でも、光の加護ってどこに与えられていると思う?」


 全身?剣?魔力?全身に行き渡っていたし、最初は魔力だと思っていた。だけれど、一度思いっきり体を切られたとき、俺の血を浴びた二天の1人が燃えた。光の加護は血に宿っている。だから、持っていた短剣で聖印の根元を思いっきり切り裂く。


「なっ…まさか、やめろおおおおおお!」

「俺の勝ちだ」

 燃え上がる魔の王、この火は焼き尽くすまで消えることはない。これで、旅に出て8年。やっと、やっとルミエラを生き返らせることができる。


「この我が、ここで滅するというのかあああ!」


——ねえねぇ、知ってる?魔王を倒すと、神様がどんな願い事でも1つ叶えてくれるんだって


——知ってる


——もしなんでも願い事が叶うとしたら、何を願うの?


「アレスよ、汝は何を願う?」


 ルミエラを生き返らせることができないのなら、俺は———

「——やっぱりルミエラがいない世界なんて考えられないや。世界をやり直して、勇者に選ばれる人間をルミエラの代わりに俺にしてください。そして、ルミエラが死んだときまた時間を戻してくれますか?」


「魔の王討伐も消える。魂には残るが、技術も、経験も、記憶も消えるだろう。したらば、汝は魔の王に勝つことは不可能だろう。それでもその願いで良いか?」

「あぁ、それでいい…いつかハッピーエンドを迎える日まで待っていてくれると嬉しいです」

「承った」


 時間が、場所が、姿が変わっていく。記憶も抜けていき、あの日まで遡った。


☆★☆


「…んだって!」

「ねえ!アレスくん聞いてる?」


「あ、ごめん!もう一回言ってくれるかな?」

「もう…知ってる?魔王を倒すと、神様がどんな願い事でも1つ叶えてくれるんだって!」


 その瞬間、なぜか僕の頭にこの言葉が浮かんできた。


「もしなんでも叶えてくれるなら、()はハッピーエンドを望む」


「ハッピーエンド?…ってどうしたの!?急に泣き出して!」

「わからないけど…僕は、ルミエラがここにいることが凄くうれしいんだ」

「そうなの?じゃあ、もし願い事が叶うなら、私もハッピーエンドをお願いする!」


☆★☆


——ねえねぇ、知ってる?魔王を倒すと、神様がどんな願い事でも1つ叶えてくれるんだって


——もしなんでも叶えてくれるなら、俺はハッピーエンドを望む


——私もハッピーエンドが良い


——魔の王を倒して帰ってくるよ


——帰ってきていないじゃない


——戻ったら、一緒に平和に暮らそう。それでハッピーエンドだよ


——魔王を倒しても君が居ないのならバッドエンドだよ


「勇者ルミエラ。神力が届かぬ魔の領域の討伐をご苦労だった。対価として何を望む?」


アレスくん、貴方がいないまま15年間を過ごすなんて耐えられなかった。だから私は——


「——神様、私の願いは————


最後にルミエラが願ったことは想像にお任せします。アレスが8年で四天王まで倒して、三傑に敗れました。その後、ルミエラが7年で魔の王討伐を完遂させました。


 連載にするようなネタではないけれど、思いついたので、書いてみました。もしこのような流れで連載ネタを思いついた方がいましたら、読みたいのでぜひ書いてください!

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