心の扉。。。!
。。。本文。。。
いつも一人ぼっちの中学生になる梨花が寂しげに言いました。。。
「お母さん、コンビニに行ってくるから!」
お母さんの返事もなく梨花は部屋から出て玄関に向かいました。。。
土曜の午後を過ぎていた。。。
玄関を出ると、秋の青空の広がり清々しい風が梨花の頬を撫でていた。。。
「今度は何を万引きしようかな?」
「何が欲しいって訳じゃないんだけどっ!」
幼い頃から母親にも父親にも構ってもらえず梨花は万引きをするのが癖になっていました。。。
「あ~~~! 今日もつまらないな~!」
「なんか刺激が欲しいな~!」
そんな梨花は友達も少なくいつも自分の殻に閉じこもり天気とは裏腹に閉鎖的に一人行動が好きでした。。。
「今日は、どこのコンビニに行こうかな?」
「この前は、店員に見られそうでドキドキしたから、同じコンビニに今日も行ってみようかなっ!」
梨花は、万引きが悪いことと言う認識が薄れゲーム感覚でドキドキする感覚を楽しんでいたのです。。。
「最近は、なんだか慣れてドキドキも無くなってきたから店員の前でやってみようかな~!」
などと梨花は、更に刺激を求めようとエスカレートしていく自分に気づくこともなく毎日を過ごしてきました。。。
「今日も先ずは、カフェオレだね!」
持参したコンビニの紙コップをコーヒーの機械に置き、カフェオレのボタンを押した。。。
カフェオレが紙コップに流れ落ちた。。。
カフェオレをタダで入れ入口横にあるガラス張りで外が見えるイートインコーナーの椅子に腰かけた。。。
次は何を万引きしようかと考えカフェオレを一口飲んだ。。。
「先ずは、カフェオレに合うチョコレートをもらっちゃえっ!」
梨花は、悪気もなく更に万引きを続けようとイートインの席を立った。。。
そのまま店内中央にあるお菓子のコーナーに足を運んだ。。。
梨花は、チョコレートのある棚の前に立ちどれにしようか選んでいた。。。
「最近は、ビターチョコが流行りだから、このチョコにしようかな!」
梨花がチョコを取りポケットに入れようとした。。。
梨花のポケットに入れようとした腕に知らない人の手が差し伸べられてきました。。。
「え! 何ですか?」
梨花は、その手を差し伸べたおじさんに顔を向け言いました。。。
そこには古びたスーツを着た中年の痩せこけたおじさんが立っていました。。。
「お嬢さん、今ポケットに入れたチョコレートを戻しなさい!」
おじさんは、やさしく梨花に話しました。。。
「何いってんのよ! 店員にでも警察に言うなら言えばいいでしょ!」
梨花は、とうとう見つかったと観念し開き直りました。。。
「お嬢さん、とりあえずこの店を出ましょう!」
おじさんは、ポケットの中のチョコレートを棚に戻した。。。 そして梨花が先ほど飲んだカフェオレの代金を店員に支払い、梨花の手を引きコンビニを出ました。。。
「何よ! おじさん、どこに連れていく気!」
「どうせ! 警察にでも連れていくんでしょ!」
梨花は、ドキドキを通り越し、これで最後だと思いました。。。
「万引きをしたことを脅してホテルにでも連れて行こうって言うんじゃないのっ!」
そう言い梨花は、この際とことんグレてやると思った。。。
「少しこの公園で話をしませんか?」
そう優しくおじさんは梨花に話しかけ公園に入って行った。。。
おじさんは、公園のベンチに座りや、さしく梨花に話をしだしました。。。
「おじさんもね! 昔は良く万引きしたんだよ!」
「でもね! その時に警察に捕まっても後悔なんかしなかったんだよね!」
「捕まえやがってなんて思い更にエスカレートしたもんだ!」
梨花が、下を向きながら寂しげにおじさんの話を聞きだした。。。
「おじさんはね! その時に思ったんだ!」
「もし、その時に警察に突き付けられて警察沙汰になり大げさになるより、そっと自分がしたことを叱ってくれて相談に乗ってくれる人がいたのなら・・・!」
「そう、思ったら、今度同じような、あやまちをしている人がいたら警察に突き付けるのではなく、ちゃんと話を聞いてあげようと思ったんだよ!」
「きっと、寂しくて寂しくて万引きという行動に出たんだと思うから・・・!」
梨花が、少しうなずき、うっすらと涙し言いだしました。。。
「うん! お母さんもお父さんも忙しくて中々構ってくれないし友達も少ないし・・・!」
梨花の頭をなで、おじさんは言いました。。。
「良いんだよ! それで・・・!」
「もう、一人じゃないんだから・・・!」
梨花は、うなずき涙しました。。。
「同じ様な人を見かけたら同じように話を聞いてあげるね!」
「おじさん! ありがとう・・・」
梨花は、私みたいな人を見守ってくれる人がいるんだと心に刻み、やっと心を開く事ができました。。。
人を好きになるって、こんな思いなのかと梨花は初めて恋をしたのかもしれません。。。
。。。おしまい。。。