第一話
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宙に走る銀の剣閃、響き渡る剣劇の音、輝く異能の光。
それは命のかかった駆け引きであるにもかかわらず、多くの人を魅了する。
そうして剣と己が異能に魅せられた者たちが強さを求めて日々己を磨く街、それがここ【剣都アルン】だ。
そして今日もまた、剣士を目指す者がいた。
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姉さんが修行のために家を出て2年、やっとこの日がやって来た。
僕も今日で14歳、異能を授かり、アルンへ行ける歳になった。
楽しみすぎて、いつもより早く眼が覚めた僕は、庭に出て剣をふっていた。
父さんと姉さんに習った剣術をゆっくりと確認していく。
そして、ずっと練習してきたオリジナルまで、一通り通していく。
父さんに提示されたアルン行きの条件は、『僕だけの剣技で父さんに勝つこと』。
姉さんにも全く同じ条件を出したらしい。
姉さんはすごいなぁ、と考えつつも素振りを繰り返す。
素振りを終え、朝食をとった後、僕は教会にやってきていた。
14歳になった者には、教会で異能が授けられる。
さっきシスターさんが何か説明をしていたが、正直あまり聞いていなかった。
僕の前では、村の同年代の子供が数人、異能を授かりに来ている。
授かる異能次第で、今後の立場が決まるのだろう……正直そういうのは面倒だと思う。
「はーい、次の子ー、この石板に触ってね。」
僕の番になった。促されるまま石板に手を触れる。
その瞬間、異能が授けられ、石板が輝か……無かった……
「え?ボク、もう一回触ってくれるかな?」
シスターのお姉さん、笑顔が引きつっているぞ?
もう一度触れる……今度こそ石板は輝や……か無かった……
「嘘……こんなことって……」
シスターさんから笑顔が消えた。
この時点で、僕での流石に察した。
「残念ですが……」
やめてくれ……
「あなたは……」
もうわかった、言わなくていい……
「…………無能力です……」
「……やっぱりか」
14歳になったこの日、僕、アルトは己の才能の無さを知った。
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家に帰ると、父さんと母さんが駆け寄ってきた。
待ちきれずに家の外で待っていたようだ。
「アルト、どうだった?」
「俺たちの息子だぞ母さん、姉のアリアと同じように、きっと凄い異能を授かったにきまってるさ!」
父さんの言葉に、胸が締め付けられる。
僕はこれから、この期待を裏切るのだ、有能な姉との格差がさらに広がるのだ、と。
二人はきっと失望するだろう。
アルン行きも止められるかもしれない。それでも……
「父さん、母さん……」
僕はありのままを伝えると決めていた。
「僕は……無能力だったよ」
「「……!?」」
やっぱりだ、二人は驚き、そして僕は……
「もしかしてそれで落ち込んでたの?アルト」
「無能力か…珍しくて面白いじゃないか」
……え?
「失望したり、しないの?」
二人は当たり前のように頷いた。
「自分の生んだ子供に失望なんかしないわ。それに、無能力って物語の英雄みたいでいいじゃないの」
「そうだぞアルト、無能力は少なく、その道も厳しい。だが、過去多くの無能力者は努力で才能を開花させ、英雄視されている者も多いんだ。お前ならきっとできるさ。なんたって俺と母さんの子だからな!」
……気が付くと涙が流れていた。
失望されるとばかり思っていたのに、この両親は俺に英雄になれるとまで言ってくれる。
今度こそ、この期待に応えようと心に誓った。
さあ、まずは父さんに勝って、アルンに行って見せるんだ。
どこで切るかすごい迷った……