マッハ、反乱軍を討伐する
「半裸職不問@4! 荒野で!」
受注広場の中心で、叫ぶ。
反乱軍の大将は、上半身ハダカのマッシブ野郎だからな。
荒野は街からのアクセスもいいし、じゃんじゃんいこう。
「職不問ってマジか?」
「ペット壁でもいいの?」
早速、お2人。どちらも魔法士か。無問題。
「いいぜ! 大将はオレがやるから、雑魚を一掃してくれよ。従魔召喚!」
そういって、俺は育成しているもう1匹を召喚してみせる。
スコーピオンキング
赤熱サソリ LV94
HP 1264/1264
SP 463/463
腕力 475
体力 103
敏捷 103
知力 103
精神 103
スキル 赤熱 双鋏尾三段
俺の自慢の1匹だ。
赤熱サソリは非課金ペットだが、腕力と敏捷の資質が高い。
非課金ペットは課金ペット専用装備を着けられないし、当然全力を注がれた課金ペットには及ばない。
しかし、野良ペットには野良ペットの良さがあるのだ。
元手がそこまでかからない。
ペットにはそれぞれ固有の資質限界値があるが、野良ペットなら何匹でも捕まえ、その中から最高に近い資質のものを選べる。
廃課金者ならどんな資質のペットでも資質向上の薬を飲ませまくって最強にできるが、普通にとりあえず用意しました、程度の課金ペットくらいなら余裕で凌駕できるくらい、俺のスコーピオンキングはフルチューンアップしている。
そして何より、スキル「赤熱」を持っている。
効果のほどは、実戦でお見せしよう。
「おお~。赤熱サソリか。珍しいの使ってるな」
「しかも闘士の応援付きか。やべぇな。これなら大将もイチコロだろうな」
「モチのロンよ! さあ、半裸不問@2だ!」
俺は持ち上げられ、機嫌をよくしながら、募集を続ける。
「これ、ホントに参加していいの?」
「LVも不問なの?」
これまた魔法士。
しかもLVが40台とは低めだな。
「ぜんぜんオッケー! 補正入るから、防御推奨するぜ!」
敵のLVは、こっちの最高LVに合わせられる。
今回は最初に応募してきた魔法士の90だ。
あまりにもLV差があると補正が入ってダメージが通りにくくなり、逆に相手からのダメージは倍増してしまう。
補正で応募なんてキセイノキワミだが、的が増える分、動きやすくもなる。構わない。
「よーっし半裸募集〆。行こう行こう!」
こうして、魔法士4人を引き連れ、俺は荒野に向かった。
半裸大将は、荒野の中でも決まったところにいる。
今回は街から一番近い谷間にいた。
さあ、3回分あるからサクサク行こう。
「かまわず巻き込んじまっていい。全体頼むわ」
言うが早いか、俺は大将目掛けて突き進む。
取り巻き? 何人いたって関係ない。どうぜ魔法で沈む。
白コング戦で見たアイスピラーの他、強い風が吹いたり、燃え盛る炎に巻き込まれたりして、取り巻きがあっという間にやられていく。
大将はというと、半裸のクセにピンピンしている。
魔法攻撃は吸収するという、魔法士泣かせのスキルを展開してるからな。
これが、魔法士は半裸PTに向かない所以だ。
全快から削りきれれば何の問題もない。
俺は半裸大将の手前で、スコーピオンキングに活性をかけ、命令する。
「キング! 双鋏尾三段だ!」
「キシッ」
従魔活性を受けたスコーピオンキングは、スピードを増して大将に突っ込んでいく。
大将はスコーピオンキングに狙いを定め、手に持った斧を投擲してきた。直撃コースだ。
だが、しかし。
「オレのキングはそんなもんじゃねぇ! いけ!」
俺の声に呼応して、元々赤いキングの身体が、さらに熱を帯びていく。
スキル「赤熱」だ。
体内の熱を過剰に放出し、運動性を上げる。
赤熱サソリの固有スキルだ。
これに闘士の従魔活性を加えれば、その速度は通常の3倍。
サソリの甲殻で、あのスピード。
まさに動く鎧。モビールアーマーだ。
再加速したキングは、大将の投げた斧を置き去りにして、一気に大将の懐に辿り着く。
そこで華麗なる3連撃!
両鋏と尻尾で次々と致命打を与えていく。
スキル双鋏尾三段だ。
半裸大将は消滅した。
勝利!
まさに問答無用。
「すっげぇ……。大将が一撃か」
「ペットとか、関係なかったな」
「どんな風に育てたら、そんなになるんですか?」
魔法士たちは、普段半裸大将戦で苦労しているんだろう。色々質問してきた。
「そうだな。まずはちゃんとした資質のやつで、しかもできるだけLVの低いやつを捕まえることだな! あとは、役割を決めて、思い切った育て方をすることかもな! ま、こっちはオレの趣味だけど!」
とかなんとか、持論を交えて話しながら、街と荒野を行き来して、3回の半裸軍討伐を終えた。