大聖堂地下護衛任務 東方剣士、伸びる
でっかいでっかいおばけきのこを丸飲みした俺は。
元の身長に戻った。
「マンマミーヤ!」
「ゲロッ!」
コスプレオッサンブラザーズも大絶賛だ。
ってかゲロやめれ。
「も……戻った。本当に。えっなんで? どうしてきのこ食べたら戻るんですか? そもそもなんで縮むんですか?」
理解が追いつかない様子のエルンスト。
ハンケツも背後のブリザードが消滅して、心底驚いているようだ。
「よし、では進もう」
大分時間をくってしまったからな。
早いところ依頼を達成してしまいたい。
スタスタスタ。
「ってちょっと待ってまってまってまってまってまってまってまってまって!」
「なんだ、エルンスト殿。聞こえているぞ」
「いやいやちょっとぉ、待ってくださいよ。僕の分は?」
「ないぞ。食べてしまった」
「え~~~~~、ちょ、えーーーーーーーーーーなんで残しといてくれなかったんですか、僕まだ縮んだままなんですけど」
なんだこら。
調子のいいやっちゃな。
あんなに食べたくなさそうにしてたじゃまいか。
俺が何か言う前に表情で伝わったらしく、エルンストはさらに言い募ってきた。
「それはだって、さっき死にかけたんですから。ねえ? 警戒、しちゃいますよ! 何も丸飲みしなくてもよかったじゃないですかぁ」
しつっこいなぁ。
気合い入れて食べたんだからしょうがないだろ。
俺だって、何が悲しくてこんな地下きのこ食わなあかんのんや。
でもちょっとゲーム脳だったな。
確かに、全部いっぺんに食べなくても、ちょっとだけ食べても効果があったかも知れないし、持ち歩きだってできたかも知れない。
上部真ん中の白い枠的な。
「言われてみれば、そうだった。面目ない」
「あっいや、でも東方さんが食べてくれたから、僕も希望が持てたんです。ありがとうございます!」
もうどっちやねん。
もうええわ。次行こ、次。
スタスタスタ。
「あ~~~だから、もう一個探してくださいよう!」
エルンスト、必死にポコポコブロックを叩きながら後を追ってくる。
コミカルだな~~。
お。
ハンケツもブロック叩いてら。
そうだよ。
やっぱ、人助けの道を選ばないとね。
「出てきましたよ」
おー。
でてきた。
きのこだ。
煎茶を淹れて底に残ったみたいな地色に、茶褐色の小さい斑点のある。
「良かったな、エルンスト殿」
「うわあありがとうございますってこれ毒きのこじゃないですかバッキャロー!」
エルンスト、きのこを受け取ったかと思ったら秒でフルスイング、哀れなきのこは闇の彼方へ消えていった。
うん、華麗なノリツッコミだったな。
「勿体無い。化けて出るぞ」
「おばあちゃんみたいなことを言いますね。望むところです。化けて出てきたら斬り刻んで経験の足しにしますよ」
あれ、エルンストこんなキャラだったっけ。
なんか今回の探索で逞しくなってる?
その後もブロックをポコポコ叩きながら進んでいったが、当たりのきのこは出なかった。
散発的に登場する空飛ぶ亀や黒ヘルメットを倒しながら、進むこと数分。
俺たちは、遂に目的地に辿り着いた。
視線の先に、破れた配管が見える。
あれを直せば、クエスト完了の筈だ。
「アマーリオ殿、ルイニ殿。配管に相違ないか」
「ホッホ~~ゥ!」
「ゲコッ!」
心なしか二人のテンションがもう一段階上がった気がする。
どうやら間違いなさそうだ。
俺は、配管を見上げながら、ひとつ息をついた。
そう。
斜めに見上げた、はるか、はるか先。
一面に広がる花畑には、ガチガチと牙を鳴らし、跳びはねる真っ黒い花。
空中には、豆粒のように見える空飛ぶ亀が、至る所に存在している。
黒い花の群生地のど真ん中、数少ない足場と、上昇し続ける謎のリフトを越えたはるか先。
そこに、配管はあった。
初見でこれを越えるのは、ちょっと厳しそうだ。
アクションしなくて済む方法は、ないものか。
「エルンスト殿。あの花だが」
あまりの光景に茫然としているエルンストに話し掛ける。
「斬れないか?」
「……えっ……え~~~。斬れますかね?」
「斬れれば、歩いて行ける」
「無理だと思いますけどね……」
全く気乗りしない様子で、エルンストは構えた。
下段の構え。
遠距離攻撃の、予備動作だ。
フゥ~~~
フゥ~~~
「影心」
呼吸を整え、剣に黒いオーラが溜まっていく。
「影光!」
申し分のない一撃だ。
カィンッ!
むぅ。
ダメか。
アクションするしか、ないのか。




