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オレ、マッハ!!!!!!!

 よし。

 1回、落ち着こうか。


 ケモミミは可愛い。


 うん、可愛いな。間違いない。


 ケモ尻尾は可愛い。


 うん。可愛いな。これも間違いない。


 ケモミミとケモ尻尾生えてる俺、可愛い?


 いや、カワイクナイだろう。

 誰得だよ。


 うん。


 尻尾だけじゃない。


 俺、ケモミミ生えてる。頭の上の方に。


 側面のヒトミミ?


 ねぇよ。

 あるわけねぇだろ。

 耳が4つじゃおかしいじゃん。ファンタジーじゃん。


 あれ?

 ファンタジーならあってもいいのかな?


 う~んどっちだろ。


 ……。


 ハッ!


 しまった。現実逃避していた。


 いや、待て待て。


 それも言葉としておかしいかも知れない。


 なにせ、今この時が夢幻かも知れない。


 そうすると、むしろ逃避した先に現実があるということになるから、この場合、言葉の定義としては夢逃避とでも言えばいいのかも知れない。


 ……。


 ハッ!


 またしても気がついたら逃避していた。


 思考回路がショート寸前だ。


 いかんいかん。


 こんなことでは、楽しむ前に全てが終わってしまう。


 全ての理不尽を受け入れろ、俺!


 1度、荷物を持って部屋を出る。

 手洗い場を探したが、生憎と姿見はなかったので、また部屋に戻って一息つき、手探りで全身を検めていく。


 お。髪の毛、なんか、ツンツンしてるな。

 なんか、ク〇ノトリガーとかドラ〇エの主人公っぽい感じ。


 普段の俺のクセッ毛とは、全然違う。


 それに……。


 ふに。


 ふにふにふに。


 ほふぅ。


 耳、くにくにしてて気持ちいいかも。


 ……。


 ハッ!


 無心で触ってしまった。


 いかんいかん。まったくなんて恐ろしい罠なんだ。


 気を取り直して、確認に戻る。


 髪の毛の色が青い。それに、足元は、バッシュのようなものに、赤い宝石が左右5個ずつ埋まっている。


 ……。


 すっごく見覚えがある。もしかして……。


「オレ、マッハ!?」


 俺は、マッハかもしれない。

 マジか。マジなのか。



 マッハというのは、サービス終了してしまった『ファンタジーブラゲワールド』において俺がメインで使っていたプレイヤーキャラクターだ。


 俺はけっこうアクション映画が好きなのだが、奪われた仏像を取り戻すため村を出てムエタイで戦うノンスタントアクション映画に着想を得た(平たく言えばパクった)ネーミングのキャラクターだ。


 FBWでは、レベルアップごとに能力値を自分で振り分けられるのだが、もちろん、敏捷に全振りしている。


 かなり尖ったステータスで評判のオレマッハだったが、度重なる仕様変更で、ファイタータイプのキャラクターのスキルは敏捷依存になったので、むしろメジャーなステ振りになってしまった。


 そうはいっても、オレマッハは終始一貫して敏捷極振りを公表し、しかも、ロールプレイでサービス開始から(第2サーバーだけど。第1サーバーはほら、お試しだから、さ)いつも「オレ、マッハ!」「~~~だぜ!」と、語尾は「ぜ+!」で統一していたので、元祖ファイタータイプとして、その暑苦しさとともに定着していた。


 なるほど。


 これならケモミミも納得だ。


 オレマッハは、ブルーキャット族のファイターだからな。


 え~と。


 要は、FBWのキャラの1人になってるみたいだな。


 この際だから、オレマッハになりきったまま、いってみるかな。


 と、もし俺がオレマッハなら、あれもこれもできるんじゃなかろうか。


 そういうわけで、ちょっくら念じてみる。

 お、でたでた。



 マッハ!!!!!!!


 上級闘士 LV89


 HP 3330/3330

 SP 1186/1186 


 腕力 98

 体力 98

 敏捷 750

 知力 98

 精神 98


 スキル 従魔治療 従魔活性 シュート ターゲット



 ふ~~む。


 これ、サービス終了の時のステータス、そのまんまだな。


 いよいよもって、本格的に、俺、オレマッハじゃん。


 虎の子のキッ〇力増強シューズもあるし、ということは。ここ、受注広場前の『冒険者の仮宿』か。


 そう考えてみると、そこかしこ、何となく見覚えがある。


 毎日のように過ごした街並みなら、割と楽しめそうだ。


 ……よし。

 今の俺がオレマッハなら、アレもできるはずだな。


 俺は、窓を開け、そこから外に出る。


 ここは2階だが、おかまいなしだ。


「オレのディメンションシューズなら、楽勝だぜ!」


 目に見えない階段を降りるようにして、俺はギルドに向かう。


 どこにでも足場を作ることができる。

 それが、オレマッハのディメンションシューズの力なのだ。

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