第4話
「わかりました。精一杯頑張ります」
その言葉を聞いた水を司る神が微笑みながら
「ここのところ、管理の方に時間を取られてしまい中々探しにいけませんでした」
「これで少しは創造神様の捜索に戻れそうです。ありがとう」
そう言いながら頭を下げる。
そして頭を上げて
「まずはこれから征く異世界で千年ほど創造神代理をしてもらいます」
「そこで様子を見て大丈夫だと判断したら幾つかの世界を掛け持ちしてもらう予定ですので頑張って下さい」
・・・掛け持ちしてもらう予定?
え、そんな話聞かされてませんが?
そんな疑問を顔に浮かべていると
「安心して下さい。最初こそ苦労なされるかと思いますが一つの実績を上げれば大抵は慣れます。その後に二つ、三つ増えたところでそんなに変わりはありません」
「それに、これから貴方にお任せする世界は他の世界と比べ比較的平和で星の数も少なかったと記憶しております」
一つの世界を任されるだけで重責なのにその後に複数が待っている。しかも慣れろと・・・。先の事を考えて不安にしかならない。しかし、管理する星が少ないのは助かる。それだけ問題が起きる事は少ないはず。
しかし、これから向かう世界にも神はいる。出来れば話し合いに重点を置き協力体制を築きたい。だが、「別世界から来ました名も無き神です。この世界の創造神代理になりました」と言って協力してくれる神がいるのだろうか?もし、自分が相手の立場だったら(こいつの頭の中は大丈夫か?)と普通は思うぞ。
それに、何かしらの問題が起きて敵対してしまった場合はどうすればいいの?
今までに他の神様と闘った事なんて一度も無い。
人に転生した時に二度、戦地に送られ戦った事はあるがその時の経験なんて神同士の闘いに役に立つとは思えない。
さて、どうすればいいんのだろうかと考え、悩んだ挙句に三つ打開案を閃く。
対面に座っている神様に聞き入れてもらえるよう深く頭を下げてお願いする名も無き神であった。
今、水を司る神と共に異世界の人が住んでいる星に連れてきてもらっている?と言うより転移して来たと言った方が正しい。話によるとこの世界にある星の中では一番地球に似ているとの事。
今居る場所は多分森の中なのか?目の前には一本の大きな木が聳え立ちその周囲には奇麗な花が咲き乱れている。どこかで見た事があるような、ないような。なんとも不思議な光景に目を奪われていると
水を司る神が大木に
「お久しぶりですね。私の事は憶えていますでしょうか?」と話しかける。
すると
「久しいの、五百年振りだったかと?儂はまだボケてはいませんぞ。水の神よ」
大木から声が返ってくる。その声に
「姿を見せていただきませんか?今日は大事なお話があります」
そう返答すると大木の根元近くで光が集まり人の形を纏い、消えると杖を持った老人が立っていた。
老人は杖を突きながらゆっくりとこちらに歩み寄り
「ようやくこの世界にも創造神代理をしに来てくれたのですな、水の神。儂は嬉しくて嬉しくて年甲斐もなく涙が溢れてくるわい」
しかし、次の言葉を聞いた老人はまさに絶望した顔になる。
「はい。だいぶお待たせしてしまいました。こちらにいる神がこの世界の創造神代理です」
暫く無言が続き、眼光鋭く睨みつけてくる老人が
「このパッとしない男が代理?儂は綺麗で御淑やかな水の神が代理になって頂けると思っておったのじゃが・・・」
その言葉を聞いた名も無き神は
(この老人ただのエロ爺だな)と心に思うのであった。
誤字、脱字等ありましたらすみません。
毎度1000~2000字の短い文章です。ごめんなさい。