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時空交差点~フタリノキョリ~  作者: かんな らね
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プロローグ~第一章 非日常開始 1 side ???

初めて投稿した作品を改稿したものです。

タイムトラベルものですが、ちょっと恋愛要素もあります。

主人公二人それぞれの視点で交差しながら話が進んでいくので、「時空交差点」というタイトルにしました。

 プロローグ


 一人でも平気だった。

 辛くても痛くても耐えられた。



 なのに

 君と出会ってから一人が怖くなった。



 

第一章 非日常開始



 1 side ???


 正常か正常じゃないかと問われたら、私は前者だと自負している。

 だから、この正常ではない世界では息が詰まる。


 今、教室で席についているけど、周りを見渡すと正常じゃない人ばかり。

 例えばあの女の子達六人組。本当に同じような笑顔で、一体何に対してあんなに盛り上がってるの?

 例えばあの男の子達三人組。雑誌を開いて笑っているけど、反対側から覗き込んでる君は本当に内容を読んで笑ってるの?

 まるで笑顔のお面をしているみたい。

 気持ち悪い。

 声の大きさで存在証明。

 愛想笑いで自己防衛。

 私は……


「ねぇ、お昼一緒に食べようよ!」

 不意に声をかけられる。横を見るとクラスメイトが笑顔でこちらを向いている。彼女に普通の人には見えない者が見えると言う特殊能力でも無い限り、話し掛けている相手は私だ。

「ごめんなさい。今日はお昼に生徒会の資料をまとめなきゃいけないから。また誘ってね」

 一瞬で思考を切り替えて、自分でも気持ち悪いくらい爽やかな笑顔で応える。

「そっかー。数学の宿題の確認もしてもらいたかったんだけどなぁ。残念」

 そう言うと、彼女はくるりと背を向けて友達グループの輪の中に戻っていった。グループの女の子達が、私の方に同じ笑顔を向け声をかけて来る。

「また生徒会?」

「あんた部活も何か大変そうじゃ無いっけ?」

「宿題~」

「無理すんなよ~」

 私も他人から見れば、このグループに属しているらしい。

 高校に入学して半年経つけど、彼女達のグループに入部届を出した覚えは無い。

 お弁当を一緒に食べて、宿題を見せ合って……見せているだけの気もするけど。それから彼氏自慢を聞いて、好きな人の話で盛り上がって……。女子高生はそういう話をしなきゃいけない決まりでも有るのだろうか?

「大丈夫だって。それじゃあ行ってくるね」

 また思考をめぐらせそうになるのを振り払い、当たり障りの無い返事をする。ひらひらと手を振りながら教室を後にする。

 彼女たちよりも、ずっとわざとらしい笑顔で。

 実は私は嘘つきってほどじゃないけど、正直者ではありません。

 ……やっぱりちょっと嘘つきかもしれません。

 さっきは正常だなんて言ったけど、本当は私、正常ではないんです。

 いつも本当には楽しくなくて、皆と同じように笑えなくて……。

 異常なのは私の方なんです。

 だからこの正常な世界は息が詰まる。


 教室を脱出して一安心。溜息の一つも吐きたいところだが、まだまだ気は抜けない。

 廊下にだって人が居る。

「おはよー」

「おっひゃー」

「おはよう」

 声をかけてくる一人一人に笑顔で挨拶する。

 もうお昼だから「おはよう」じゃ無い気もするけど校舎内で「こんにちは」も変だから、やっぱり「おはよう」なのかなぁ?

 途中で面倒臭くなり、人を避けるように屋上へ避難する。

 屋上へ続く階段を上りながら口笛を吹く。今流行りの曲。流行に流されるのは好きではないけど、流行るだけあって良い曲だと思う。

 そもそも、人目を避けなきゃいけないってのも私自身のせいなのだ。それ位は分かっている。

 一年生にして生徒会書紀、更にクラス委員長……。しかも上品で可愛くて成績優秀で通っている。はっきり言って人気者だ。

 そういう自分を演出している私は、はっきり言って嫌な女だと思う。

 だけど、いくら好きでやっているとは言え、学校に居る間中そんな自分を維持するのは難しい。だから本当に息抜きが必要なのだ。


「あー、生き返る」

 屋上の扉を派手に開いて地声を出す。いつも教室内では、電話に出る時のような声を出しているから普通の声を忘れてしまいそうになる。

 基本的に屋上は、鍵も掛かっていて立ち入り禁止になっている。しかし、信用ある優等生且つ、生徒会役員の私にとっては、屋上の鍵を手に入れる位どうって事無い。というか、この屋上からの景色が見たくてこの高校に入ったし、生徒会にも入ったんだ。市内で屋上のある高校はここだけだったから。


 県立真田高等学校。

 地元では結構名の知れた進学校だ。近所の女子高の文化祭に真田高の生徒手帳を持ってナンパに行けば、学力だけで頭と中身のレベルが低い男でも、三人は女の子をゲットできると言う、女の子を馬鹿にするにも程がある噂もよく耳にする。……よく考えると、男の子も馬鹿にしているよな。まぁ、あくまでも噂なんだけど。

 だけど、私にとってはそんな高校のレベルなんて小さな問題。

 天才少女。

 それが、名前よりも最初に世間に認知された私の愛称。

「大人しく留学すれば、十年前には大学も卒業出来ていたのに」

 と、色んな人たちによく言われる。

 確かに、何でも覚えてしまえば点の取れる現在の日本の教育なんて、無意味な上、暇なだけだ。本当に私が人より頭が良いのかは実は良く分からない。けれど、記憶力には自身がある。

 屋上からは市内が一望できる。

 お世辞にも都会とは言えない。でも山と海と空のバランスが絶景で最高だ。お弁当は取り敢えず置いておいて、鞄からスケッチブックを出す。勿論描くのはこの屋上からの景色だ。入学してから何枚も描いてる。でも全部未完成。

 空の色が出せない。

「ふぅ」

 ペットボトルのお茶を一口飲んでから、空を見上げる。

 雲ひとつ無い青空。

 私は少し雲がある方が好きだ。何にも無い青空は、何でも吸い込んでしまいそうで、少し怖い。

「本当に真っ青……じゃない!」

 真っ青な空に、黒い影が不意に現れる。

 飛行機やヘリコプターの類ではない。

 それはぐんぐん大きくなって近付いてくる。

 三〇センチメートル位の球体の下に、一.五メートルぐらいの円柱に近い形のものが付いている……。

 そんな事を考えている間約〇.五秒の間に、その影が何かは分かった。

 少年が空から降ってきた。

ここまで読んでくださってありがとうございました!


昨日から小説家になろうを始めました。

昨日は最初という事もあり短編をアップしたので、今日からは長編を始めました。

これは一番最初に投稿した話がベースになっています。

完成作品を分割投稿予定です。


良かったらお付き合いくださいませ。

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