爺、今度は何をした
◇◆◇side銀次◇◆◇
「ただいま」
「おぉ、銀次!早かったの!」
(ん?この時間に爺が畑じゃなくて家ん中に居る?また、なんかやらかしやがったな。)
「いつも通りの時間じゃねぇか、てか仕事は良いのか?」
「そうじゃったかの?今日は用事があったもんでの仕事は良いんじゃよ」
「ふーん、まぁいいわ。荷物置いて着替えたら飯の準備すっから待っとけよ」
「いつもすまんの。銀次が来てから家事をしてくれるから助かるわい」
(やっぱり怪しい
いつもは言わない事を言ってやがる。
まぁ、俺に実害がなければ良いか。
さてと、荷物をとっとと置いて夕飯つんくねぇとな
冷蔵庫の中何が残ってったけな)
そんな事を考えながら部屋に入ると見慣れない箱が置いてあった。
(やっぱりか、今度は何をしやがったんだ。てか、これ何だ?)
箱を開けると中にはソフトとヘッドギアが入っていた。
(これって最近テレビで取り上げられてるVRMMOのソフトじゃねーか!
しかも、最新のフルフェイス型のギアって!
おいおいおいおい、爺よぇ。今回は何をやらかしたってんだよ。
こんなもの買ってくるなんてよっぽどの事じゃねぇかよ。
くそ!夕飯の支度の前に問い詰めねぇとヤベェぞ!)
銀次は慌てて部屋を飛び出すとリビングに向かった。
「おい、爺!今度はないしやがった!」
「の、のぅ銀次よ、決め付けるのは良くないと爺ちゃんは思うのじゃが?」
「今更何言ってやがる!何年一緒にいると思ってんだよ!爺が俺にもの買ったり、気遣ったりした時に何もなかった事があったか?いやなかった!そして、今回は今までにないぐらい高額な物だ!さぁ、はけ!何をした!」
「ふむ、仕方ないのう。大声を出すでないぞ?」
「俺に実害が無ければださねぇよ」
「そうか、入って置いでないさい」
「入ってこいってここには俺と爺しか居ねぇだろ?まさか!?」
銀次が確信を持って振り返るとそこには、同い年くらいの女の子とその女の子の後ろから顔だけを出して隠れている少女がいた。顔立ちが似ている事から姉妹だろうと銀次は予想した。
銀次は祖父の方へ向き直り青筋を額に浮かべながらにっこり笑うと
「爺、ちゃんと説明しろよ」
「も、もちろんじゃ!じゃから、落ち着け!そして、先に飯を頼む!あの子ら分も含めてじゃ!食べ終わったら落ち着いて話し合おう!」
「ちっ!わーったよ。食べ終わったらきっちりと聞かせてもらうからな」
銀次が台所に向かっていき2人の少女はどうしたら良いのかわからず立ち尽くしていた。
30分程すると銀次が料理を持ってきた。
「てめぇら、何立ってんだよ?爺が連れてきた以上俺に拒否権なんてねぇんだから、自分の家だと思ってくつろげば良いだろうが」
「銀次よ、言葉がちぃと乱暴じゃぞ。女の子には優しくせんか。二人共こっちに来て座りなさい。こいつは言葉は悪いし、態度も悪く、目つきも悪いが、作る料理は美味いし、面倒見は良いやつじゃ、じゃから心配せんでも良いぞ」
そう言われた二人は銀次に怯えながら、テーブルに近づき銀次から一番遠いところに腰を下ろした。
「銀次よ、早速嫌われたのう」
「はっ、実害さえ無ければ嫌われようが好かれようが関係ねぇよ」
「相変わらずそれか、良い加減忘れたらどうじゃ?」
「そんなわけにいくかよ」
そのやり取りを見て姉が首を傾げた。
それを見て銀次は慌てて話を逸らす。
「そんな事より、さっさと食って説明しろ」
「仕方ないのう、銀次がこう言っておるし食べる事にしようかの」
姉妹は祖父の言葉に頷き食べ始めた。
〜30分後〜
食べ終わり食器を流しに銀次が置いて帰ってきた。
「さぁ、説明してもらおうか」
「はぁ、せっかちじゃのぅ。まぁ、ええわい。多少違うところがあるが簡単に言えば銀次、お主と同じじゃ」
それを聞いた銀次の目線が鋭くなる。
「俺と同じ、ね。(詳細を今話さないって事はこいつらを気にしてか、見るからに妹が怯えていて姉がつくり笑いか、確かに同じかもな。)まぁ、詳しい事は知らんが概ね分かった。それならあんなもん買ってくるのもわかるが、どうせ、俺のぶんだけじゃなくておいつらの分もあるんだろ?」
「正解じゃ、一緒にゲームをすれば多少は親睦も深まるじゃろう?」
「なるほどな、だが、俺は一人で遊ぶぞ」
「それでも、構わん同じゲームをする。そこに意味があるんじゃ、さてと自己紹介ぐらいは、せて貰わんとお互い困るかの」
「それで良いなら良いか、さっきからそこの爺が呼んでる通り俺は山本銀次だ。俺に害が無ければ問題ない好きにしろ」
「あ、はい。分かりました。私は千春"ちはる"と言います。隣にいるのは小雪"こゆき"です。私が16歳の高校2年で、小雪は12歳の中学1年です。」
「同い年かよ。誕生日は?」
「私が8月8日で、こh「自分で喋れないやつのは聞いてない」なっ!」
「銀次、女の子には優しくせい!」
「知るか!あと、俺の方が1日早いから俺が兄な、俺は片付けがあるからじゃぁな」
そう言って腰をあげると姉妹の耳元で
『自分らが一番不幸だなんて思ってんじゃねぇぞ』
そう呟いて台所へと向かった。