戦乙女
初投稿です。
それでも大丈夫!という方のみお進みください。
設定とかあまあまです(・_・;
途中で口調が変わりますが、それはわざとです。
とある世界に神子が舞い降りた。
この世界では誰もが知っている古い言い伝え
"神子が訪れし国は末永く繁栄する"
これは神子が降り立った大国の王太子とその婚約者のお話
………………………
王宮のバルコニーでは神子が控えめに微笑んでいる。
その佇まいからは儚さが感じられる。
彼女の両サイドにはこの国の王と王太子がおり、穏やかに、しかし力強さを合わせた微笑みを浮かべて立っている。
そんな神子たちを一目みようと民衆たちが集まっていた。
ただでさえ、この国は今、隣国との諍いをかかえている。
国境では両国軍が睨み合い、一触即発の状態が続いているのだ。
神子の出現に民は興奮を抑えきれない。
そんな様子を私はバルコニーの後方から眺めていた。
私の名前は、イザベラ=シュフテンベルグ。
シュフテンベルグ侯爵家の長女であり、王太子レオンハルト様の婚約者でもある。
とはいえ、侯爵家の長子でもあった私は、跡継ぎとして女ながらに騎士団に入り、副団長まで登りつめた。
そこでレオンハルト様と出会った。
作戦立案のために上層部と話し合う機会は何度もあり、レオンハルト様も同席されていた。
レオンハルト様は剣技もさることながら、軍師としての才能も顕著で、的確な布陣で国境を守っていた。
ある日私は、レオンハルト様から求婚をされた。
当然私はお断りした。
侯爵令嬢といえど、淑女よりも騎士として過ごす時間の方が長い私である。
跡継ぎ問題は私が副団長に就任した時期に弟が誕生したので、いずれは弟が侯爵を継ぐのだが、副団長という仕事にやりがいを見出した私は、その後も騎士団に所属し続けた。
弟がまだ幼いということもあり、父母も特に反対はしなかったのだ。
しかし、レオンハルト様からの粘り強い求婚に私は、ついに受け入れてしまった。
それが3ヶ月前のことである。
ーー求婚を受け入れるべきではなかったかもしれない。
心のなかで嘯く。
私がレオンハルト様の求婚を断り続けていたのは、彼を愛していないからではない。
むしろその逆で、ずっと心のなかでは憎からず想っていたのだ。
求婚されたときには天にも昇る気持ちだった。
しかし私は、あくまでも騎士としてずっとレオンハルト様と接してきた。
そんな私は、彼にふさわしくない。王太子妃になるということは、いずれ王妃となるのだ。
剣を握り、馬を駆け、弓をいる私が王妃など務まるはずもない。
ーーでも。
レオンハルト様はそんなわたくしだからこそ愛しているとおっしゃいました。
今まで共に戦ってきたからこそ築けた信頼と絆があるのだと。
その言葉にわたくしは気付けば頷いていたのでした。
彼の言葉を受けて、わたくしは団を抜け、淑女として生きる道を選びました。
この3ヶ月は、遠い昔の記憶となっていた女性らしい振る舞いを勉強し直しつつ、レオンハルト様と穏やかに過ごしていました。
つい先ごろまで、国境の前線にいたのが嘘のようでした。
そこにきて神子様の出現で、わたくしは夢から覚めたような気持ちになりました。
神子様のお披露目からはや1ヶ月。
わたくしは今、自室で書面を整えております。
これは神殿へ婚約解消を願い出るためのもの。
レオンハルト様はあの後から神子様と神殿に入り、禊を行いつつ、神子様との交流を深めておられるそうです。
この戦が終われば、神子様と正式に婚約されるともっぱらの噂です。
そのためにも早く隣国と決着をつけるための儀式を執り行っているそうです。
存在するだけで国に恩恵を与える神子様。
そんな彼女と王太子様が御結婚されるのはもはや宿命。
しかも、お二人は互いに惹かれあっているのがよくわかりました。
美しい金色の長い髪に、白い頬を桃色に染め、愛らしく微笑む神子様。
神子様を優しく眺めながら、お言葉をかけるレオンハルト様。
二人はまるで一枚の美しい絵画のようでした。
幸せなひと時をおさめた絵画。その視線の先に自分がいたこともあったのです。
しかし。
ペンを握る自身の節くれだった手を見てため息をつきます。
顔立ちはお母様に似て、目鼻立ちがしっかりしている自覚はありますが、長年の訓練で肌は焼け、筋肉もついています。
赤毛の髪はここ3ヶ月のお手入れでやっと滑らかになりましたが、それまでは日焼けてぱさついてきたのです。
未だにドレスには慣れません。
神子様お披露目のあの日。並んで立つお二人に私は不安になったのです。
そして、その不安は現実のものとなったのです。
まだレオンハルト様から婚約解消のお話はありませんが、それも時間の問題でしょう。
レオンハルト様から別れの言葉を聞くだなんて、わたくしには耐えられません。
敵兵と間近でやりあっても恐れを感じなかったというのに、レオンハルト様の口から解消の言葉を聞くことがこんなにも恐ろしいとは。
そうです。
わたくしは、その前に自ら決着をつけようとしているのです。
わたくしは、今の自分に自信がありません。
今のわたくしにできることは、レオンハルト様の幸せを祈ることだけです。
そうして、わたくしはレオンハルト様から逃げ出したのです。
神殿へ婚約解消の届出はあっさりと受理されました。
そもそも神殿は神子様を擁立している立場で、私からの解消は願ったりだったのでしょう。
私はその足で国境前線部隊へ志願しました。
婚約者であった時から隣国の不穏な動きは漏れ聞こえていました。
...婚約者である以上、前線にたつことは許されることではなかったが、今はただの侯爵令嬢。
しかも、神子様出現により王太子様の婚約者である私を邪魔に思う方も多くいた。
国をおもうならば、王太子様と神子様の結婚を望むのも当然のことだろう。
私の志願は、またもあっさりと受理された。
両親は複雑な表情をしていたけれど、止めることはなかった。いつも私の意思を尊重してくれた両親には感謝している。
弟も幼いながらに聡くて、彼ならば立派な侯爵となるだろう。
剣がぶつかり合う耳障りな音。
まきあがる粉塵。
敵か味方かも定かではない雄叫びと、絶命の声。
あぁ、
やはり、私には、煌びやかなあの城よりも
この戦場がよく似合う。
初めての執筆です。
いろいろ大目に見ていただけると嬉しいです。
最後のワンフレーズをイザベラに言わせたいがために書いたお話。
イザベラの独白でした。
レオンハルトが喋らず( ̄◇ ̄;)
読むばかりだったので、やはり書くのは難しいなと思いました。