表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/67

幕間

 幕間 お兄ちゃんに会いたい


 魅成は、いつものようにここに来ていた。

 まだ、小学校に入学したてであった魅成。

 小さな子供一人でここにやってくるのは危ないと、親に言われていたのだ。だが、それでも、ここで事故死をした兄の事を思い出してここに来てしまう。

 物語にあるように、ふっ……と姿を現して、私に声をかけてくれるのではないだろうか?

 そんな事を夢想しながら、魅成は学校が終わるとここに足を運んでいた。

 兄が死んでから、これで一ヶ月と二十日前後。

 明日には四十九日の法事もある。

 兄の事が忘れられず、学校が終わってもすぐに帰ってしまうので、自分は、クラスの中でも浮いた存在になってしまった。

 いつも日が傾き、暗くなるまでここで待ち続ける。魅成自身、この行為に疲れを感じ始めていた。

 当然、兄が現れて来る事なんて無い。

 言葉の一つだって、もらえるわけがない。

 何も成果が出ないまま、待ち続けているのも悲しすぎて、そろそろやめたくなってきてしまった。

 その日も、茜色をしていた空が、黒く染まり始める。道路の縁石に座り、ぼんやりとしながらそれを見た魅成。

『もう帰ろう……』

 何も得られないまま、トボトボと帰る魅成。そこに、ふっ……と髪をつかまれる感触を感じた。

 驚いて振り返る魅成。

 だが、振り返ろうが、辺りを見回そうが、何も見つけることができない。

『何かの間違い……? いや、そんなはずがない……』

 きっと兄だ……

 兄はいつも私の後ろに忍び寄っていきなり髪をつかんでくる。私が驚いているのを見て笑っていたのだ。

 きっと、兄が私に何かを伝えようとしていたのだろう。だが、兄が何かを訴えているにもかかわらず、私は気付く事ができなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ