表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/67

美色ちゃんの奮闘

「あんた。こういうのが好きなの?」

 砂彩が俺に蔑むような視線を向けながら言う。

 ああなるほど……多方、あのメイド喫茶で、東屋にスクール水着を着せられ、泣いてここまで逃げてきたのか……

「なんか、体にピッタリなんですよ……どこで私の体のサイズを知ったんですか……」

 愚痴る美色ちゃん。自分の体のサイズを他人に知られているなんて、おぞましいものがある。

 しかし、それの場合は、美色ちゃんのサイズを元にして作ったものではない。

「それは架成が作ったらしい。元々魅成に着せるために作ったものだから合うんじゃないか? 二人は、大体体格が一緒だし」

「そうなんですか……さっきから、胸の部分だけはちょっとキツイなぁ……って思っていたんです」

 身長体格でまったく同じくらいの二人だが、胸の大きさでは、美色ちゃんに分があるのか……

 それは、魅成が聞いたら怒りそうだな。

『おのれー、美色ー、呪ってやるー』とか言いながら、真夜中に藁人形を五寸釘で打っている魅成の姿が、今から想像できる。

「まさか、あの子だってそんな事でそこまでしないでしょう?」

 ククッ……と笑いながら言う砂彩。

「あの……何か着るものを貸してくれませんか?」

 美色ちゃんが言ってきた。

「着ぐるみを貸してあげようか?」

 砂彩がサラリと言う。着ぐるみって結構高いものではなかったか?

「いいのか? 貸してしまって」

「まあ、私も少し休憩をしようとしていた所だしね。教室までジャージを取りに行く間だけ貸せばいいんでしょう?」

 砂彩がそう言うと、俺に背中を向けてきた。

「ホラ、背中のチャックを降ろして」

 俺は砂彩に言われるまま、背中のチャックを降ろしていく。

「女の子の着ているものを脱がせるなんて、初めての経験です。緊張をしている慶次君でした」

「変なモノローグを付けるな」

 ククッ……といった感じで小さく笑った砂彩。

 人をダシに使って笑っているんじゃない……

「いえ、下の方まで借りなくていいです」

 その最中に、美色ちゃんが言い出した。

「顔さえ隠せればいいです」

 つまりは、頭にかぶるお面だけがほしいという事だ。砂彩が、美色ちゃんに、バンニップの頭を渡すと、美色ちゃんはそれをかぶる。

「ありがとうございます。すぐに返しますね」

 そう言い、俺達に頭を下げた美色ちゃん。

「前が見にくいです」

 そう言いながら、ヨロヨロした足取りで歩いていった。

「あのほうが恥ずかしくないか……」

 舌をダラリと垂らした一つ目の怪物の頭を持ち、下はスクール水着を着た、いびつな姿がヨロヨロしながら歩いている。

「ネットにアップをされない事を願うわ」

 渋い顔をした砂彩も、それを見てポツリとつぶやいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ