血のあとが続いている
次に行くのは魅成の所だな……
見空には、断られてしまった。魅成の方に行くのがいいだろう。
あいつはあいつで、クラスのお化け屋敷の演出を担当しているんだったな。
魅成自身、興味があって幽霊なんかを調べたりしているので、確かに幽霊の類には詳しいだろう。
だが、おばけ屋敷の演出などができるのだろうか?
俺が魅成のクラスに向かい、廊下を歩いていると、床にポタポタと水滴が落ちているのを見つけた。
「赤いし……ヌルヌルする……そして、鉄臭い臭い……」
これらの事を総合して考えると……これはどう考えても血だ……
廊下に血の跡が残っているとなれば、本来ならば大騒ぎするところであるが、この学校では、気にすることではないと思える。
その血の跡を辿っていくと、魅成がいるはずの一年B組の教室に向かっていた。
「気になるが知りたくない……」
大体予想はできている……今から魅成に会いに行くつもりなのであるが、これを見るとあの教室に入っていくのが、はばかられてしまう。
「心の準備をしておけば、何を見たって怖くない……」
うんざりした気分の俺は、魅成に会うために、一年B組の教室のドアを開けた。
「やっぱりだ……」
カメラを持った生徒会会計の、塩谷 架名が、メイド服を着たクラスの女子を撮影しているところであった。
俺の方を見た架名は、俺の事をジロリと睨んだ。
「なんですか? 私は文化祭の記録を残しているだけですよ。一体何が問題だというのですか?」
「俺は何も言っていないぞ……」
まあ、俺が架名の事を見てうんざりしているのは、かなり伝わっているようである。
架名は鼻からボタボタと血を流しながら、足元に血の水たまりを作っている。
その間、奏多先輩が、架名が飛び散らかした血を雑巾で拭き取っていた。
彼方先輩は、生徒会のフォロー役だと思っていたが、そんな事までやらなくても……
奏多先輩は、すでに水が真っ赤に染まってしまったバケツの水を取り替えるために教室から出ていった。
俺が教室に入ろうとすると、架名が俺の事を睨んだ。
「教室に入ったら罰金百万円ですよ」
「小学生かお前は!」
俺が教室の中に入って、周囲を見回すと、メイド服を着たB組の女子達がいた。
「このクラスは、オバケ屋敷をするんじゃなかったか?」
「なんですか? それは? いきなり入ってきてワケの分からない事を言わないでください」
相変わらず、俺に対しては辛辣な言いようで物を言う架名。
架名は俺に向けて手を出してきた。
「はい百万円」
「払うわけないだろ!」
俺は一人一人の顔を確認するが、魅成の顔が見えない。
「魅成は知らないか?」
俺が架名に向けて言うと、架名が俺の事を睨む。
「なんで知りたいんですか? 魅成ちゃんのストーカーですか?」
ウザイよ……こいつに物を聞いたのが間違いだった。
「魅成ちゃんならいないよ。架名と何か話したら泣き顔でクラスから飛んで出ていっちゃったんだよね~」
戻ってきた奏多先輩が言う。話のできそうな人が戻ってきてくれて助かった……
「魅成が泣き顔……? 何を言ったんだ?」
「あなたに教えることじゃないです。魅成ちゃんにつきまとっていると思ったら、次は私ですか? いいかげんにしてほしいですね」
チクショウ……こいつと話すのは、スゲェ疲れる……
「ちょっと、『何を話していたか?』までは聞いていなくてさ~。なんかプレゼントまで用意していた感じだったのに、一体何があったのかな~?」
奏多先輩が言う。なんか、知っているような感じで、俺から顔をそらしながら言っている。
「ロクでもない事が起こったんですね?」
奏多先輩に聞くが、奏多先輩は顔を逸らすだけじゃ飽き足らずに、俺に背中を向けた。
わかり易すぎるほど、わかりやすい反応だ。
「あなたの存在そのものがロクでもないくせして、何を言っているんですか?」
ウルセェ……お前はもうしゃべるな。
「計算に弱い会計が何言ってる! 会計の計算を魅成に手伝ってもらっているらしいじゃないか」
「選挙で決まった会計に、文句があるなんて、全校生徒を敵に回すようなものですよ」
「会計を名乗りたければ、会計の仕事をしてからにしろ! お前の机には、いっつも書類が山積みになっているじゃねぇか!」
そして、奏多先輩が架名の肩を叩く。
「そうだよね~。今は生徒会が一番忙しい時期なんだし、そろそろ、仕事に戻ろうか~。机の上に山積みになっている書類も、こなしてもらわないと……」
そうすると、わざとらしくフンッ……と鼻を鳴らした架名は、捨て台詞を残していった。
「こんな人に付き合っていても、時間の無駄ですね。さっさと戻りましょう」
そう言い、奏多先輩に、引きづられるようにして教室から出ていった。
すげぇ疲れる……




