それから……
その後、同好会の名前を決めるという話は保留にしておいた。
名前を決めるなどという話をすれば、必ず大波乱になる。このまま何もなければ『よろず同好会』でいこうと思う。
波風をたてない事のみを考えた俺の采配だ。
このアクの強すぎる奴らをまとめるにはどうすればいい……? こいつらと力を合わせて成果をあげるなんて、無理そうだ。
あれから、三人は、とりあえず帰らせた。
明日の活動の内容を、今から考えておかなければならない。
「けど……どうやって……」
そこで、ドアがガチャリと開けられた。
ドアを少しだけ開け、そこから覗き込んで中の様子をうかがっている人影があった。
「東屋……どうしたんだ?」
「彼女達は帰ったか?」
普段は、ふてぶてしいくらいに自信満々な感じの東屋だが、実は意外と小心者なのだ。
普段の挑発的な言動はその裏返しである。
「ドタバタしていたんで渡し忘れていたものがあってな」
部室の中には一歩も入って来ず、片目だけで部室の中を覗き込む姿勢で、腕を伸ばして入れてきた。
手には封筒が握られている。
「部費……?」
「新設部 特別支給 部費 3万円」
手書きで書かれている文字。
部費が入れば、できる事も増えるだろう。これは、これからの行動の指針になるはずだ。
「みぃーちゃったー……」
突然、東屋の後ろから声が聞こえてくる。
東屋は体を固める。
俺がドアを開けて奥の方を見ると、魅成がそこに立っていた。東屋は、急いで俺の後ろに隠れていく。
「それがどうしたというんだい? 見られて困る物でもないからね」
俺の背中で、ふんぞり返っている東屋の姿が想像できる。
見られて困るものでもないなら、俺の後ろに隠れず直接対面して言えばいいじゃないか……
魅成が不気味な笑顔でニヤリと笑いながら言う。
「そのお金は二人で山分けしましょう。私が二万でお兄ちゃんが一万ね」
「それ……山分けって言わないんだけど……」
いきなり邪な事を言い出す魅成。そこに、遠慮がちに東屋が言い出す。




