見空が慶次をカラオケに誘う
「喉が痛い……」
思いっきり疲れた声をした魅成。それに対して砂彩が言う。
「意地をはるからそうなるの……」
お前が言うか……
思いっきり『負けないわよ!』って感じで対抗をしてきたくせに……
俺の膝の上に魅成の頭が乗り、俺の肩に砂彩がもたれかかってくる体勢の俺達。それを見て、見空が冷たい目をしながらそう言う。
「本当に仲がよろしいですね」
なんか、嫌味でも言っているような感じで、見空が言ってくる。
「本当は、仲間に入れて欲しいんでしょう?」
砂彩が見空に向けて言うが、見空はすねたままである。
「だから、何でそんな言葉を真顔で言えるんですか?」
「これもけっこう楽しいものなのよ」
砂彩は、そう言いながら俺の手をつかんでくる。
「見空は何を歌うの?」
見空にマイクを渡す魅成。
「ここで、十八番を歌ってみなさいよ」
砂彩が言う。つまらそうにしながら、見空が腰を上げた。選曲をした歌を見て、俺は眉根を寄せた。
初めて見る曲だな……発売年が十四年も前だ……
俺達の前に立ち、深呼吸をした見空は、歌い始めた。
見空らしい歌である。
内容は、もしUFOが目の前に現れたら、迷わずに乗ってみたい。乗らなかった事を後悔したくない。そういった感じの内容だ。
一番を歌い終わったら、見空は機械を止めてしまう。
「二番は知らないんですよ」
見空が言って歌うのをやめる。パチパチと手をならす俺達。
「やたらと上手かったわね。本当は2番も歌えたんじゃないの?」
砂彩が、じとり……とした目で見空の事を見たが、見空は涼しい顔でそれを返した。
「ご自由にお考えください」
サラリ……といった感じでかわす見空。
今だに何かを疑っているのが分かる感じで、砂彩は見空の事をじー……と見つめる。
その後、諦めたようにして、小さく息を吐いた後、見空に向けて言い出す。
「まあいいわ。慶次の事は貸してあげるから、行ってきなさい」
「別に借りたいとは言っていませんが……」
「ヨシ兄も、見空に気を使って断った」
魅成も、それに合わせて言う。
自分達で言うのもなんだが、おせっかいな奴らばかりだ。
「これでは、慶次にも、奏多にも悪いですか……」
しょうがなし……といった感じであるが、見空は嫌々といった感じではない。
むしろ、引き際を用意してもらってちょうどいいと行った感じだ。
「慶次。私と一緒にカラオケに行ってくれますか?」
はっきりと俺の方を向きながら言う見空。不満があるようでも、恥ずかしがっているようでもない。
「もちろん行くよ」
見空と奏多先輩の間に何があるのか? ここまで来たら、少し興味も出てくるくらいである。
別の意味で、カラオケの日が楽しみになってきた。




