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なんでもやります!? よろず同好会  作者: 岩戸 勇太
夏休みはどうしようか?
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料理大会はどうなった……

 それから、事態は思いもよらない方向に向かっていく。あれから時間が経ち、料理がほとんど完成した頃の事だ。

 俺が審査をするという話はどうなった……

 砂彩と見空は、お互いの料理の食べ比べを始め、甲乙を付けるために口論を始めている。

「あんたの料理は、味付けがくどすぎるのよ!」

「あなたの料理なんて誰でも作れるものではありませんか? ルーの箱の裏に書かれている通りに作っただけでしょう!」

 お互いに相手の料理を食べながら、粗探しをしている状態だ。

 多分、俺が食う分が残るとは思えない。

「私の分も食べて」

 そう言い、魅成が二人の間に自分の作った親子丼を出した。

 卵は見事な半熟で、色も綺麗な黄色をしたままだ。それに三つ葉も乗せられて、まるで、カタログに乗っている見本のような出来であった。

 それを見て、気怖をされたようにして、後ろに下がった二人。

「も……問題は味よね……」

「そうですね! 見た目だけでは料理と言えません!」

 そう言い、箸をつける。

「お米にも味が染み込むようにしてる。タマネギもしっかり炒めているし、調味料のブレンドも私のオリジナル」

 魅成がウンチクを言い始める。それを聞きながら、無言で箸を動かす砂彩と見空。

 食いてぇ……だけど、ここで食いに行ったら絶対魅成に怒られる。さっきから、俺の方を何度も確認して、『こっちに来るな』とサインを送っているのだ。

 俺は指をくわえて見ているしかない。

 砂彩と見空がおとなしく魅成の親子丼を食べているのを見て、二人に隠れて歩いていく魅成。

 おもむろに、魅成は残り少ない砂彩のカレーと見空のオムライスを一気に口の中に押し込んでしまった。

「あっ……! 慶次に食べさせる分だけは取っておいたのに!」

「これでは審査をしてもらえないです!」

 あ……なんだかんだいっても、あの二人は考えていたんだ……多分俺の分は残らないとか、二人には悪いことを考えていたな。

「二人とも美味しい。私の判定では引き分け」

 魅成が言うと、二人はぐっ……と言葉を詰まらせる。

 こんな完璧な料理を作る魅成にそう言われては、引き下がるしかない。砂彩も見空も、傍若無人に見えて、引くべき一線を心得ているようだ。

 ここで、下手にゴネ始めても恥をかくだけだろう。

「私の分はそれで全部だから、お兄ちゃんに審査をしてもらえないよ」

 砂彩と見空が全部食べてしまい、空になってしまった親子丼の丼を見て言う。

「この勝負は引き分け」

 魅成の小さな声は、その小さな声に似合わないくらい、よく通る声音で調理実習室に響きわたった。

「これからみんなで仲良くしよう」

 二人の事を見上げながら言った魅成。

「まあいいわ……こうなっちゃしょうがないものね……」

「仕切り直しするのにも部費をまた使いますからね」

 二人揃って、悔しそうでもあり、だからといって嬉しそうにも見えるような、微妙な表情をしながら言った。

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