生徒会室へ 2
「慶次君も、美空ちゃんをいじめるのは、これっきりにして。でないと、生徒会室に出入り禁止にしますよ」
「俺は黙っていただけだぞ!」
俺が言うと、架名は眼鏡をかけなおした。架名がこの行動をとると、いつもロクな事を言わない。
「なんですか? 口答えですか?」
口ではキツイ事を行っているが、口元はかすかに笑っている。
俺の事をからかって遊んでいるのが、それから見て取れる。
「まったく……迷惑ばかりをかけて。こんなのが幼馴染だと思うと恥ずかしくなってくる」
やかましい……
東屋がその機会に乗じてふざけた事を言う。
「用があって来たんだろう? さっさと言ったらどうだ?」
東屋が言ったら、回りからクスクスと笑う忍び笑いの声が聞こえてきた。この声は架名と奏多先輩の二人か……美色ちゃんは、いつものようにすまなそうな顔をして顔を伏せているのだろう。
だが、ここはまだ仲間内の雰囲気がいい。何かと言えば罵倒をされるし、空気も最悪な部室と比べれば、この冷たい風当たりもそよ風のようなものである。
「調理実習室の使用許可を……」
「了解。許可をしよう、この紙に使用をする時間帯を書いておいてくれ」
俺の用は二秒足らずで終った。
結局、からかわれただけかよ……
その俺の様子を見て、奏多先輩はニヤニヤしながら俺の事を見ていた。
「用も終わったみたいだし、少し雑談いいかな?」
「嫌な臭いがビンビンするんですが?」
「まあ、聞いてくれなって。見空の事なんだけどね……」
見空の事……奏多先輩が言うには、見空と奏多先輩は幼馴染なのだという。
昔から天体の事が大好きで、お小遣いを貯めて望遠鏡を買ってから、ずっと空ばかり眺めていたのだという。
「私もあいつの部屋にお呼ばれした事があったんだけどね。私の事なんか、ずっとそっちのけで望遠鏡ばっか覗いていたのよ」
同好会を発足すると聞いた時は、どうせ天文同好会か何かなのだろうと思っていたのだが、思いもよらず、UFO同好会という妙チクリンなものだった。
「その時は、生徒会選挙の時に、私に一票を入れてくれるっていう条件で幽霊部員になってあげたんだけど……今どうしているかな? って思って」
見空は、俺達が心霊写真を撮りに行ったとき、一人で山頂まで登っていき、望遠鏡で天体を眺めていたのだ。
望遠鏡を、淀みなく動かし、天体の事を流すようにして観察をしている。だが、その様子はどこかつまらなそうであったように見えた。
「昔はあんなに楽しそうにしていたのに……望遠鏡を覗くのは飽きたのかな?」
あっけらかんとしか言い方で言う奏多先輩。
「飽きたって事はないんじゃないかな?」
望遠鏡を使って別のものを見たくなったのではないだろうか? なんとなく、そんな感じがする。




