唐突にモテモテ
「慶次さんと魅成ちゃんを一緒にするのは危険です。ここは年長者の私が慶次君の面倒を見るという形で、一緒に組むことに……」
「何が年長者よ! 一年学年が違うだけじゃない!」
「だめ。ヨシ兄は私と一緒にいくの」
見空と砂彩の言い争いに、魅成も参加していく。
これはモテモテといえる状態なのか……? 俺は今、ツンケンと、レズっ気ありと、デロデロ心霊少女の、三人に取り合いをされている状態だ。
「別に勘違いするんじゃないわよ! あんたと組みたいんじゃなくて、この二人と組むのが嫌なだけなの!」
「俺の心の中を読んだ! 悪かったよ! ちょっと調子に乗ってそんな事を考えてました!」
俺が言うと、見空がふう……とため息を吐き、頭を振りながら言った。
「荷物持ち兼、ランチ用のお財布代わりにちょうどよさそうですからね」
「それ、心の底からの本気っぽいな! 絶対付いて行きたくねぇよ!」
魅成が、俺の事を見上げながら言う。
「私はそんな事思ってない。荷物だって私が持つし、お昼はお弁当を作ってきてあげる」
魅成だけは、一緒についていきたくなるような事を言ってくれる。どう考えても、これなら魅成一択だよな……。
だが、残りの二人がキッ……と俺の事を睨んだ。
「この変態……」
冷たい声で砂彩が言い出す。
「ロリコンは犯罪です」
それに呼応して、見空がまた言い出す。この二人は本当に、こういう時だけは息がぴったりになる。
さっきから黙っていただけなのに、気付けばロリコンの変態として烙印を押されてしまった。
さっきから、魅成が何か言うと、なぜか俺が怒られる。という、ループが続いている。この理不尽なループの原因は、一体何なんだ……?
「もういいわよ! こうなったら勝負で決るわよ!」
「望むところです! 受けて立ちましょう!」
「絶対負けない」
いつの間にか、俺を取り合って勝負を始めるという話になってきてしまった。何これ……おかしくないか?
だが、その中でも、俺の頭は動いている。
こうなってしまったなら、その勝負で魅成に勝ってもらおう。俺は魅成と組み、砂彩と、見空は、どこなりとランデブーに行ってくれればいい。
そうなれば、確実に魅成に花を持たせる事のできる勝負をする必要が出てくる。
「慶次! 勝負は何にすればいいと思う?」
砂彩が俺に向けて聞いていた。これはチャンスだ。




