二人ひと組
ただ、だからといって、砂彩もずいぶんな毒を吐く。
「続きはあるんだろうな? 嫌味を言いたかっただけだって言うなら、俺だって怒るぞ」
「そんなわけないじゃない!」
俺に向けてそう言った後、小さく咳払いをする。
まるで、これから重大発表でもするかのような、緊張をした顔をして、砂彩は言い出した。
それを見ながら、ひとつ気になる事があるんだが……なぜ顔が赤くなる?
「四人でおんなじ事をやってもダメなんだから、動きやすい、二人ひと組くらいのペアを作って、考え直したほうがいいんじゃない?」
根本的な方向転換という事か……このままでも進展がないのも確かだ。
俺がそう考えているところであるが、俺の前の砂彩と魅成と見空の三人には、電流が走るかのような衝撃がはしったのが見えた。
俺が様子を見てみると、魅成は、砂彩と見空の事を交互に見た。
その後、俺に合図を送るようにして、おおきいどんぐり眼で視線を送る。
「私と慶次お兄ちゃんの二人で動いて、砂彩と見空の二人で動くって事でいい?」
魅成が言い出す。この先のシナリオはなんとなく読める。
砂彩が完全に反対をするが、見空がおもいっきり賛成をするだろうから、俺がそこで多数決を初めて三対一で決定する。
そう思っていた。
「却下!」
「お待ちください!」
予想に反して、見空も一緒になって反対をした。
俺はそれで、魅成の事を窺った。魅成も俺と同じようで、驚いた顔をして俺の事を見上げていた。
「どうせ、また多数決を始めるんでしょう!?」
「そちらの目論見通りになるっていうのも、なんか癪です」
この二人も、学習をしている。俺と魅成の考えを看破したという事だ。
二人は息がぴったりである。それを見ると、この二人で組んでやってもらってもいいような気もする。
むしろ、とっとと結婚をしちまえ、こんチクショウ……
「私は、慶次と一緒になってあげてもいいわよ」
砂彩が言う。何をいきなり言い出す……感謝しろと言わんばかりの言いようでそんな事を言われても、嬉しくもなんともない。
「やだ……お兄ちゃんは私のもの……」
魅成が俺の腕を掴みながら、砂彩に向けて言った。
魅成の言い方が、なんか腑に落ちないが、砂彩に引きずり回されるよりも、魅成と組んだほうが絶対いい。
俺は何も言わなかった。
だが、なぜか、砂彩の怒りの矛先が向いてきたのは俺の方向だった。
俺の事をキッ……と睨み、顔を赤くしながら言い出した。
「バカッ! 変態! ロリコン! けんだまバカ! あんたなんて死んじゃえばいいのよ!」
なぜか罵倒をされはじめる俺。何がロリコンだ、魅成は同い年だぞ……
「けんだま同好会とか言っておいて、けんだまをしている所を一度も見たことないわよ!」
うるせぇ、こんチクショウ……。最近面倒続きでやれてないんだよ。




