夏休みはどうしようか?
とりあえず、心霊写真を撮る事に成功をした俺達。
だが、心霊写真など、不確かなものだ。フォトショップなどの写真の加工技術は進歩しており、手が写っているだけの心霊写真では、合成写真などと言われればそれまでだ。
目に見えてすごいと思えるような、成果を上げるにはどのような事をすればいいだろうか?
UMAを捕まえたり、UFOを撮ったり、そんな非現実的な方法は論外だ、校長たちに鼻で笑い飛ばされてしまう。
広くない部室で、小さなテーブルを囲みながら、俺達は頭を悩ませていた。
「UMAを理解しない一般人に、分かるような『成果』ねぇ」
「UFOを使って、文化祭の出し物を考えなければならないんですよね」
「霊魂なんて、目に見えないからね。どうしよう?」
みんな、結構マジメになって考えてくれている。
俺は、最初に砂彩が言い出したように、『UMAを捕まえる』だの、『UFOとコンタクトを取る』だの、『霊魂を何かに憑依させる』だの、無茶苦茶な事を言い出すかもしれないと、心配をしていた。
この三人が、普通の感覚を少しでも持ってくれているのを知り、とてつもなく嬉しくなる。
「慶次? なんか……すごく私達に対して失礼な事を考えていなかった?」
「何をいきなり言い出す……」
俺がそう言うと、砂彩は『別に……』と言って顔を外した。
俺は内心驚いていた、心臓がバクバクしている。
考えている事が読まれたのだろうか? 俺も、真面目に考えるとしよう。
けんだまを使って出し物を考えるというのは結構難しい。
『けんだま体験コーナー』とかどうだ?
………
……
…
だめだ……どう考えても閑古鳥が鳴く。
『けんだま体験コーナー』などという看板をぶら下げた一角にポツンと一人で寂しく座っている俺の姿が、今から想像できる。
「それ、私も同意見です。もっとアイデアを練り直す必要がありますね」
俺の頭の中を読んでいたかのように、すぐさま俺に向けて言い出す見空。
「見空……一体何を言い出すんだ……?」
『別に……』砂彩がしたような態度を、また見空も取りだす。
口に出しているか……? 俺は何もしゃべっていないぞ……?
「三人寄ればもんじゅの知恵とか言うけど……」
砂彩が言う。
「マイナス1+マイナス1+マイナス1は、どう考えてもマイナス3にしかならないわよね」
まあ、砂彩の言いたい事は分かる。馬鹿が集まったら大馬鹿な事を始めるだけだ。馬鹿が三人集まったら、いきなり歴史的な大発明をするなんて事はありえない。




