待ち合わせに
待ち合わせの場所に行くと、三者三様の様子であった。
大荷物を抱え、半袖で来ている砂彩。デカイ望遠鏡を抱えており、長袖の服を着て、まるで、富士登山にでも行くような装備でやってきている見空。魅成は、制服のままやってきており、用意らしい用意はしていない。
午後十時の終電に乗り、魅成の言う心霊スポットにまで向かっていく。
全員、カメラ持参。俺は、山歩き用のシューズに虫よけスプレーを用意して、いつものかっこうでやってきた。
田舎の駅であり、改札がなく、運転手にキップを渡して降りる場所だ。
駅を出ると、目の前にはポツポツと民家の見える集落がある。
そして、裏には山が見える。そこが、今回行く心霊スポットだというのだ。
落石を止めるために、コンクリートで塗り固められた壁に挟まれた、二車線で、歩道の無い道路。
ここに、工事のときの事故で死んだ幽霊が出るのであるというのだ。
砂彩が荷物を出す。すると、中にはライトの類がびっしりと積み込まれていた。
「そんなに電灯ばっか用意して、どうするつもりだよ……」
「うるさいわね! 明るいほうがいいでしょう!」
「暗いと怖いのかよ……?」
それで、固まった砂彩。一秒くらいしてから俺の事を、ギッ……とにらみ出す。
「そうよ! 悪い! オバケが怖いのよ! 笑いたければ笑うがいいわ! 私はオバケが怖いんですぅ!」
こいつは逆ギレするタイプなのかよ……
魅成は近くにある縁石に座って髪をいじり始めた。
そして、見空にいたっては、望遠鏡を持ってどこかに行こうとしている。
「どこに行こうっていうんだ!」
「空気が澄んでいますから、UFO撮影をしてきます」
「ここには心霊写真の撮影に来たんだぞ!」
「この場には三人もいるんだから大丈夫でしょう?」
そう言い、山の奥にまで入っていってしまった。
よろず同好会の面々は、見事に息がバラバラである……
俺も、近くにある縁石に座った。写真撮影にやってきたはずなのに、カメラを構えている者は一人もいない。
こんなメンツを率いて、校長達の求めるような『成果』をあげる事ができるのだろうか?
今更ながら、さらに不安になってくる。




