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内輪喧嘩

「この変態!」

「何が変態だ! お前が思いっきりパンツさらしてきただけだろうが!」

「うるさい! パンツ見て、それで済んでいるんだから、むしろ感謝をなさいよ!」

「何が感謝だ! あんな、幼児向けのくまさんバックプリントのパンツなんて、見ても嬉しくねぇよ!」

 それで、メガネをキラリと光らせた見空がメモ帳を持って身を乗り出してきた。

「ほうほう、その話を、よく聞かせてくれませんか?」

「お前は入ってくるなぁぁ!」

 俺が大声で見空の事を止めようとしても。見空は、まったく気にしていない様子で、砂彩にべったりとくっついていった。

「そのくまさんパンツはどこで買ったものですか? いくらくらいしたんですか?」

「なんでそんな事を言わなくちゃならないのよ!」

 そのパンツを確認しようとして、砂彩の下からのぞき込む見空。

 スカートを押さえながら、足で見空の事を遠ざける砂彩。

「待ちなさい! メモを止めなさい何を書いているのよ!」

 砂彩と組み付き合いをしながらも、メモ帳にすごい勢いでエンピツを走らせている見空。

「いい加減止めないと慶次みたいに蹴り飛ばしてやるわよ!」

「それは、むしろ望むところです」

「このド変態!」

 悔しそうな顔の目に、涙を貯めながら、砂彩は俺の方に視線を向けてきた。

「なんで俺に助けを求めようとしているんだよ! 助けて欲しければ、俺を蹴った事を、まず謝ってみろ!」

「ばかぁ! うるさいわね! 困っているんだから助けなさいよ!」

「さぁ! あなたの美しい御御足で、私の事を蹴ってください!」

「いやぁ! 気持ち悪い! 何とかして慶次!」

 うへへ……といった感じで手をワキワキとさながら砂彩に向けてにじり寄っていく見空。

「これは、俺にもどうすればいいのか……?」

 こんなもん、俺だって近寄りたくない。俺は二人の様子を、傍観している。

 この場に及んでも、助けを求めるようにして、こちらの方を見てくる砂彩。俺はそれに無情にも目を逸らした。

「ご冥福をお祈りします」

 それに合わせて、魅成も手を合わせて砂彩に言った。

「私たちを恨んでもいいです。むしろ化けて出てきて」

「ふざけんな! ……って」

 体を這う、見空の指に反応して、言葉を途中で止める砂彩。足を伝って、砂彩の体を這いあがり、ピッタリと抱き合う形になってから見空が言い出す。

「さあ、味方してくれる人は居なくなりましたよ。観念して私にあなたの処女を捧げてください」

「いつからそんな話になったのよ! こら! いい加減になさい!」

 騒がしい二人に、それを静かに静観している俺と魅成。二人の取っ組み合いはそれからしばらく続いていった。

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