防衛戦-LAST BOSS-
いやあ、遅くなりました。だが私は謝らない(キリッ)
今回はタイトル通り、ラスボス戦です。ですが多分期待した通りにはならないと思います。何しろこれgdgdになりすぎた12000字を消して新たに作り直してるので……こっちのgdgd感も相当ですが。
あと今回ディドさんの活躍あんまり無いです。主人公活躍させないといけないんですか?(困惑)
それでもよければどうぞ。
「東側の奥の奥……かぁ」
ノイが苦々しく呟いた。
偵察隊が敵をかい潜りながら必死で探した事により、比較的早めに見つかった防衛戦のラスボス。
「妖魔子爵フェルム」は街から見て東側のモンスター群の1番奥に位置しているとの報告に、ノイは苦々しげに顔を歪めた。
東側は現在1番の激戦区であり、トロルやゴーレムが数多く点在している。それ故にいくらランカーチームとはいっても無消耗での突破は不可能で、たどり着くだけならともかくボスとの戦闘を考えると不安が残る。
かといってボスを倒さず消耗戦に持ち込んでは、完全に数で劣るこちらの敗北は必至である。
「ボスを倒さなきゃ勝てないんだよなー」
「でも自分達だけだと流石に突破すら厳しいし……」
「居座りボスとかマジ害悪」
皆で顔を付き合わせて方法を考える。
……いや、全員一つの方法を思いついてはいる。しかし不確定要素が多すぎて提案したくないのが本音であった。
だがこうしている間にも時間は刻一刻と過ぎていく。はぁ、とため息をついて、ノイが切り出した。
「……仕方ない、あれしか無いですかね」
「……やっぱり?」
「まあそうだよなぁ……」
全員で大きく溜息をつき、思い切って立ち上がる。回復や武器の調整はすでに終わっており、準備は万端である。
「よし、じゃあ自分が指示を出してきます。10分後に東門前で集合しましょう」
「「「了解!」」」
「あーくっそ、キリがねぇ。これどんだけ湧いてくんだ……」
「もうきつくなってきたか? 俺はまだまだいけるぜ!」
「うるせー、体力バカ!」
街の南側に展開しているプレイヤーは、途中から参加した王国軍(NPC)と共に戦うことで、四方向の部隊の中では唯一優勢を保っていた。
NPC軍では頼りにならないかとも思われたが、レベル100というそこそこの高レベルに加えてかなり動きがよく、むしろかなりの活躍を見せている。
特に動きは基本にある程度忠実ながらも洗練されており、PVPなら最低でもベスト8は固いとまで言えるほど。使用武器が剣・槍・斧と人気と使用率の高い物ばかりなのもあり、新参プレイヤーの中には参考にしようとするプレイヤーも多い。
そんな南側のプレイヤー全員に、前線指揮官であるシラユリ、魔法部隊指揮官であるフィルソ、そして防衛戦総指揮官であるノイという怱々たる面々からチャットによって一斉送信された指示があった。
「お?」
「えっ」
「ほう」
「え、これマジで言ってんの」
「よし行こうすぐ行こう」
―南側を防衛しているプレイヤー全員に通達
―南側の敵は全てNPC軍に任せ、全員東側に展開をお願いします
―南側の城壁は抜かれても構いません。東側を一気に掃討し、早期決着を狙います
―大方集まったら範囲魔法で一気に吹き飛ばし、前衛部隊で掃討をお願いします。合図はフィルソさんとシラユリさんにお願いしてあります
―早期決着のため、力をお貸しください
―15分後に行動を開始します
「配置は?」
「全員展開にはもうちょっとかかるかなー」
「まあ単純に考えて前衛の人数が2倍だから押し止めるのは楽だし、ゆっくりやって構わないが」
「お気遣いありがとう、まあすぐ終わるわ」
HPが50%を切ったために一度戦場から撤退したシラユリ。そうでなくとも一度本陣から指示を出す必要があったため、回復を受けながら指揮を同時進行する。
「強化魔法は?」
「かけ終わってる。後は待機詠唱と通常詠唱のタイミングを合わせるだけかなー」
「ならノイさんにはこっちから連絡送っておくから、準備進めておいて」
「はいほー」
喋りながらも手を動かし、ノイヘと送るメッセージを作成する。
内容は簡潔。「魔法部隊残り撃つだけ。前衛は引くだけ。用意完了。」
20秒で返信が入る。
「返信来た」
「早過ぎでしょう……なんて?」
「「タイムカウント1:42:00で魔法ぶっぱお願いします」と。1:41:30で前衛下げるから、あとはお願い」
「んーと……3分後ね、わかったよー」
東側の城門へと、全体チャットを展開しながら駆け出す2人。程なくして到着し、すぐさま一斉送信する。
―東側の戦闘中の前衛職はタイムカウント1:41:30で後退を開始
―全体魔法が打ち込まれた所で反転、そのまま残敵の掃討に移ること
―東側に展開した魔法職はタイムカウント1:42:00で全体魔法ぶっぱ タイミングは間違えないように
―その後は単体魔法で削りに勤めること
―ある程度戦線が上がったら前に出てよし
すぐに了解の返事でチャット欄が埋め尽くされる。
予定時間まで約2分。反転の号令をかけるためにシラユリは前線へと走り、フィルソは魔法職部隊の一歩前に立って詠唱を始める。
「【短縮詠唱】【魔力凝縮】【ディレイカット】【短縮詠唱】【待機詠唱】【五重詠唱】【グランドクロスLV7】」
魔法専門職としては五指に入るその実力を持って次々とスキルを繰り出し、一気に最大火力の魔法を展開する。
見る者が見れば目を回して卒倒するであろう、現環境下での攻撃魔法の極致がここにあった。
「……あと30秒。前衛の撤退開始を確認。さあ、いよいよだ」
シラユリが前線で呼び掛けたことにより、前衛組が一気に反転し街へと駆ける。
そして数えるのも馬鹿らしくなる程のモンスター群も、それを追って街へと向かう。それが罠とも知らず、魔法の射程内へと続々と入り込む。
「発射10秒前! タイミングを間違えるな!」
「「「「「「「「「「了解っ!」」」」」」」」」」
10。
9。
8。
7。
6。
5。
4。
3。
2。
1。
「今です、全員魔法発射っ! 【解放】っ!」
「【サンダーボルト】!」
「【フレアボム】!」
「【大地鳴動】!」
「【火竜招来】!」
「【ダイヤモンドダスト】!」
「【大瀑布】!」
色とりどりの魔法が乱れ飛ぶ。その数合計2000越え。数の暴力を体言したかのような広域魔法の波が、魔物達を片っ端から飲み込んでいく。
「今だ、反転! 魔法部隊に負けるな、我らも戦果をあげるぞ! 私に続けっ!」
「「「「「「「「「オオォォォォォッーーーーーーー!」」」」」」」」」
同時に前衛組が反転し、どうにか体力の残った一部のモンスターを駆逐していく。
そしてモンスターの山で進むに進めなかった東側に道が開く。
「作戦成功っと……それじゃあ、僕達も行きましょうか」
「はいよー」
「やるぜー、超やるぜー」
強襲隊の面々が城門から飛び出し、一直線に走り始める。向かうは東端、ボスの場所。
HPの削れたオークやトロルを切り捨て、殴り飛ばし、叩き潰し、打ち抜き、真正面だけを見据えて走る。
さして時間もかからず到着したそこにいるのは、マントにスーツ姿の亜人……いや、魔人というべきか。
「くぅ……人間風情がここまでたどり着くとは……どうやら私が直々に相手をしなくてはならないようですねぇ……!」
ス○オヘアーという髪型と台詞からしてすでにかませ臭満載のボス「妖魔子爵フェルム」がそこにいた。
「うわぁ……」
「かませだ……」
「完全にかませだ……」
「見てわかった、これかませだわ……」
何もかも察したような顔をしてげんなりと力を抜く強襲隊メンバー。肉塊といいこれといい、スタッフは色々と遊びすぎである。
「ですがご安心なさい愚かな人間ども! せめてもの慈悲です、痛みを与えないまますぐに冥府へと送り届けてあげますよ!」
「うわぁ……」
「ベタだ……」
「ベタベタ……」
本人の剣幕が真剣なだけに、余計にシュールさが漂う。マントから黒い煙が噴き出し、濃い黒の鎌を現出させるその動作も、またかませくささを増大させる。
「さあかかってきなさい下賎の民よ! この私、妖魔子爵フェルムが貴様らの相手をしてやろう!」
「……」
「……行きますか」
「……おう」
お互いのテンションの差が著しくはあるが、とにかく今ここに、この防衛戦の結果を決める一戦が幕を明けた。
先手を取ったのはフェルムだ。
「さあ踊りなさい! 【影刃乱舞】!」
手に持つ鎌を振るうことで、三日月型の黒い刃を連続で飛ばす。
威力こそ高くは無いが広範囲・高射程・呪い付与という高スペックの技を、しかし事前情報を聞いていたメンバーはあっさりと回避してのける。
「本当に開幕乱舞なのな……」
「固定パターン相手だと開幕は楽でいいわー」
「開幕ほぼ確実に動かずに影刃乱舞なので、一気に近づいてください」と言ったノイの言葉通り、スキル使用の隙を突いて一気に接近する。フェルムは余裕の現れ(スキルの硬直)で、振り抜いた鎌をゆっくりと戻している。
影刃乱舞は確かに高スペックなのだが、なにぶん威力が低い・硬直が長い・初見殺しと弱点もはっきりしている。また密度も高くは無く、事前情報さえあれば避けるのはたやすかった。
影の刃を避けたメンバーのうち、速度のあるサキガケ、ディド、シュノス、イリスの4人が肉薄する。
「じゃあ手筈通り」
「はいはいー」
「了解っす!」
「行きます、【光槍】!」
「ふふふ、【闇槍】!」
イリスの打ち出した光の槍とフェルムの打ち出した闇の槍が、互いを打ち消しあって爆ぜる。その僅かな間に、サキガケが【斬り払い】を繰り出した。
初級魔法には初級魔法で対抗するという、情報通りでありオーソドックスであり基本である動き。それ故に動作も読みやすい。
「甘いですよ!」
「オマエモナー!」
【斬り払い】を鎌で受け止めたフェルムにシュノスが短剣を繰り出すも、鋭い爪で受け止められ、衝撃を利用しフェルムは後退。
着地した所に追ってきたディドが拳を振り抜く。掌で受け止め、追撃を地を蹴って宙に逃げる事でかわしたフェルムだが、
「いらっしゃい、【憤怒の一撃】!」
「大盛りでくれてやるよ、【暴れ斬り】!」
「なっ、ぬおぉぉぉぉっ!」
すでに【五段ジャンプ】によって真上を取っていたムクロとパックスによるスキルの一撃で、一直線に地面に叩き落とされる。
メンバーの中でも火力に重きを置いた職業の二人が全力で繰り出したスキルの直撃によって、HPを1割半を削り取る。
これが妖魔子爵フェルムの強くないと言われる理由の一つだ。アストラや脳筋、ニクス様など色々な意味で凶悪なボスが揃う南ルートとしては、フェルムだけ明らかにステータスが低い。
レベルによる補正さえ無ければ、他のルートのラスボスと大差ない。それどころか単発火力の高いスキルが無いために、単純火力で言えば3面のクリスタルゴーレムにすら劣る。
その分状態異常や広範囲攻撃に重きを置いている半特化型ではあるのだが、その手の攻撃に限ってディレイが長かったり硬直があったりと致命的な弱点がある。
防御力は自身のダンジョンに出現するモンスター「全て」に劣っているというていたらく。
唯一速度は高いのだが、それでもレベル200あればよほどの鈍速職でないかぎりはやすやすと追いつける程のものでしか無い。しかも、所持スキルは軒並み硬直が長いために自慢(笑)のスピードすら殺されている。
はっきり言ってしまおう。この妖魔子爵フェルム、雑魚である。
「ぬうぅ、【スタンショック】!」
「【スタンカウンタ】!」
「ぐ、ぅっ!」
発生の早い麻痺攻撃は、間に割って入ったタロウによって弾き返される。
麻痺は使用する敵がかなり多く、フォートレスなどのガーダーは麻痺防御技は必須である。麻痺防御が無いならガーダーやるなと言われるほどだ。
現ガーダー中最高レベルであるタロウが麻痺対策をしていない訳が無く、麻痺攻撃は簡単に弾き返される。
返された麻痺攻撃を硬直中にモロにくらった所に、ディドとノイが迫る。
「【妖拳術・魔拳】!」
「【封魔閃】!」
「生意気な、【マリオンの大盾】!」
「え、嘘」
「っ」
フェルムの前に突如として現れた大きな円盾が二人の攻撃を受け止め、驚愕に目を見開いたノイの動きが止まる。
ノイがディドに蹴飛ばされて横に転がるのと、盾が光ったのは同時だった。
雑魚だ雑魚だと言っているフェルムが南ルート最終面のボスを張っている理由がこれだ。
カウンタースキル【マリオンの大盾】。巨大な盾を展開し、防御した攻撃の威力によって高威力の無属性攻撃を繰り出す凶悪なスキルだ。
特筆すべきはその発生の早さと反撃倍率。詠唱不要のスキルにも関わらず破格の反撃倍率8倍という、出鱈目カウンターである。
もちろん硬直やディレイなどの制約はあるが、それを差し引いてもとんでもない性能のスキルである。当然ながらプレイヤーで使える者はいない。
ノイが驚いたのはその発動タイミングである。8面ボスとして登場した時はHPが50%になった所から使用を開始したのだが、ここではまだ3割も削れていない。
想定外。仕様。判断ミス。色んな言葉が一瞬でノイの頭を駆け巡るが、時すでに時間切れ。
「ぐぁ……!」
―カウンター発動!
―ディドに合計3688ダメージ!
最大HPの倍近いダメージをモロに食らい、ディドは吹き飛ばされて倒れ伏した。起き上がって来る気配は無い。
「ディドさん!?」
「かばってとか……かっこよすぎだろ……!」
「ディドさんの犠牲を無駄にするな、絶対に倒すぞ!」
「「「おうともよ!」」」
一人倒された事で改めて気合いを入れ直したメンバーは、鬼気迫る勢いで攻撃を加えていく。
どこかに残っていた慢心を捨て去り真剣になったメンバーの前に、もはやフェルムは力不足である。
「たあっ!」
「ふっ!」
「この、生意気な人間どもめっ!」
イリスの長槍とノイの長剣を大鎌を受け止め、遠心力を利用して背後へ回る。
そのまま二人の首を跳ね飛ばそうとするが、後方からの凶刃をかわすために上空へ。そのまま空中で姿勢を整え、ランカー軍団へと向き直る。
「くっそ、やっぱ飛ばれんのめんどくさいな」
「レ○スかっての、はよ降りてこいよ」
思わず悪態をついたのはタロウとパックス。先程からフェルムは、態勢が自分にとって不利になったら空中に逃げて立て直すという行動を繰り返している。
【ジャンプ】系統以外である程度自由に空中を移動出来るスキルが無いため、こうして飛ばれた場合に攻撃を加えるのは難しい。
「来るぞ!」
「その攻撃はお見通しだっての! 【スラッシュガード】!」
空中から高速で切り掛かるフェルムを大盾で止め、その隙に他のメンバーが切り掛かる。
そしてある程度切り結び、フェルムが上空へ逃げる。その繰り返しは、既に10回目を越えようとしていた。
「くっ、人間どもがこの私に……ッ!」
「やっと半分削れたか……キーディさん、どうだ!?」
「準備は出来てるけど……もう一手無いと駄目臭いかな。警戒力が半端じゃない」
「めんどくせぇ……」
「汚いなさすが小物汚い」
ずるずると時間を引き延ばすのが目的だとわかりきっているだけに腹立たしい。焦りから少々雑になってきた攻撃は、フェルムへのダメージも減らしてしまっている。
すると。
―「南側城門」の耐久度が0になったため、南側の城門が破壊されました
―モンスター軍が南側の第一防衛ラインを突破しました。残る3方面の第一防衛ラインが突破された場合、防衛戦は敗北となります
―モンスター軍が南側の第一防衛ラインを突破しました。第二防衛ラインが突破された場合、防衛戦は敗北となります
―エブラ軍が全滅しました
―敵全員に「士気上昇・大」が5分間付与されます
「ふ、ふふふ、城門を突破したようだ。我々の勝利も近い、もう諦めることですね!」
「うぜぇ……」
「うざい……」
自軍の優勢を知ったことで調子に乗るフェルム。だが確かに、城門が抜かれたことで少なからず動揺したのは確かだ。
「さあ行きますよ、【虹の一撃】!」
「来たっ!」
気を良くしたフェルムの大技の使用に、待ってましたとばかりに武器を構えるランカー達。
このままでは無駄に時間をかけられるだけとわかったために、一か八か大技へのカウンターを狙う方針に切り替えていたのだ。
中々打ってくれずにやきもきしていたが、相手が調子に乗ってくれたおかげでチャンスが回ってきたのだった。
「食らいなさい、我が虹を!」
「中二乙!」
「【タイラントガード】!」
その名の通り虹色に光る鎌の斬撃をタロウが受け止め、一瞬の拮抗の後にお互いが弾き飛ばされる。
「【スプラッシュスター】!」
「【サンダーアロー】!」
「ぐあっ!」
態勢を崩したフェルムへキーディとオメガのスキルが突き刺さる。弱点である光属性の魔法と麻痺効果付与の矢を同時に食らい、フェルムは身動きが取れない。
「【シールドブレイク】!」
「【嘆きの一撃】!」
「【彗星の光槍】!」
「【暴れ斬り】!」
「【光昂閃】!」
「ま、まさか……この私が人間どもなんぞに……!」
高レベルのスキルの連打を受け切れずに、モリモリとHPが減っていくフェルム。そして。
「これで終わりだ、【光破聖閃】っ!」
「ぬわーーーーーーっ!」
ノイの一撃でHPの3割を消し飛ばされ、倒れ伏すフェルム。
「……く、くくく」
「っ、まだ生きてた!?」
「いや、多分イベントでしょこれ。HP0だし」
突如として笑い声をあげるフェルムに何人かが武器を構えるが、吹き飛ばされてから戻ってきたタロウの呟きに一先ず警戒を緩めた。
「人間ごときがここまでやるとは……見誤っていたのは私の方だったとでもいうのか……」
「というかそもそも一度倒してるノイさんいる時点でry」
「ですが、私を倒したぐらいで終わったと思ってもらっては困りますねぇ……! 例え私を破った所で、我が王に比べればあなた達など無に等しいのですよ……」
「聞けよ」
「そして台詞が噛ませすぎる件」
なんともありきたりな台詞を、ふらふらと立ち上がりながら語るフェルム。
戦闘中の高揚感はどこへやら、ランカー達のテンションはいたっていつも通りだ。
「ははは……貴様らも! そして蠢く雑多どもも! 全て消え去るのだ!
我が王、煉獄の主、魔神ヒラニプラの手によって!
あっはははははははははは…………!」
ヒラニプラ。その名前を口に出した途端にフェルムの身体から黒い煙が吹き出し、笑い声と共に瞬く間に消え去った。
完全に消えたことを確認したメンバーは一つ大きな息を吐いた。
―プレイヤー「ノイ」の手により、ボス「妖魔子爵フェルム」が撃破されました
―よって、エブラ防衛戦はプレイヤー軍の勝利となります
―ただいま処理を行っております 5分間の間、ログアウトをしないようにお願いします
…
…
…
ラスボス、思いっきりかませにしました。そりゃあもうかませ臭満載です。これだけかませのテンプレ言ってるのもなかなかいないと思います。
あとこれ主人公ノイでいいんじゃないかな。