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防衛戦-OTHER-

2週間と半日遅れ。

本当に、遅筆をどうにかしたい。4000字無いのにこれはひどい。


今回は防衛戦におけるメインキャラの状況になります。時系列的には肉塊を倒して5分後くらい。

「ふっ!」


 また一体オークを切り裂き、すぐさま次に当たる。流れるように行われるその動きは、その一切に澱みを感じられない。

 チームとなった私達は、城壁の上からその華麗な戦いぶりに見入っていた。


「やっぱり、グロスさんって凄いね……」

「うん……」


 グロスさんの剣捌きを食い入るように見つめるファラちゃんの返答は何処か上の空。

 幼馴染みである彼女の性格は知り尽くしているために、いつもの事だと苦笑する。

 とは言え、いつまでも呆けさせる訳にも行かない。グロスさんの体力はもう四割を切ってるし、そろそろ私も出る準備しないと。


「ファラちゃん? そろそろグロスさん戻って来ると思うけど、次どうしよう?」

「はぇ!? え、えと、順番的に、あたし行くよ……」


 慌てて準備を始めるファラちゃん。スキルを付け替え装備をチェックし、問題無いことを確認する。……順番的に次は私の番なんだけど、可愛いからいいや。

 その間にグロスさんからパーティチャットでメッセージ。


『HPが3割を切ったので、一旦下がります。後をお願いします』

「ファラちゃん、グロスさんが交代するって!」

「オッケー、行ってくるわ!」

「頑張ってね!」


 階段を駆け降りていくファラちゃんを見送る。戦場からはグロスさんが、オークを切り倒しながら後退していく。

 長時間の戦闘で息が上がっていて、剣捌きこそ衰えていないもののかなり苦しそう。


「っ!」

「危ない!」


 ゴブリンアーチャーの放った麻痺矢が踏み出そうとしたグロスさんの右足に命中し、グロスさんがもんどり打って転がる。

 そこに突出してきたオークが棍棒を振り下ろす。麻痺が効いているグロスさんは動くことができない。


「間に合って……! 【雷歩】! 【爆雷一閃】!」


 ファラちゃんが【雷歩】による高速移動でオークとグロスさんの間に割り込み、手にした剣でしっかりと棍棒を受け止めた。

 それを押し返し、スキルを使って一撃で切り裂く。ふぅ、よかった……


「グロスさん大丈夫!?」

「ごめん、助かった。あとお願いします」

「任せなさい!」


 手を掴んでグロスさんを引っ張り上げて、ハイタッチを交わすファラちゃん。

 笑顔を浮かべて正反対の方向へ駆け出す二人はとてもお似合いに見えて、なんだかちょっと悔しかった。


「グロスさんお帰りなさい、危なかったですね」

「ただいまです、ファラさんに助けられました……治療行ってくるので、ここお願いします」

「はい、いってらっしゃい」


 持ち場に戻ってきたグロスさんが治療を受けに行ったのを見送って、再び戦場に視線を戻す。

 ハイタッチのおかげなのか、いつもより動きがいい。ゲーム内のものとはいえ、やっぱり憧れている人との触れ合いは力になったのかな。

 そんなことを思いながら、ファラちゃんが悲鳴を上げて撤退するまでの五分間をのんびりと過ごすのだった。






 都市国家エブラの中央に位置する王城。その大広間は現在、HPが0になり脱落したプレイヤーが集まっていた。

 「俺は面倒が嫌いなんだ」という人や「今日もアニメが面白い」という人は早々に離脱(ログアウト)したが、半分くらいのプレイヤーはこの場に残っていた。

 何故かと言われると―――


「おお、あいつ頑張ってるなー」

「うへ、あと3000ポイント稼げりゃあ……やらかしたなぁ」


 この脱落者の待機場では防衛戦に参加したプレイヤー全員のスコアデータを閲覧でき、それらはリアルタイム更新される。

 またそれと同時に閲覧を選択したプレイヤーの現在状況も確認でき、待機しているプレイヤーを飽きさせないようになっている。

 中でもほとんどのプレイヤー達の目を引いたのが、ランキングであった。


「キーディさんってすげぇなぁ、もう50万超えてんのか……」

「あれじゃね、巨大モンスターに1番ダメージ与えてたからじゃね」

「ああなるほど、あの人だけで肉塊の4割くらいは削ってただろうしなぁ」


 現在ランキングのトップにいるのはギルド「ぱるぅ!?」のギルドマスターであるキーディ。

 巨大モンスター戦で40万近くのポイントを叩き出し、その後もコンスタントにポイントを稼ぎ、現在55万弱というポイントを保持。

 僅差の2位にはギルド「栄光と勇猛の剣」のノイ。

トップクラスのランカーの名は伊達ではなく、防衛戦開始から1時間までで唯一となるトロル100体撃破を成し遂げ、巨大モンスターからも20万近いポイントを稼ぐ。現在47万少々。

 3位に「ディドと愉快な仲間達」のディド。

 ポイントは35万と少し。やはり巨大モンスターの割合が大きく、それだけで20万を稼いでいる。

 この下には他の強襲隊のメンバーやランカー達が並んでいるがそれはディドに実力が劣っている訳ではなく、前者は巨大モンスターとの相性、後者は巨大モンスター戦に参加しなかったことが主な要因であることをここに記しておく。


「ランカー勢も凄いけど、一般プレイヤーで10万稼ぐって実は相当凄いよなこれ……」

「マジ集中力もたねーわ、自分のHP気づいた時には既に真っ赤だし」

「逐一確認しながら乱戦すんのがこんな大変だとは思ってなかったわ……」


 ここにいるプレイヤーの死因の大半は、連戦に次ぐ連戦で集中力を欠いた状態でHPの確認が疎かになったところで、近くにいた決死トロルやワーム辺りに殴られて昇天、というもの。

 他には単純に地力が足りなかったか、決死トロルにHPの9割を一撃で吹き飛ばされた等が上げられる。


「改めて見ると、これ勝てんのかね……」

「まあ、プレイヤーの頑張り次第、何だろうけど……」


 今とあるプレイヤー達が映している映像は、エブラの街を真上から映した映像。魔法による光が瞬き、途切れることの無い魔物の波をなんとか押し止めている。

 戦線の拮抗は守られてはいるが、何か一つのきっかけで戦況はどちらにも転ぶだろう。








「さてどうする?」

「ボス出たしこのまま一直線に目指したいところだが……場所がわからないからなぁ」

「そのために今シュノスと他の偵察隊メンバーを向かわせてるんだろ、少し待ってろよ」


 エブラ中央広場近くの一帯で、巨大モンスターを撃破して戻ってきた強襲隊のメンバーが話し込んでいた。


「あっちから出てくりゃ話は早いんだけどなぁ」

「性格(キャラ付け)的にそれはないと思う。多分後方で引きこもってる」

「ほう、それは?」


 ノイの言葉を聞いて興味深そうに話を促すサキガケ。


「この妖魔子爵フェルムって、南8面のボスなんです。で、そこで見たこいつのイメージというか、話し方とか台詞で判断したのが……まあ、典型的なやられ役というかかませというか」

「ほうほう」

「ぶっちゃけ脳筋の方が強かったし、それどころかアストラといい勝負だし、アストラを滅ぼしたのは私ですとか言っちゃうし、ですます口調だし、スキルは強いけど攻撃力大した事無いし……」

「「「お、おう」」」


 突然のこき下ろしにメンバーの目が丸くなる。一応はルートボスだというのに、ひどい扱いである。実際言ったことは大体あっているのだが。

 そんな視線に気づいて、ごまかすように咳払いをするノイ。


「まあとにかく、今のうちにフェルムのスキルやら何やらを教えておきます。さっさと防衛戦終わらせましょう。

 当然、勝利で!」

「「「了解!」」」




フェルム発見の報告が入ったのは、それから15分後の事だった。






 また一つ、正面のオークを切り倒す。すぐさま体を前に倒すことで後ろからのこん棒を避け、振り返ると同時に槍を突き出す。

 腕を戻しつつ回転して【薙ぎ払い】。距離が少し開いたから【瞬散打突】で数体まとめて吹き飛ばす。

 私が交代して戦闘を開始してから、45分。集中力はまるで落ちず、順調に敵を屠っていく。

 残りHPは余裕があるけれど、油断は禁物。

 師匠……ディドさんからの教え。「当たらなければ問題無い」。その教えがあったから、私は今ここで戦えている。

 敵が獲物を振り上げた時点でリーチを読み、振り下ろし始める前に範囲外へ逃げ、目前を通過したら前に出て槍を振るう。それだけのこと。


「……っ!」


 次。








「なあよー」

「んー?」

「こういう時ってさ、何て言えばいいんだろなー」

「……もうあいつ一人でいいんじゃ無いかな?」

「だよなー……」


 最初にルマリアと交代してから45分。防衛戦が始まってから1時間半。

 45分ぶっ通しで戦い続けているはずのルマリアのHPは未だに6割5分をキープし、動きに陰りも見られない。それどころか、さらに動きのキレが良くなっている。

 縦横無尽に槍を振るうルマリアは「戦乙女」と呼ぶに相応しく、見ていて惚れ惚れする。

 ……というか、これでレベル120くらいなの? 嘘でしょ? 本当だとしたら完全に詐欺だろ?


「ルマリアさん強すぎね?」

「だなー、本当に俺達出番無いなー」

「あれで120代とか意味わからんわー、同レベルだったら勝てる気しないわー」


 やっぱりセンスの差なのかね。悔しいけど、ステータスでごり押ししか勝つ方法が思い付かない。

 湧き出て来る嫉妬心を飲み込むように、手に力を込めた。

せめて産むまでには防衛戦終わりたい。欲をいえば+1話。

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