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ゲームオーバー  作者: DC
2/2

/斜陽の差す一軒屋

>>今晩の夕食はビーフシチュー



―――――――――以下、暫く前話が続きます。跳びますか?――――――



―――くるくるくるくる。


 くるくるくるとしながら家の鍵を差し込んで、くるっと回して玄関の扉を開いた。

「ただいまー」

 いつも通りの挨拶をして、脱いだ靴は綺麗に整える。

 返事はなかった。

「もう、また今日も遅いんだから。お兄ちゃん」

 兄への不満を溢しながら、喉の渇いていた私は台所へ向かった。

「あー、また片付けるの忘れて。」

 私のお兄ちゃんは朝は忙しい。何度注意しても片付けはしてくれないし、この前なんか戸締りも忘れていった。私が最初に見つけなかったら、一体どんな事になってんだろうと心配になる。

「もう・・・」

 制服の上着を脱いで、私は袖を捲くった。



 台所の片付けを終えて、更に洗濯も済ませてから、私は続けて夕飯の支度に取り掛かった。

「ふんふーん、ふふんふーん」

 上機嫌に鼻歌なんか歌っちゃったりして。

「・・・ずず・・・うーん。もうちょっと濃い方が好きかな」

 味付けを微調整する。勿論、お兄ちゃんの好みに合わせてだった。



 夕食の準備をほぼ終えて、書置きもちゃんとテーブルの上に残した。

「うんっ、これでよし」

 一度頷いてから、顔をあげて。

「あっ、もうこんな時間っ。急がないとお兄ちゃんが帰ってきちゃうよ」

 時刻は夕方から夜に差し掛かる頃。遊びまわってるお兄ちゃんも帰ってくる時間。

―――くるくるくるくる。

 もう時計は二周は回っていた。

 あんまり遅くなるとお兄ちゃんが心配するだろうから、そう考えながら私は慌てて玄関の外へ急いだ。


 がちゃり、と玄関の扉が私の目の前で開く。

「・・・・・・」

 お兄ちゃんは挨拶もせず。私の姿を眺めた、学校の制服に鞄なんていう出で立ちを。


「おかえり、お兄ちゃんっ。今日も遅かったね、だめだよ、遊んでばかりいちゃ。勉強もちゃんとしてる?」

「・・・いや、お前」

「私?、私は遊びに行くんじゃないよ。帰るんだよ、あ、もしかして送ってくれるの?ミキ、嬉しいなぁ」

「誰だよ、お前?」

 くるくるくるくる。

 お兄ちゃんは私の事をわからないみたいだった。

「あはっ、ミキだよ?」

「だから・・・人の家でなにやってるんだって、言ってんだよ。おい、警察呼ぶぞ」

 可笑しいな。可笑しいな。

「ちっ・・・とっとと出てけよ。」

 オカシイナ。お兄ちゃんは私を放って、むしろ相手にする事自体がうっとおしそうに、私を避けて玄関をあがっていった。

「―――母さん、勝手に近所のガキ、あげてんじゃねぇよ」

 そして、誰もいない食卓に向けて、吐き捨てるようにそう言っていた。


 くるくるくるくる。

「ちっ、また今日もいねぇのかよ。」

 リビングから顔を引っ込ませて、お兄ちゃんは悪態を吐くと。私をもう一度うざそうに見遣った。



――――――跳びました――――――



「おい、俺の親、何処行ったって?」

「・・・?」

 お兄ちゃんはよくわからない事を言っている。

「だから、晩飯の用意だけして俺の親は、お前をほっぽっといて何処に行ったのかって聞いてるんだよ」

「あ・・・(こくこく」

「そうか、で、どこに行くっつってた?」

 私は笑って言った。

「私は一人でも大丈夫だよっ」

「・・・あ?」

「だから、放っておかれても平気だよ、ミキっ」

「・・・あー、そう。そりゃ良かったな」

「うんっ」

 やっぱり、お兄ちゃんは可笑しくない。私のお兄ちゃんだ。私が放っておかれてると知って心配してくれた。あは。

「とっとと帰れよ、お前」

「うんっ、またね、お兄ちゃんっ」

「・・・ちっ」

 お兄ちゃんに見送られて私は家を後にした。



―――くるくるくるくる。

 日が落ちて、また昇って、くるっと日付が入れ替わる。


 くるくるくるとしながら家の鍵を差し込んで、くるっと回して玄関の扉を開いた。

「ただいまー」 

 いつも通りの挨拶をして、脱いだ靴を綺麗に整えた。

 返事はなかった。

「もうまた起きるの遅いんだから、お兄ちゃんまた遅刻だよぉ・・・はぁ」

 溜め息を吐いた。

 とは言え、寝起きのお兄ちゃんは危険なので私は先に家事を優先する事にした。

 早速、台所に向かおうとして。

「・・・?」

 テーブルの上に書置きが残っていた。普段ならクシャクシャに丸くなってるか、ゴミ箱に入ってるかなので、私はなんだろうと思って近づいて見てみた。


――――――飽きた なんか不味いし


「・・・・・・」

 お兄ちゃんの筆跡なのは見間違いじゃない。思わず、私は目の前が真っ暗になった。

 オカシイナ、オカシイナ。


「くるくるくるくる」

 くるくるくるくる。

 言葉に出して、私は鞄の中からソレを持ち出した。

「コレを見せたら、お兄ちゃんも思い直してくれるよね」

 手の中で器用に回してみせる。

「アハハ」

 軽快なステップを踏んで、私は二階に続く階段を上った。



「おにいちゃーん、もう朝だよー」

「Zzz・・・」

「おにいちゃーん?」

「・・・ん・・・なん・・だよ?」

「おはよう、お兄ちゃん」

「あ?・・・お前、勝手に何してんだよ?、ぶっ殺すぞクソガキ。早く出てけよ、おい、聞いてんのか、クズ!」

「くるくるくるくる」

 ザクッ

「ぐ―――がはっ、なに、なにがっ!?」

「アハッ、アハハハハハハハハハハハッ!」

 ザクザクザク





BADEND.

こんな感じで進めてく予定です。とりあえず、コンセプトはこれで理解されたんじゃないかな、と思います。息抜きの筈が、だいぶ頭を使う羽目になった・・・ま、いっか。


今回の評価

「赤点です。幾ら何でも寝起きとは言え口が悪過ぎます。不審者の神経を逆撫でするような暴言は避けましょう。」

次回に向けて。

「料理を作ってくれた人に感謝の念を持って接しましょう。例えどんなに不味くても。」

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