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ゲームオーバー  作者: DC
1/2

/斜陽の架かる一軒家。

―――くるくるくるくる。


 くるくるくるとしながら家の鍵を差し込んで、くるっと回して玄関の扉を開いた。

「ただいまー」

 いつも通りの挨拶をして、脱いだ靴は綺麗に整える。

 返事はなかった。

「もう、また今日も遅いんだから。お兄ちゃん」

 兄への不満を溢しながら、喉の渇いていた私は台所へ向かった。

「あー、また片付けるの忘れて。」

 私のお兄ちゃんは朝は忙しい。何度注意しても片付けはしてくれないし、この前なんか戸締りも忘れていった。私が最初に見つけなかったら、一体どんな事になってんだろうと心配になる。

「もう・・・」

 制服の上着を脱いで、私は袖を捲くった。



 台所の片付けを終えて、更に洗濯も済ませてから、私は続けて夕飯の支度に取り掛かった。

「ふんふーん、ふふんふーん」

 上機嫌に鼻歌なんか歌っちゃったりして。

「・・・ずず・・・うーん。もうちょっと濃い方が好きかな」

 味付けを微調整する。勿論、お兄ちゃんの好みに合わせてだった。



 夕食の準備をほぼ終えて、書置きもちゃんとテーブルの上に残した。

「うんっ、これでよし」

 一度頷いてから、顔をあげて。

「あっ、もうこんな時間っ。急がないとお兄ちゃんが帰ってきちゃうよ」

 時刻は夕方から夜に差し掛かる頃。遊びまわってるお兄ちゃんも帰ってくる時間。

―――くるくるくるくる。

 もう時計は二周は回っていた。

 あんまり遅くなるとお兄ちゃんが心配するだろうから、そう考えながら私は慌てて玄関の外へ急いだ。


 がちゃり、と玄関の扉が私の目の前で開く。

「・・・・・・」

 お兄ちゃんは挨拶もせず。私の姿を眺めた、学校の制服に鞄なんていう出で立ちを。


「おかえり、お兄ちゃんっ。今日も遅かったね、だめだよ、遊んでばかりいちゃ。勉強もちゃんとしてる?」

「・・・いや、お前」

「私?、私は遊びに行くんじゃないよ。帰るんだよ、あ、もしかして送ってくれるの?ミキ、嬉しいなぁ」

「誰だよ、お前?」

 くるくるくるくる。

 お兄ちゃんは私の事をわからないみたいだった。

「あはっ、ミキだよ?」

「だから・・・人の家でなにやってるんだって、言ってんだよ。おい、警察呼ぶぞ」

 可笑しいな。可笑しいな。

「ちっ・・・とっとと出てけよ。」

 オカシイナ。お兄ちゃんは私を放って、むしろ相手にする事自体がうっとおしそうに、私を避けて玄関をあがっていった。

「―――母さん、勝手に近所のガキ、あげてんじゃねぇよ」

 そして、誰もいない食卓に向けて、吐き捨てるようにそう言っていた。


 くるくるくるくる。

「ちっ、また今日もいねぇのかよ。」

 リビングから顔を引っ込ませて、お兄ちゃんは悪態を吐くと。私をもう一度うざそうに見遣って。そのまま、二階のお兄ちゃんの部屋に踵を返していった。


「くるくるくるくる」

 くるくるくるくる。

 言葉に出して、私は鞄の中からソレを持ち出した。

「コレを見てくれたら、お兄ちゃんも思い出してくれるよね」

 手の中で器用に回してみせる。

「ふふっ」

 軽快なステップを踏んで、私は二階に続く階段を上った。



「なんだよ、俺になんか用かよ。ふざけてんじゃねぇぞ」

「あははー」

「・・・おい、それ」

「アハハハハハハハハハハハハハハハ!」

「く、くるってんのか!?」

「くるくるくるくる」

 ザクッ

「ぃ―――ぎゃあああああああああああああああああ」





BADEND.

誰の為の息抜きなのかよくわからなくなってますが。続けます。


今回の評価

「赤点です。状況をよく読みましょう。」

次回に向けて。

「両親不在で勝手にお邪魔する近所の子供は要注意。」

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