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二話

偶々町で出会ったあの人の護衛から、近々手紙が届くので正式な依頼はその時に、とのことだった。話の概要は、最近隣国との国境近くで暴れている賊のアジトをつぶすといった内容だった。これが、便利屋の裏の仕事である。とあるお偉いさんから時々届く手紙に書かれた荒事を遂行する、というのがミッション。


「あいつまた面倒を…」


「まあまあ、彼も彼なりに忙しいんだよ。じゃあ、ニジヤは事前に情報集めといてくれるかな。すぐじゃなくてもいいよ。今日は疲れたろう。」


「ニジヤは仕事多くていいなー。僕も所長の役に立ちたいー!」


「はは…アシレさんは現場で暴れる係じゃないっすか。俺はただ、情報収集系の魔法が特異なだけっす」


そう、この世界には魔法が存在する。魔道具も発達しており、通信を行うこともできる。しかし、その技術は王族含めた少数のみが知っており、とても高価な代物であるため、貴族たちですら手に入れるのが難しい。アシレはいわゆる脳筋気質で、身体強化の魔法を得意としている。リュウは精神干渉系統と、回復に長けており、セイレンはアシレと同じく身体強化魔法に優れている。そして、これは教会と王家にのみ詳細が語られる存在であるが、魔法とは少し違う能力を持つ者がいる。人々はそれを、『祝福』と呼んだ。


「そんなこと言ったら私なんて戦いは苦手だし情報集めも得意じゃないよ」


「リュウのはまた違うだろ。ま、得意分野なんざ人それぞれ。それで活躍すればよし。だろ?」


「ボ、ボスぅ!一生ついていきます!」


「一生は遠慮するわ」


笑いながらかわすセイレンは、少しだけほの暗い瞳をして、瞼を閉じ、伸びをした。


「今日の業務はここまで!さ、帰るぞー」


「コップ、預かるよ」


「いや、俺が洗いますよ。一番下っぱなんで」


「そうですよリュウさん、こいつにやらせとけばいいんです」


「なんかアシレ先輩にいわれるとムカつきますね」


「じゃれてないで。じゃあニジヤ、お願いするね」


「はーい」


薄暗くなってきた町に、灯がともりだす。魔法の明かりは、優しく街並みを照らしている。がやがやとケンカしながら洗い物をしている二人から離れて、ぼんやりと窓の外を眺めるセイレンのもとへ向かった。


「なに、黄昏れてるの?」


「ちげぇよ。」


短く返したセイレンはリュウに視線を向けずに、行き交う人を見ていた。家に帰る子供たち、飯屋に行く旅人、飲みに出かける男たち。とても、平和な町だ。


「セイレンの敵は、少なくともここにはいないよ」


視線を動かす。にこりと微笑んで見せたリュウに、あきらめたようにふっと笑った。


「知ってるよ、ばーか」

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