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あなたの幼なじみはどうやら私にご執心のようです  作者: ぽーりー


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20 決意



私はひとつ息を吐いてから扉をノックした。


『入りなさい』

『失礼します』


中に入ると、お祖父様が執務椅子から立ち上がった。


『座って話そうか』

『はい』


お祖父様は私をソファへ誘導すると向かいのソファに座った。


『リナにも話しておこうかと思ってね』

『なんでしょうか?』

『これだ』


お祖父様はテーブルに一通の手紙を置いた。


『これは・・・?』

『今朝届いたんだ。カルロから私宛にね』


カルロというと、コートニー様のお父様のことね。


『これにはロアスとの雇用契約を更新しないで欲しいと書かれてあった』

『・・・え?』

『チェイストン家で彼を護衛として雇いたいそうだ』


そんな・・・。


『園遊会の件でロアスを気に入ったようだな・・・。ロアスにも直接この話をしたようだが断られてしまったそうだ』

『そうですか・・・』

『だが一度断られたからと言って諦める男ではないからな。こうして私に手紙をよこしてきたというわけだ』


お祖父様はカルロ様が幼い頃からご存じなのよね・・・。


『あいつは甘やかされて育ったせいで、どんなことでも自分の思い通りにならないと気が済まないんだ』

『お祖父様は・・・どうされるおつもりですか?』

『ロアスがここに残りたいというのならその意思を尊重しようと思っているよ』


良かったわ・・・。


『だがカルロがどのような圧力をかけてくるかわからない』

『そんな・・・そこまでするでしょうか』

『そうなる前に諦めてくれればいいんだが・・・』


どうすればいいのかしら・・・。


『リナ、これは私の勝手な提案だが・・・この際ロアスと婚約をするのはどうだ?』

『・・・へ?』

『カルロもまさか婚約者を奪うことまではしないだろう』


こ、婚約ですって??


『それは無理があるかと思います!これは私の意志だけでどうこう出来るものではありませんしっ』

『だがこの問題を解決するにはそれしかないと思うんだが』

『そう言われましても・・・』


ロアス様が私と婚約なんてするはずがないわ・・・。


『では、この件についてはロアスの選択に任せるということでいいか?』

『はい・・・。ロアス様にお任せします』


ロアス様ならきっとここに残ってくれるはずだわ・・・。

そう思っていたけれど、ロアス様は翌月ここを出てチェイストン家に行くことになってしまった。




『お祖父様!どういうことですか?』

『すまないな・・・。ロアスがここを出ると決めたんだ』

『ロアス様が・・・?』

『ここでずっと居候を続けるわけにもいかないと言ってな』

『でも・・・カルロ様には一度断ったはずでは?』

『気が変わることもあるだろう』

『そんな・・・』

『残念だが、リナも笑顔で送り出してあげなさい』

『・・・・』


そんなの嘘よ・・・。

ロアス様がここを出ていってしまうなんて・・・。


お祖父様の執務室から出て玄関ホールに降りると、ロアス様が私を待っていた。


「少し話せるか?」

「・・・はい」


応接室へ移動すると、ロアス様が深いため息を吐いた。


「すまない・・・。護衛を続けることが出来なくなってしまった」

「・・・理由を伺ってもいいでしょうか。もしかして、何かご不満でもありましたか?」

「不満などあるはずがない!ここで過ごした日々は俺にとってかけがえのない時間だった・・・」


だったらなぜ・・・。


「このままセルディーン家に甘え続けるわけにもいかないと思ったんだ・・・。俺はこの国で、自分の力で暮らしていけるようになりたいと思っている」

「ロアス様・・・」

「リナ嬢・・・これだけは約束してくれ。俺が辞めたらすぐに新しい護衛を雇ってほしい」

「・・・・」

「侯爵様にもそうしてほしいと伝えた・・・。そうしてくれるか?」


なぜそんなに必死な顔をなさるのですか?

私のことなどもう気にしないでください・・・。


「わかりました・・・。そうします」


この時私はロアス様の門出を素直に祝うことが出来なかった。

それからは修道院への行き帰りも気まずくなってしまったけれど、ロアス様の前ではなるべく笑顔でいるように努めた。








一月(ひとつき)後ーーー


『リナ!』

『セティア・・・』

『ひどい顔じゃない!どうしたの??』

『・・・・』

『何があったのよ??』


セティアは立ち尽くしている私を屋敷へ招き入れた。


『急にごめんなさい。あなたに会いたくなったのよ・・・』

『それは嬉しいけど・・・。とりあえず部屋に行きましょ』


セティアは侍女にお茶の準備を頼むと私を連れて二階へ上がった。

なんだかこの屋敷は落ち着くわね・・・。


『ほら、座って』


セティアは私をベッドに座らせると隣に座った。


『それで?何があったの?』

『・・・・』

『黙っていたらわからないじゃない』

『実は・・・ロアス様がいってしまったの』

『いってしまったってどういうこと?ラビナスに戻ったの?』

『いいえ。スワナーに・・・チェイストン家に雇われることになってしまって』

『はっ?どういうこと?』

『コートニー様のお父様から護衛にならないかってお誘いがあったの。初めは断ったそうなんだけど・・・』

『それで?セルディーン家からチェイストン家に行っちゃったわけ?』

『えぇ』

『何よそれ?コートニー様にロアス様を奪われちゃったってことじゃない!』


そうかもしれないわね・・・。


『それで?リナはどうするの?』

『え・・・?どうするって・・・』

『まさか泣き寝入りするつもり?』

『だって・・・私にはどうすることも・・・』


するとセティアが力強く私の肩を掴んだ。


『セティア?』

『リナはロアス様を引き留めたわけ?』

『そんなこと出来ないわよ』

『どうしてよ?』

『だって迷惑でしょう?』

『はぁ・・・リナはいつもそうよ。相手の気持ちばっかり考えて・・・。一度でも自分の気持ちを優先したことがあるわけ?』

『自分の気持ち?』

『ロアス様が好きなんでしょう?ならなんでそれを伝えないわけ?』

『・・・・』

『自分で行動もせずに、ロアス様が行ってしまったって後悔してるだけじゃない!それでコートニー様に奪われたって仕方ないわ!』

『セティア・・・』

『セインって人の時だって、自分の気持ちを伝えなかったんでしょう?』


・・・確かにそうだわ。

プライドが邪魔をしてセインに泣き縋ることも出来なかった・・・。


『このままでいいの?ロアス様がコートニー様のことを好きになったらどうするの?』


もしロアス様がコートニー様を・・・他の誰かを好きになってしまったら・・・。


『きっと後悔すると思うわ』

『わかってるじゃない』

『そうね・・・。私が間違っていたわ・・・。自分が行動しなくても、相手が行動してくれると思い込んでいたのね・・・』


セインの時も、ロアス様の時も、ただ自分を選んでくれるのを待っているだけだった。


『私ロアス様に会いに行くわ・・・。それで自分の気持ちを伝える。あなたを愛してるって』

『その意気よ!応援してるわ!』

『セティア・・・ありがとう』


その時ノックが鳴った。


『お嬢様、お茶をお持ちいたしました』

『・・・じゃあお茶にしましょうか』

『えぇ』




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