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あなたの幼なじみはどうやら私にご執心のようです  作者: ぽーりー


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18/28

18 紹介



園遊会から数日後、チェイストン家の執事ジェームズさんが我が家を訪れた。

彼を応接室へお通しすると、私もロアス様の通訳として相席することにした。


『突然のご訪問、申し訳ございません』

『とんでもないです。遠いところまでご足労様です』


ジェームズさんは軽く挨拶を交わすと、胸ポケットから封書を二通取り出した。


『こちらはカルロ様からお預かりしたお手紙と、見舞金の小切手でございます』

「ロアス様、これはカルロ様からお預かりしたお手紙とお見舞金の小切手だそうです」


ロアス様はまず手紙に目を通すと納得したように頷いた。


「ラビナス語で書かれてあるな。カルロ様はラビナス語が堪能なようだ」

「そうでしたか・・・。さすがチェイストン家の次期侯爵様ですね」

「あぁ」


ロアス様は手紙を読み終えると、小切手の入った封筒は開封せずにジェームズさんに返した。


「これは受け取れないと伝えてくれ。気持ちだけで十分だと」

「わかりました」


ロアス様のお気持ちを伝えると、ジェームズさんはハンカチで額の汗を拭った。


『それでは私がカルロ様にお叱りを受けてしまいます。必ず渡してほしいと申しつかっておりまして・・・』


カルロ様がお礼をなさりたい気持ちはわかるけど、きっとロアス様は受け取らないわ・・・。


『では・・・お見舞金ではなく、ロアス様をディナーに招待されるのはいかがでしょうか?それでしたらロアス様も出席なさるかもしれませんし・・・』

『確かに・・・そうですね。一度戻ってカルロ様にご提案してみます』


とりあえず納得していただけて良かったわ・・・。


『それで、コートニー様のご様子はいかがですか?』

『お嬢様は大変ショックを受けておられまして・・・』

『そうですよね・・・』


私も未だに魔物に襲撃された時のことを思い出すと怖いのだから、目の前でナイフを突き付けられたコートニー様はどれほど恐ろしかったことか・・・。


『ご自分の代わりにロアス様が怪我をなさったことにも心を痛めておいでです』


ロアス様にコートニー様の状態を伝えると、ロアス様は包帯を巻いた右手を見下ろした。


「傷は良くなったと伝えてくれ。モンテタール語の学習も続けていると」

「わかりました」


ジェームズさんがお帰りになると、私は急いでお出かけ用のドレスに着替えた。

園遊会を途中で退席してしまったことをこれからライオネルに謝罪に行くのだ。

玄関ホールに降りると、乗馬ブーツを履いたロアス様が立っていた。


「どこかに行くのか?」

「はい。ライオネルに会いに行ってきます。先日のことを謝ろうかと思いまして」

「そうか・・・。彼には申し訳なかったな」

「伝えておきますね」

「・・・・」


車寄せから馬車へ乗り込もうとすると、後ろからロアス様に呼び止められた。


「彼の屋敷はここからどれくらいかかるんだ?」

「えっと、馬車で半刻ほどです」

「では俺が送ろう。ちょうど馬に乗ろうとしていたところだった」

「いいんですか?」

「あぁ」








「今日はいい天気だな」

「そうですね。風がとても気持ちいいです」


こうやって一緒に馬に乗るのはあの日以来だわ・・・。

あの時は雨に打たれて宿に泊まってしまったけれど、ロアス様と一夜を明かすだなんて、なんて大胆なことをしてしまったのかしら・・・。

今では考えられないわね。


街道から一本道をそれると、山の麓に大きな果樹園が見えてきた。


「ヘンアット伯爵家は代々果樹園とワイナリーを営んでいらっしゃるんです」

「そうか・・・。今は苺の季節だな」

「はい。毎年苺とブルーベリーのジャムをいただいているんです。今年はロアス様も味見なさってくださいね」

「それは楽しみだな」


果樹園を横目にしばらく走ると、石造りで趣のある屋敷が見えてきた。


「歴史を感じる建物だな」

「素敵なお屋敷ですよね」


門の前に到着して呼び鈴を鳴らすと、使用人の男性が出てきた。


『リナお嬢様、ようこそお越しくださいました!セティアお嬢様をお呼びしますね。どうぞお入りください』

『ありがとうございます』


彼に馬を預けると、私とロアス様は玄関へ向かってゆっくりと歩いた。


「花壇も手入れが行き届いているな」

「セティアのお母様のご趣味なんです。とても綺麗ですよね」


二人で庭を眺めていると、セティアが慌てて出てきた。


『リナ!どうしたのよ?』

『セティア、急にごめんなさい。今日はライオネルに会いに来たのよ。園遊会の時に先に帰ってしまったから』

『その話なら聞いたわ・・・って彼は?どなた?』

『ロアス・ランヒューレ様よ』

『え??彼が例の??』


セティアはロアス様をまじまじと見上げていた。


「ロアス様、彼女は私の幼なじみのセティア・ヘンアット様です」


するとロアス様はモンテタール語で自己紹介をした。


『初めまして。ロアス・ランヒューレです。お会い出来て光栄です』

『まぁまぁまぁ!ご丁寧にありがとうございますぅ。私はセティア・ヘンアットです。リナの幼なじみをやらせていただいておりますの』

『ちょっとセティア!変なしゃべり方しないでよっ』

『おほほほ。ちょっとリナ!かなりのイケメンじゃないの!聞いてないわよ!おほほほ』

『もう!やめてってば!』


ロアス様はセティアが何と言ったのか聞き取れなかったようでポカンとしていた。


『すぐにライオネルを連れて来るわ。応接室で待っててくれる?』

『えぇ。ありがとう。ロアス様も一緒にいい?』

『もちろんよ。ロアス様も紅茶で大丈夫?』

『えぇ』


応接室に入ると、ロアス様が落ち着かない様子で部屋を見まわした。


「俺まで入ってしまって良かったのか?俺は外で待っていても良かったんだが」

「大丈夫です。ヘンアット家の皆さんはとても気さくな・・・」


すると突然ライオネルが駆け込んで来た。


『リナさん!わざわざ来てくれたんですか?』

『ライオネル、急にごめんなさい。早くあなたに謝りたくて』

『そんな!気にしないでください。あれから友人を見つけて一緒に園遊会を楽しみましたから』

『そうだったの?それなら良かったけれど・・・』

「ロアスさんも来てくださったんですか?」

「えぇ」


するとロアス様がライオネルに握手を求めた。


「園遊会ではすまなかった」

「とんでもないです。お怪我は大丈夫ですか?」

「この通り。握手も問題ない」

「ははっ。そのようですね」


三人で談笑していると、ティーセットを持ったセティアが入ってきた。


『お待たせ!クッキーとジャムも用意したから食べていって』

『すぐに帰るんだからそんな気を使わなくてもいいのに』

『え〜!もっといてよ。ねぇライオネル?』

『そうですよ!なんなら夕飯も食べていってください』

『それは悪いわよ。ロアス様も気を使うだろうし』

『まぁそうね。夕食はもう少し仲良くなってからお誘いするわ』


セティアったらロアス様と仲良くなるつもりね。


紅茶をいただきながら一刻ほど過ごすと、私とロアス様はセティアのご両親に挨拶をしてから屋敷を出た。


「明るい家族だな」

「ふふっ。そうなんです。いつもみんなから元気をもらってます」

「それにしても・・・大量にもらったな」


先程セティアのお母様から手渡された紙袋には大量の自家製ジャムが入っていた。


「予想どおりいただきましたね・・・」

「俺が持とう」

「ありがとうございます」


それからしばらくの間、我が家の朝食はジャムパン祭りになったのだった。




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