表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/34

待っているよ



 妊娠してから誠さんが過保護だ。


 まあ薄々は、そうなるかな、と思っていたけれど。


 自転車には乗らせてくれない。

 重いものを持たせてくれない。

 食事の内容にまで気を使う。

 最近は、体重管理までされてしまって、ちょいと窮屈にさえ感じてしまう。



「大丈夫ですって、そんなに心配しなくても」


 私は思わず、そうぼやいてしまった。

 言われた方の誠さんは、少し困り顔。


「解っているけれど、何というか、こう、じっとしていられないというか」


 そう言いながら、誠さんはほとんど無意識に私の仕事をとってしまう。


 そこは私が拭きますから。



「そんなので、出産まで持ちますか? 産まれた後もいろいろありますよ」


「まどかさんは、心配になりませんか?」


「それが、あんまり」


 そう、何となくいつも変わりなく、いろいろやろうとしてしまう。

 言われて、はっと気づく時があるぐらいで、あまり心配していない。


「何故だろう」

「何故なんでしょうね」


 それでも、私は毎日はじめに語りかけている。

 ひと時だって忘れてはいない。


「私は母のように、真穂さんのようになりたいんです。心配してもそんな素振りを見せず、信頼をしてあげられるような」


 誠さんは一瞬、あっ、という顔をして、しばらく考えこむ。

 そして、ちょっと笑いながら、誠さんがこう言った。


「僕はちょっと泣き虫でもいいですか?」


 ふふっ、私の父のようになりたい、という意味ですね。


「はい、いいですよ。でも、泣き虫だけじゃ駄目です。一家の大黒柱としてどっしりとして、そしてちょっと甘くないと」


「ははは、そうですね。頑張ります」


 誠さんはそう言いながら、やっぱり私の仕事をとってしまった。


 だから、洗い物はしますから。





 だんだんとお腹が大きくなってきて、動いているのも解ってきた。


 どすどすと蹴ったり、ぐるぐると回ったり。

 忙しい子供だ。


「はじめ。元気なのはいいけれど、あまり動き過ぎないで」


 私は思わず、注意してしまう。


 うーん、不思議な存在だ。

 気分はカンガルー?





 そして気付いたら、お腹はぱんぱんに膨らみ、立ち上がるのにも「よっこいしょ」と声が出てしまうようになる。


 ああ、ばばくさい。

 でも、十月十日って長いような、短いような。

 もうすぐ出産予定日だ。


 幸い、ここまで何事も無く順調に育ってくれた。

 ちょっとばかり私の体重が増えすぎちゃったけれど、まあ許容範囲内。

 本当に有難い。



 実は性別はまだ聞いていないけれど、はじめくん、元気に産まれてきてよ。



 私達はあなたに会える日を本当に、心待ちにしています。


 もうすぐだね。

 待っているよ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ