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レオナルドはレイシスが嫌い

 私はお兄様と話す為に先生と一緒に魔王城へと瞬間移動でやってきていた。


「お兄様、お久しぶりです。急に来てしまってすみません…………なるべく早くお兄様にお知らせしなければいけない事ができてしまって…………」


 アデレイドは目を伏せて、言いづらそうに顔を逸らしている。いつもであれば、お兄様の顔をキラキラした目で見つめ、抱きついたりするのに、今日はいつもよりも距離も離れている気がする。心配そうにレオナルドは話しかける。


「アデル、何があったの?そんなに僕に言いづらい事かい?それに先生と、その横のは………正気を失ってる様に見えるけど、魔人だよね?この魔人が何かアデルにしたのかい?」


 レオナルドはトロントロンの目の焦点が合っていない魔人を見て嫌な予感がした。何故アデルが魔人と一緒に居る?何故魔人は焦点のあってない目でここに居る?そしてここに居るレイシスのことも気になる。いかにも何か企んでいる様なニヤケ面だが、いつもこんな顔をしていた様にも思う。しかし、直感が言っている絶対に怪しいと…………


 暫くの沈黙の後、なかなか話を切り出さないアデレイドに代わり、レイシスが話始めた。


「レオナルド君、僕がアデレイド嬢の代わりに話してもいいかな?」


 レオナルドは本当はアデルから事情を聞きたかったが、アデレイドが話しづらそうにしているので「お願いします」とレイシスの方を向いた。


「まずは、事の発端は、魔人が魔物を率いて人間達を襲っていた事が始まりなんだよね。それを助けたのがアデレイド嬢って話なんだけど、その後なんやかんやあって国が動き出しちゃって、アデレイド嬢が祭り上げられて、国のゴタゴタに巻き込まれちゃって……


「ちょっと待ってくれませんか!なんやかんやって、まさか王子との婚約とかじゃぁ無いですよね?しかもその後、アデルが国のゴタゴタに巻き込まれてる?なんでそんな事に?アデルはまだ子供なんですよ?巻き込まれるのはおかしいのでは?」


 レイシスの話を最後まで聞く前に怒りで言葉を遮るレオナルド、レイシスは困った様に両手をお手上げのポーズをしてまた話始めた。


「あの王様は欲深いからね、普通の考えを求めたって無駄だよ、だから僕がアデレイド嬢を連れ出したって訳、そこから今の現状があるんだけど、僕達二人だけで王国よりも先回りして魔物退治をしていこうって話になったんだけど、そこの魔物を操っていたのがまた魔人だったんだよねぇ…………なぜ魔物を使って人間達を襲っているか詳しく話を聞く為に自白剤を飲ませて、理由を聞いて今ここに来たっていう流れかな?」


 魔人達がなぜ人間達を襲っているのかの理由をはぐらかして話をしてくるレイシス。レオナルドは純粋に魔人達の意図を知らない為、早く話してほしくてレイシスを急かす。


「その理由はなんだったんですか?魔国から出ない様に罰まで与えているのにわざわざそこまでする理由は?」


 一白ためて、レイシスが笑みを溢しながら言う。


「ふふ、理由は?なんと、レオナルド君と、魔王様の為らしいよ?魔人も意外と健気なんだねぇ…………

 魔人達は人間が魔人より力を付けたと勘違いしてて、魔人達を守る為に大魔王様が魔人を魔国から出さない様にしてるって思ってるんだって。

 だから、原因である人間を、大魔王様と魔王様の為に、殺したり、奴隷にして、大魔王様と、魔王様に喜んでもらおうとしてるんだって。それが魔人達が人間を殺そうとしている今の理由らしいよ?」


 レオナルドは魔人の意図を知り頭が混乱していた。わざわざ他の種族を襲わない為に魔国に縛りつけたつもりが、変な誤解を生み、逆に人間を襲う結果となってしまった。自分は何の為にここに残って頑張っているのか……………国外に出たら罰を与えるだけじゃ生ぬるかったのか、前世の様に魔人達を無慈悲に殺せば良かったのか…………これからの事を考えて黙っていると、


「実はね、僕のおすすめのお薬があるんだ!、それをレオナルド君に伝える為に、アデレイド嬢と一緒に僕も着いてきたのさ!!ちょうど最近作ったお薬で、今の君にピッタリだと思う内容なんだよね、このお薬を使って魔人を再教育したらいいと思うんだ!ただ、その過程をサンプルとして、研究させてもらえないかな?どぉ?悪く無い話でしょ?」


 興奮を隠せないのか、レイシスは早口で捲し立てる。口元は相変わらず口角が上がりっぱなしだ。それを聞いたアデレイドは先生が手助けしてくれると言っていたのはただ単に研究したかっただけと言う事に気づいてしまった。ただでさえお兄様が落ち込みそうな内容だったのに、追い討ちで研究の話をするなんて、お兄様の悩みの種を増やしただけになってしまった。


(やってしまった…………先生が助けてくれると信じきってしまった私がバカだった……お兄様ごめんなさい!!先生のバカァァァァーー)


 お兄様を見ると、顔は微笑んでいるが全然目が笑っていなかった。


(ただでさえ考える事が増えたのに、ここに来て研究をさせてくれ??は??レイシス様の事は元々信用していなかったが、今の提案で信用はゼロ、いや、マイナスになった…………と言うより何よりあのニヤケ面が気に入らない……アデルの師匠というのも気に入らない……アデルの隣に今いるのも気に入らない…………)


 イライラしすぎて後半からはずっと溜め込んでいたレイシスへの不満が漏れ出す。そして、レオナルドのレイシスに対する信用が地の底まで落ちた瞬間だった。


「その薬は信用できないので辞めときます。薬の詳しい内容も素直に貴方が僕に言うとは限らないですし、何より、貴方の事が嫌いです」


 ニッコリと冷笑を浮かべレイシスに返す。最後の言葉はイラつきを隠せず出てしまった言葉だが、後悔はしてなかった。


「はぁ〜、レオナルド君にそんなこと言われるなんて悲しいなぁ…………そもそも魔人を抑えられなかった君の尻拭いを僕とアデレイド嬢でやってるんだけどなぁ〜、そのせいでアデレイド嬢は国に束縛されそうになったんだけどなぁ〜〜、あ〜あ〜研究くらいさせてくれたって良いのになぁ〜」


 自分の研究を受け入れてもらえなかった腹いせなのかレオナルドが突かれたくない所をグサグサと煽る。そして、レオナルドの事が嫌いでは無いが、研究を阻まれるとどーしても子供じみた態度を取ってしまうレイシス

 そして、さらに二人の言い合いは止まらず…………


「僕の落ち度は認めます。ただ、貴方ならもっと上手くアデルを逃してあげられたのでは?それができなかった貴方に責められても……それに貴方の薬は全く信用できませんからね!」


「僕は僕のやりたい様にやるのが僕のスタンスだからそれを原因のレオナルド君に言われたくないなぁ〜。あと、一応、僕天才なんだけど?薬の事何も知らない人にとやかく言われてもなぁ〜」


「あぁ!レイシス様は自己中ってやつですね?なるほど、どうりで話が自己的だ!なんでも自分の思い通りに行くと思ってます?天才さん?あと、前々から言おうと思ってましたが、アデルには一定の距離を保って接してください、いつもアデルとの距離が近いんですよ!!!!」


「自己中?まぁ、何だっていいさ、僕とアデレイド嬢の仲良しに、ヤキモチ妬いてる心の狭い君にはわからないと思うしねぇ〜」


 それから30分近くレオナルドとレイシスのの攻防が続いた。時間が経てば経つほどその場の空気がどんどん悪くなっていく。そして、そのどうしようもなく悪い空気を壊す声がした。


「お、おぬしら魔人の話をしてるのではなかったのか?いつのまにか悪口の言い合いになってるのじゃ…………

 しかし、魔人が人間を襲った件に関しては、すぐ魔人を集めて部下達を懲らしめるからお前達はもう帰ったら良いのじゃ…………特にそこのピンク髪!!お前大魔王様とはまた別の意味でなんだか怖いのじゃ…………早よ帰れ……なのじゃ」


 レオナルドの座っている椅子の後ろからヒョコっと魔王が顔を出した。その魔王を興味深げにレイシスは眺める。レイシスにとったら魔王はうってつけの研究対象なのだ…………


(ナイス!魔王ちゃん!!空気が変わった!!もう私達が魔人退治をして、お兄様の憂いを私が取り払えばいいのよ!最初からそれで良かったんだ!!)


 自分なりに答えを見つけたアデレイドはその場で立ち上がった。


「お兄様ごめんなさい……魔人の事でお兄様の御心を痛めてしまいました。お兄様の負担を取り除く為にこれからも私と先生で魔人を倒していきます!!それが最善策だと今わかりました!!………お兄様に傷ついてほしくなくて、なかなか言葉が出てこなくて、、余計にお兄様に負担を敷いてしまいましたごめんなさい」


 アデレイドは深く腰を折りレオナルドに謝った。レオナルドは、はぁ……と深いため息を吐いて


「アデルには謝って欲しいわけじゃないよ?お願いだから顔を上げて?それに、アデルには戦闘は似合わないよ、僕が何とかするからこれ以上アデルは戦わないでほしい!お願いアデル!アデルが少しでも傷つく方が僕は耐えられないよ……さぁ、こっちにきてハグしてくれる?」


 お兄様はいつものキラキラした優しい笑顔で私に手を伸ばした。私はすぐにお兄様に抱きついた。久々のお兄様の匂い、お兄様の腕の中はとっても落ち着いた。ちょっと泣きそうになってしまった。


「はぁ…………妾がここに居る意味あるかのぉ?もう部屋に戻ってもいいかのぉ?」


 レイシスとアデレイドが抱き合っているその傍で魔王は呆れた顔で一人呟くのだった。

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