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王子襲来

「お嬢様ーーーーーー」


 バンッ


 朝早くにアデレイドの部屋の扉が開かれた。


「サシャ……どうしたの?、、まだ眠たいよぉ」


 目を擦りあくびをする。


「お嬢様、急な来客が決まったので、準備しなければなりません、眠たいと思いますが起きてください」


 サシャはどこかソワソワしていた。顔はにやけきっており、蒸気している。そして、アデレイドの支度もいつもより念入りにしている。


「お嬢様、とっっっっっても可愛いです!!誰が見てもお嬢様に惚れます」


 親指をグッと上げ、鼻から鼻血を出しながら満足気に目をキラキラさせている。


「サシャ鼻血拭いたほうがいいよ?」


 と、苦笑いでサシャにハンカチを渡す。「お嬢様のハンカチ!!」と言って鼻血が出ている鼻で匂いを嗅いでいる。もうサシャの事はほっとこう…………


「所で、急な来客って誰の事かサシャは知ってるの?」


 すると、サシャは顔をにやけさせて、「お嬢様が喜ぶ方です」とだけ言われた。


(私が喜ぶ人って誰だろう?お兄様が帰ってきた訳ないし………………本当に誰?)


 疑問は晴れないまま執事に連れられ応接室まで行く。トントントンッ、ノックをして扉を開く。


「アデレイド!!」


 名前を呼ばれたと思ったらアデレイドは急に抱きしめられた。


(……えっ!!!)


「アデレイド!!体調はもう大丈夫かい?僕はずっとアデレイドの体調が良くなるのを待っていたんだ、お見舞いに来てもいつも会えずに帰らされるから余計に心配で…………でも今日こうして会えた!アデレイド、すまないがもう少しだけこのまま抱きしめさせてくれ」


 サシャが言う私の喜ぶ人とは……第一王子のアレクシスだった。勘違い甚だしい…………しかし、一般の人であれば王子様と言う存在はやはり憧れで、喜ぶ存在なのだろう。


「あっ、あのアレクシス様苦しい……んですが、、」


「すまないもう少しだけこのまま…………」


 耳元で囁く。ゾワゾワ…………アデレイドは寒気がして身震いした。王子はそれを喜んでいると勘違いし、自分の中に収まるアデレイドの小さい身体を離したくないと思った。


 と、その時、


「ウヴンッ!!!ヴンッウウヴヴンッ!!」


 お父様が耐えきれず咳払いをしてようやく王子が離れた。


「久しぶりにアデレイドに会えて嬉しかったとはいえ、急に抱きしめてすまなかった」


 全然すまなかったと思っていない爽やかな王子スマイルを向ける。


「所で、今日は直接伝えたい事があってここまで来たんだ!!」


 まるでいい事を伝えに来たとでも言うようにキラキラした瞳を向ける………嫌な予感しかない。


「アデレイド、僕と結婚してほしい!!」


 静寂が訪れる。アデレイドは笑顔を張り付けているが内心穏やかではない。お父様、お母様もアデレイドが嫌がっている事が分かっているだけに王子への断りのタイミングを測っている。


「以前もお話ししましたが、私は病弱でアレクシス様の隣に立つ事は相応しくないと思います。申し訳ないのですが、お断りさせていただきます」


 すると、そんな事は想定済みと言うように、真っ直ぐアデレイドを見て、ふやける様な笑顔を向けた。


「そんな些末な事、君には凄い力があるじゃないか!勇者に匹敵する光の魔法が!!それだけで僕の隣にいるには十分な素質だよ」


(うわっ!!勇者の力を持っている私を手に入れたいの?なにそれ?十分な素質ってなに?貴方の隣に全然居たくないんですけど……)


 怒りが込み上げてきて顔が赤くなる。王子はそれを照れていると勘違いして手をギュッと握りしめる。ゾワゾワ……最悪だ……怒らずにどう断ろうか脳みそをフル回転させ悩んでいると、横からお父様が


「王子殿下、私の娘は恋愛結婚させたいと思っています。むしろ結婚出来なかったとしてもそれでも私どもは構わないのです。アデレイドが幸せに暮らせればそれだけで良いのです。病弱で儚い命なのに勝手に結婚など!!!これは王の命令なのですか?王子殿下」


 王の命令なのかと言う一言に王子はビクッと反応した。実は王からは無理にアデレイドに迫るなと言われていたのだ。無理に迫った訳ではないと自分に言い聞かせているが、現に今断られているのだ。


「そ、そうなのですね、お父上はとっても優しい方ですね、アデレイドの事をとってもよく想っていらっしゃる」


 自分の父でもないのにお父上と言い距離を詰めてくるアレクシス


「今日はアデレイドの元気な姿を見れただけで帰ろうと思います。ただ、僕の気持ちだけは無かったことにしないでほしいアデレイドお願いだ」


 アデレイドの手を取り、真剣な顔で宣言される。王子の真剣な瞳から逃げられなかった。


 しかし、嫌なものは嫌なのだ…………


「アレクシス様の気持ちは分かりました。胸に留めておきますね」


 アデレイドは意図せず、背が低いので上目遣いになってしまう。そして、王子にはこう見えてしまう。


 潤んだ瞳で見上げてくる天使の様な整った顔、はにかんだ笑顔、頬はうっすらピンク色でキスしたくなる様なツヤツヤした唇。惚れてまうやろーーーー……と


 王子の顔は一瞬で真っ赤になる。そして一言


「ありがとうっ………………(君の父上の反対に負けずに君を必ず奪いに行くよ!!)」


 ありがとうと、一言言うだけで精一杯だった為、アデレイドが聞いたらゾワゾワしそうな勘違い全開の言葉は言わずに済んだのであった。


 王子はそのまま帰って行った。なんとか、婚約者にならずに済んだが、あの様子だとこれからも諦めてくれる事はないだろう。


(アデレイド…………僕の可愛いお嫁さん、いつも照れて断ってくるけど、お父上の反対が怖いからなんだね、僕の父上にまた相談しなくては、僕たちが相思相愛な事を…………)


 やはり、勘違いが止まらないアレクシスであった。


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