大魔王
「お兄様!!!??」
見つめあって数秒アデレイドは自身が変身している事を忘れていた。レオナルドからしたら知らない魔人が目の前にいる状況だ。それでもレオナルドは
「その声、アデル?なんでここに…………」
「なんじゃ……まさかあやつの兄とはまさか大魔王様の事じゃったのか!??」
アデレイドは変身を解く。首根っこを掴んでいた魔人は持っていたのが人間だと分かると放り出す様に投げた。その勢いでアデレイドが床に転がり落ちる。
「おい、サロメお前僕の妹に何してるの?怪我してるよ?」
そう言うと、スッと手を上げたと思ったらサロメという魔人めがけて闇の魔法を放った。サロメは体半分が腐りどんどん腐食が進んでいく。
「だ、大魔王様すみません、どうか、ゆるして、く、だ……」
全て言い切る前に全身が溶けてなくなってしまった。
「アデルごめん、アデルの目の前でこんな事、それに、こんな所まで一体どうやって来たの?体は大丈夫?今ぶつけた所痛くない?」
以前と変わらない目が潰れるほど綺麗な顔でアデレイドを心配している。アデレイドは動揺していた。
「私は大丈夫……です。お兄様、お兄様はどうして攫われて、どうして…………どうして魔人側に居られるのですか!!?」
レオナルドは目を伏せた。そして、ここに居る魔人全員を下がらせ、アデレイドの隣に座り話し始めた。
「僕は攫われたあの後、この場所に集まっていた魔人達の前に連れてこられたんだ前魔王様として…………実は僕は今世以外ずっと魔王として生きて来てたんだ…………そして、その記憶が僕にはある」
お兄様が今世以外すべての時代の魔王だったって事?でも、今はお父様とお母様から生まれて来たはずで、私のお兄様のはずで…………アデレイドは混乱している。しかし、レオナルドは尚も話し続ける。
「今世は何故か普通の人間に生まれたんだけど、魔王の名残なのか光属性は持ち合わせなかったし、光属性の魔法には弱いんだ……
だからアデルの手作りクッキーも食べれなかった、多分アデルは知らないうちに光魔法を使って作っていたんだと思う。アデルの初めての手作りを食べれなかったのは本当に辛かったよ」
あの時のお兄様が変だったのは私が知らないうちに光魔法を使ったせいだったのだ……お兄様ごめんなさい。
ただ、お兄様が前世で魔王だったからって攫った事は許せない。今世は人間ならば攫う必要なかったのではないか?そんな事を考えていると、
「攫われた目的は、現魔王がまだ幼くて力のコントロールができないのを訓練する係で呼ばれたみたいなんだ、あわよくばまた僕を魔王にするつもりでもいるみたいだったけどね」
やれやれという顔をするお兄様、アデレイドは現魔王の訓練ごときでお兄様を連れ去った事に腹を立てていた。そんな事で連れ去るなんて許せない!!私達がどんな思いでお兄様の無事を祈ったか、お母様に至っては倒れたのだ!!
「許せません!!私達はお兄様が殺されたかと思いました!お母様なんて今、床に臥しているんですよ!!そんな訓練ごときで……そんな……そんなの許せません!!」
「僕も自分が生きてる事を知らせようとしたんだけど、魔人達が余りにも攻撃的で人間の国にも攻撃を仕掛けようとしてたから一時的に僕が魔王の真似事をして統率を取っていたんだ。一部の魔人は人間の国に行ったみたいだけど、帰ってこないってことはちゃんと処理されたと思って良いんだよね?」
きっと学園祭で現れた魔人だろう、お兄様は私達の安全の為にここに留まって魔人を押さえつけてくれていたのだ。
「お兄様は魔王の教育でまだ帰って来れなそうですか?それに、魔人達もまだ人間の国を襲おうとしてるのですか?」
「そうだね、僕はずっと帰りたいと思ってるんだけど、魔人達を統率するのはまだ現魔王では難しいかも知れないね、そもそも現魔王も暴れたいようだし…………皆んなの生活を脅かす魔人を解き放つのは避けたいんだよね」
「お兄様が犠牲になるなんて…………」
「心配してくれてありがとう、ただ、ここの魔人を調教し終えたら帰るから、父様と母様に伝えてくれないかな?」
お兄様から調教という怖い言葉が出てくるが、顔が良いので素直に聞き流せてしまう。
「分かりました。お兄様の魔王だった過去のお話もして良いのですか?」
「良いよ、父様と母様は受け止めてくれると思うから。僕が何者であったとしても、今世はあの二人から生まれたんだからね」
「はい!!私もお兄様はお兄様です!!大好きです」
お兄様に抱きついた。久しぶりのお兄様の温もりに安堵した。生きている、それがわかっただけでも来て良かった、そう思えたアデレイドであった。
「そういえば、これ途中の街で買ったお菓子なんですが、お兄様に会ったら渡そうと思ってたんです。食べてくれますか?」
するとお兄様の目はたちまち輝き出した。いつもの5倍増しのキラキラスマイルを浮かべる
「アデル!!ありがとう!!僕ずっっっとお菓子食べてなかったからすっっっごく嬉しい大事に食べるね!!」
お兄様はアデレイドのほっぺにキスをして、いつもより眩しい笑顔を至近距離でくれる。アデレイドは久々の至近距離での眩しいキラキラ笑顔に鼻血が出そうになった。
それからお兄様と魔国の話や魔王などの話をして時間が許す限り語り合った。十分語り合った後、早く帰らないといけないとも思った。自分と同じくお兄様を心配しているお父様とお母様に少しでも早くこの事を伝えて安心させたいと思ったからである。
「お兄様、本当は一緒に帰りたいんですが、お兄様しかできない事をここで止めるわけにはいかないですよね、私邪魔しない程度に、瞬間移動でお兄様にお菓子届けに来ても良いですか?」
「もちろん!!お菓子がなくたってアデルならいつでも大歓迎さ、僕はここで待っているからね」
「お兄様!!!」
お兄様に抱きつく、するとお兄様はそのままアデレイドを抱き上げて抱っこをしてくれる。
「アデルも日に日におっきくなってるね、これ以上アデルの成長を見逃したくないから早く調教終わる様に頑張るね、応援しててね」
「はい!!応援してます。頑張ってくださいねお兄様!!」
最後にまたほっぺにキスをして私達は別れた。アデレイドは瞬間移動で久々の我が家に帰ってきた。




