獣人たちは単純?
初めて告白された翌日、アデレイドは次の国に向けて出発していた。また山を登っては下り、変な冒険者に絡まれたりしながらも、どんどん進んでいき、ついに獣人の国サファランまでやって来た。
(人間が本当に少ないなぁ…………)
キョロキョロと辺りを観察しながら街を歩いていく。食べ物はお肉系か、野菜系かに別れている。やっぱり肉食、草食関係あるのだろうか
「オークの串焼き一つください!!」
「ふんっ人間の子供に売るものなんてないね、他いきな!!」
まさか差別がこんな屋台にまであるとは思ってなくてショックをうける。商売は商売で割り切っているかと思ってたが、違ったらしい
(うぅ…………お腹すいたよ……)
「おい!!そこに突っ立ってるの邪魔だ!どけ!」
乱暴な言葉を投げかけられる。アデレイドはさっきの差別を受けたことと、お腹が空いていた事もありムカムカしていた。
「はぁ?どこに立ってようがこっちの自由でしょ」
アデレイドの中では低い声が出ていた。そして、あまりにもイライラしていたので、相手を睨みつけていた。しかも相手は5人組の獣人の子供達だった。
「なっ、人間のくせに!!な、生意気だぞ!!俺ら獣人は強いんだ弱いお前らなんて人権ないだろ!!」
「弱い?誰に向かって言ってるの?君たち全員片手でぶちのめせるけど?」
アデレイドがそう言った瞬間大爆笑が起きた。5人の男の子達だけでなく、口喧嘩をみていた周りの大人達、屋台の人達までが笑っている。
「嬢ちゃん嘘言っちゃいけないよ、久しぶりに威勢のいい人間だね、オーク肉あげるからお家に帰んな
」
さっきの屋台のおばちゃんがバカにしたように言う。
「中には本気にしちまって半殺しにする奴もいるから気をつけな!!」
「そんな細い腕で獣人に勝とうなんてやめとけやめとけ」
「度胸は買うがな、引いた方がいい時もあるんだぜ子供だから分からないからもしれないけどな」
周りの大人達も口々にアデレイドが勝つとは思わずバカにする。
「お前、人間にしちゃぁ肝が据わってるな!俺の奴隷にしてやってもいいぞ!!よく見たら可愛い顔してるしなアハハハハ」
さっきの5人組のリーダー格の男の子が叫ぶ。周りの大人達の声も後押しして調子に乗ってるようだ。
「奴隷?ふざけないで、貴方が奴隷になるんならいいけど、私は、私より弱い奴の下なんかにつく訳ないでしょ!!なんならここで勝負したっていいわよ!!」
周りの獣人達が今度はざわつきだした。下に見てバカにしている人間だが、別に傷付けたい訳ではない、人間は触れば折れてしまいそうで怖いのだ。
しかも、獣人達は人間に逆らわれた事がなくこの喧嘩の収め方が誰も分からないので、皆、オロオロし始めた。
「なっ!!俺と闘ったら負けるぞお前!!良いのか?泣いちゃうんだぞお前!!」
「だから負けませんって、ほらかかってきなさいよ周りに人が居ないとイキれない弱虫のリーダー」
とりあえず煽ってみる。すると、今まで一度も弱虫と言われた事が無かった男の子のプライドが傷つき、我を忘れて顔を真っ赤にし、飛びかかってきた。
「どーなっても知らねーぞグォォォ」
「はぁ、先生と比べたら全然怖くないし……」
飛びかかってきた男の子をそのまま勢いで背負い投げする。ドスンッと鈍い音がして辺りがシーンと音が止まる。
「ちくしょーーまだ負けてねぇーー」
そのまま起き上がり殴りかかってくる。もうなりふり構っていられないみたいだ。その拳を手のひらで受け止め、足払いをする。男の子がこけた後、二度と起き上がらないように馬乗りになり、拳をあげた。そして、振り下ろす……男の子の顔の横に
「これで分かったでしょ?貴方に私は倒せないの!私の勝ち!負けを認めるのもカッコいい男の条件だと思うよ?」
「はい」っといって男の子に手を差し伸べる。すると男の子の目から涙が…………男の子は初めて負けを知ったのだ。子供の中では常にトップを走っていた自分が負けるなんて、悔しくて現実を受け止められない。次々と涙がとめどなく溢れてくる。
「負けちまったなぁコンラッド、嬢ちゃんは人間なのに強かったな!!やるなぁ」
「人間に負けるなんてだらしねぇーなぁ…………でも見事だったな」
「細いのに強い人間も居るんだなぁ、人間なのに良くやった!あとでオーク肉買ってやる!!」
さっきまでバカにしていた周りの大人達も獣人に勝ってみせた実力をみて、態度を変えていた。
「コンラッド君って言うの君?私はアドラ、強い人の上には常に強い人が居るから自分は強いって過信して手を抜いちゃダメだよ?君も強いんだから、だから涙を拭いて立ち上がって、ねっ?」
再度手を差し伸べる。コンラッドは手を取り涙を拭いた。
「ヒック……お、おれ、もっと、強くなって、うぅ……お前を、たおす!!」
「うん!待ってるね」
その場は拍手で締め括られた。アデレイドはその後オーク肉の串揚げや、野菜スープなど、屋台で買う事ができるようになっていた。
(獣人の人って良くも悪くも……単純なのかもしれないなぁ、次の国では面倒な事が起きないといいけど…………)
そんな事を思い次の国を目指すのであった。




