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獣人の男の子

 私が教科書で勉強したダマレスカ王国という国は、獣人の国サファランの隣にある国で、獣人も多く住む街と言う事。また、魔石の技術が高い為、魔石の利用率がとても高い事で有名だ。


 まだ国境の境目だからか、どこか牧歌的な風景が続く。イメージしてたのは機械だらけの街だったからちょっとテンションが下がってしまう。


 少し歩いて町に入ると、ここは乳製品が多い町らしい……先ほどからチーズの露店や、乳製品を使った食べ物を売っている店が多く立ち並んでいた。


 この町で乳製品などを買ったら素通りしようと考えていたその時、獣人の男の子とぶつかった。男の子の力が強く、私も油断していたので尻餅をついてしまった。


「ごめん、大丈夫か?」


 手を差し伸べてくれる。金髪金眼の尻尾と耳が虎の男の子だった。とっても可愛い!!その耳もふもふしたい……と、邪念が伝わったのか、怪訝な顔をされる。


「君…………変なの…………ジロジロ見てどうしたの?」


「あっ、ごめんね、私が居た国には獣人さんが殆どいなかったから珍しくてつい……ごめんね?」


 なんとか軌道修正した。「そうなんだな」とニッコリ笑顔を向けられたてしまったら……アデレイドの心はKOされてしまう。そんなメロメロになったアデレイドに男の子は問いかける。


「お前違う国から来たって言ったけど、どこから来たんだ?お前一人で来たのか?今からどこに行くんだ?やっぱり賑わってる王都に行くのか?」


 他の国から来たのが珍しいのか、矢継ぎ早に質問をされる。


「私は隣の国のサンレモント王国から一人できたんだよ、行く先はここよりもっと遠くの国に行く予定なんだ」


「もしかして、お前冒険者なのか!?」


 キラキラした瞳でこちらを見てくる。心なしか尻尾もぶんぶんなってる気がする。



「冒険者だよ!!」


 アデレイドがエッヘンと胸を張る。男の子は「うぉぉぉー」と言ったり「かっこいいー」と言ったりしてアデレイドを尊敬の眼差しで見ている。


「俺まだ小さいから剣の素振りしかやらしてもらえないんだけど、俺も大きくなったら父ちゃんと母ちゃんみたいに立派な冒険者になるんだ!!」


 すると、美人な金髪美女が男の子の首根っこを掴んで持ち上げた。


「お前は買い物頼んだのに、道路の真ん中で突っ立って何してんだい!!」


「母ちゃん!こいつ母ちゃんと一緒で冒険者なんだって!俺と同じ年くらいに見えるのにすげー」


「あら?そうなの?頑張ってるのね、偉いわ!って、ロン!!話を逸らさないの!早く買い物終わらせて帰ってきな!お嬢ちゃん、悪かったね、冒険者のことで何か分からない事があったらなんでも聞いてね、じゃあね」


 美女の優しい笑顔とロンの可愛い笑顔に癒されたアデレイドは自分の買い物を済ませて、今日泊まる宿を探した。


 確か……ここら辺に宿が有るって聞いたんだけど………と、路地裏の手前で先ほどのロン君を見つける。まだ買い物してたんだなぁと思って見ていると、ロン君が急に消えた。


「えっ?ロン君!!ロンくーーん」


 瞬歩で先ほどの場所まで行く、サーチを掛けるとロン君はもうこの近くには居なかった


(もしかして攫われた……?ヤバイ!!さっきの金髪美女の人に伝えなきゃ!!)


 急いで冒険者ギルドに向かった。ギルドに到着してすぐロン君が攫われた事、ロン君の特徴、お母さんは金髪美女の冒険者だと伝えた。


 するとすぐに先ほどの金髪美女が現れ、一緒に虎の獣人(多分お父さんだろう)が現れた。


「すみません……どうやって攫われたか分からないんです。急に消えてしまったので……守れなくてごめんなさい」


 私は何も出来なかった事を謝る。


「お嬢ちゃん、大丈夫!ロンはそんなにやわじゃねぇ……ただ、今この国で問題になってる人攫いだったらちょっとロンが危険かもしれねぇ………」


「問題の人攫いとはなんですか?」


「実は獣人の子供だけを狙った集団が最近いてな、まだ捕まって無いんだが、噂によると奴隷として売り払うはよく有る話だが、魔石を埋め込んで殺戮兵器にしようとしてるって話があるんだ…………死ぬまで永遠に研究の材料にされるっていう……もしロンがそんな事になったら…………クソッ」


 ロンのお父さんがやり場のない怒りで机を叩く。ギルドに居た他の冒険者達も殺気立っていた「子供を攫うなんて許せねぇ」「俺たちで取り戻すぞ」などなど、そんな中アデレイドは考えた。


「あの、私子供なんで、獣人に変装した私を囮にして、その集団を捕まえませんか?」


 ギルド内がシーンと静まり返った。


「いやいやいや、いくら冒険者だからって、お嬢ちゃんが危なくなっちまう!ダメだダメだ!」


「お嬢ちゃんが思ってるよりも危険な事なんだぞ!!」


 子供扱いは慣れているが、あんまり過保護にされると自分の実力がないと言われているようでアデレイドはムッとしてしまう。


「私はCランクです!!囮ならできます!!」


「なっ!なんだって?Cランク??」

「そんな小さいのにC……だと?」

「ひぃ…………僕より……上……」


 様々な声が飛び交う中、ロン君のお母さんが飛び出して来て涙ぐみながらアデレイドの肩を掴む。


「ロンの事助けて、貴方に託すわ、同じ冒険者として、そして、Cランクだと言う貴方の強さを見込んでどうかお願い、どうかお願いします!!」


 私は「任せてください」と心配させないように笑顔で言った。

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