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レイシスの休日

 レイシスは昨日から徹夜で術式を組んでいて、とうとう朝になってしまった。今日は休みだから、まだ術式を進化させる為このまま寝ないで作業をする。


 その時、ドアをノックする音が室内に響く。暫くして、勝手に扉が開く


「レイシス様、無視はやめてください。私の立場がなくなりますので」


 そう言って入ってきたのはレイシスの従僕、侯爵家次男のトーマス・ラグドールだ。白と灰色の髪に薄群青色の吊り目を光らせてレイシスを見つめる。


「僕は今日休みのはずだけど?」


「休みだから来たんですよ!家に帰って来ないで何してるんですか!!寝てください!それを言いにきました」


「寝ないよ?ってか脳みそ半分休ませてるし大丈夫なんだけど?」


「なんですか?その気持ち悪い返し、初めて聞きましたよ脳みそ半分休ませてる人、そんな人いるわけないでしょ、馬鹿なんですか?」


 天才魔法使いに馬鹿を言えるのはトーマスくらいかもしれない。


「僕はバカでも何でもいいよ、やりたい事をやれればね」


 清々しいほど綺麗な笑顔で返される。


「はぁ……顔()()は良いんだからほんっっとムカつくよな…………とりあえず帰りますよ、貴方を連れて帰らないと私が怒られるんです」


 無理やりレイシスを羽交締めにする、が、そんなものレイシスに通用しなかった。レイシスは身体強化をしているらしく全然動かなかった。


「たくっ、こんな所でいちいち魔法使わないでくださいよめんどくさいなぁ……あーもぅアホらし……無理無理、レイシス様を連れて帰るなんてむーーりーーー」


 日頃のレイシスの行いも含めヤケクソになったトーマスはレイシスの研究を眺めながら仕事をサボる事にした。


 まぁ、いつもの光景でもある。


 そんなこんなで、レイシスの休日はだいたい研究で終わってしまうのだ、仕事がある日ですら暇を見つけては研究、研究、研究三昧


 研究漬けの日々だ…………




 ※ ※ ※

 そんなとある日



「レイシス様、レイシス様ぁぁーー」


 ノックも無しに勢いよく扉が開く。


 ………………………………


 しかし、魔法の研究に夢中なレイシスは他の事には目もくれない、一方トーマスは焦っていた。何故なら王様からの呼び出しだったからである。


「無視しないでもらえます?…………チッ……この魔法オタクが………………レイシス様、緊急事態です。ちゃんと聞いてください」


「……何の用?……今日は休みだけど、僕」


 冷たい空気が流れる。研究を邪魔されて不機嫌になるレイシス。しかし、トーマスにとっては不機嫌なレイシスなどいつもの事なので、気にしない。


「お休みは一旦無くなりました。貴方はこれから王宮へ行くんです。貴方の事だから内容は大体把握してるんじゃないですか?」


 冷ややかな目を向けるトーマス。知らせを聞いて重たい溜息を吐くレイシス。


「面倒だなぁ……僕パァァーース…………」


「パスなんてできませんよ、貴方が行かなかった為に私がクビになるなんて嫌ですからね」


「…………しょーがないなぁ、行くかぁ」


 なんだかんだ言ってトーマスをクビにはしたくはないレイシスだった。


 王宮に着くとすぐに王様(叔父)との対面だった。


「レイシス、息災か?急に呼び出してすまなかったな」


 王はとてもにこやかにレイシスに話しかける。レイシスは作り笑顔をし、問いかける。


「今日はなんの用事ですか?僕は毎日研究や魔物退治で忙しいんですが?」


 誰もが見惚れるほどの美貌で見つめられ、百戦錬磨の王でも自分の意見を言うのが躊躇われた。


「じ、実はな、レイシスが教えてた子が勇者だとアレクがいうものだからレイシスの意見も聞きたいと思って呼んだんだ、どうなんだ?レイシス」


「あ〜その事?アデレイド嬢は勇者じゃないと思うよ?」


 しれっと嘘をつくレイシス、それどころか、聖女の能力もある事は確認済みなのだ。


 ………………………………


「嘘をつくでない!いくらレイシスでも誤魔化すのは看過できんぞ?」


「嘘じゃないよ?正確には分からないってだけで……光の属性なんてこの国の民、全員でしょ?それが秀でていただけで勇者と決めつけるのは時期尚早というものではないですか?」


 ………………………………


「その気持ちもわかるが、アレクの報告と他の見ておった護衛の意見を聞いてしまうとなぁ…………」


「あっ!一つ言っておくけど、アデレイド嬢を国で囲うとかなったら僕がアデレイド嬢を連れてこの国から出てくから」


「なっ!!なっなんだって!!??」


「あの子は自由に生きてほしいし?あの子を教える事は僕の楽しみでもあるから、それを奪うなら叔父さんでも許さないから?」


 ニッコリと冷たい笑みを浮かべる。その姿ですら綺麗すぎて見惚れるほどだ。


「ゴホンッ、分かった……善処しよう…………」


 レイシスはこの国の治安の面でも欠かせない存在でもある。そんなレイシスが国から出てくとなれば一大事だ。しかもそれを実行する力を持っているから厄介だ。

 それに、元から王様はレイシスに激甘なのだ……これでアデレイドがアレクシスの嫁になる事は当分ないはずだ。


「では、これにて失礼します」


 今度は溢れんばかりの笑顔だ


「う、うむレイシスたまには叔父さんの所に遊びに来なさいね!待ってるから!」


「はぁ〜い」


 手をひらひらさせながらその場から帰っていく


「さっ、これで研究にもどれるね」


「貴方はほんっっとうに研究馬鹿ですね…………」


 トーマスの冷ややかな目線も気にせずにウキウキで帰路に着くレイシスだった。

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