噂の勇者
アデレイドが居なくなった学園はざわついていた。光属性だけだった彼女がまさか防御魔法と、攻撃魔法を使えていたとは、まるで勇者では無いか……と
陰口を叩いていた貴族達はアデレイドに取り入る気でいた。しかし、あの学園祭以降アデレイドは登校してきていない。
噂では魔人撃退の為、魔力を使い過ぎて休んでいるのではないか……や、国王様に仕える為何か秘密のやり取りをしているのでは無いか……など言われている。
王子を含め全員がアデレイドが登校するのを今か今かと待っていた。
「ディラン、アデレイドはなぜ登校して来ないのか分かるか?アデレイドは恥ずかしがってるんだ、僕のお嫁さんになるのを!!」
「…………そうですか…………」
事情を知っているディランはこのポンコツ王子にツッコミたい気持ちでいっぱいだったが、アデレイドが今旅立ってる事が知れたらこの国から出られないかもしれないと思い黙っていた。
「アデレイドにあんな能力が備わっていたなんて、病弱なのを差し引いてもお釣りがくる!国をあげて保護しなければならないだろう……今父様に進言しているんだ。勇者の再来の様な光魔法だとな!!」
ディランは王子の言葉を聞き、アデレイドに急いで連絡を取った。
「アデル、アデル聞こえる?」
「急にどうしたの?ディラン」
「手短に言うね、そろそろ国から出ないと危ないかもしれない。それから、アデルだってバレない様に変装して国を出た方がいいと思う」
ディランがこんなに言うなんてどうやらここに居られる時間はあと少しだけみたいだ……国から追い掛けられる暇なんてこっちには無いのだ。
「連絡くれてありがとうディラン、お父様にも連絡して足止めしてもらうね」
私はお父様にも連絡を入れて、足止めしてもらう事にした。早くこの国を出なければ、捕まってしまうかもしれない……
まずは、変装だ、先生からもらった変身の指輪で変装する。赤髪をポニーテールにして、金眼で吊り目の女の子になった。
名前はそのままアドラ・ミラーでバレないから大丈夫だろう。
国境を越えるにはあとひとつ山を越えなければならなかった。その山はモンーク山脈という山だった。そこを越えたら隣国のダマレスカ王国に入る。
モンーク山脈を誰も居ないところは瞬歩で駆け抜け、人が居るところでは早足で「お先に失礼します」と言い、追い越していく。
しばらくすると、山の中腹に湖があった。お腹も空いていたので昼食を取る事にした。
誰が来るかわからないので、買っておいたサンドイッチにかぶり付く。とっても美味しい。たくさん買ってきて良かったと思った。
すると、近くで休んでいた他の冒険者の男達が噂話をしていた。
「おい、聞いたか?勇者の再来のらしいぞ、まだ小さいガキらしいが、白銀の髪でとっても可愛らしいんだとよ、そんなんで魔王とか倒せんのかね?」
「可愛らしいって男か女かもわかんねぇーもんな!どっちにしろ俺らには関わりねぇしな、勇者様なんてよぉ」
「間違いねぇな、ガハハハハ」
(うわぁ……勇者の話ここまで広まってきてるの?変装してきて良かったぁ……ディランが教えてくれた事に感謝しなきゃ…………そして、まだお兄様を探して旅してるのは広まってないようで良かった。一日も早くこの国を出ないと)
サンドイッチを丸呑みする様に押し込んでまた足早に歩き出すのだった。
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