旅立ち
学園祭は魔人騒ぎで続けるどころの騒ぎではなくなり、途中から中止になった。
アデレイドはと言うと、光属性だけなのに攻撃魔法も防御魔法も使った所をバッチリ見られており、話題の人になっていた。
「お父様、私、魔王城まで行ってお兄様を取り返しに行って参ります!!」
意気込んで言う私に対して、お父様はため息を吐き、悲しい顔をしている。
「アデル?レオナルドが消えた今、アデルまでも失うわけにはいかないんだ、お母様だってまだ病床に臥せっているだろ?アデルが居なくなったら余計に心労がたたって今よりもっと悪化してしまうよ?」
確かに、お母様はずっと寝込んでいる。私のせいで余計に悪化させる事は間違いないのだ…………だが、お兄様と一緒に帰還すればお母様も良くなるはずだ!!
「絶対に私がお兄様を連れ帰るのでお願いします!!絶対に生きて帰ってきます!!お願いします!!」
揺るがない意志が宿った瞳を向けられ、父親として行かせたくない気持ちではあったが、ここで止めたら無理をしてでも出ていくような予感がした。
これ以上説得するのは無理と思い、条件を出して了承する事にした。
「アデルが諦めないのは分かった、ただし、条件がある。それは、一年以内に帰ってくる事、きっとルーシーが耐えられるのは一年…………それまでにはアデルだけでも絶対に戻ってきてほしい…………」
お父様が少し涙ぐみながら私にお願いする。両親の気持ちは痛いほどわかる…………私だってお兄様が居なくなって悲しい…………だからこそ必ず取り戻して生きて帰ってくる!
「分かりました!!絶対に一年で無事にお兄様と帰ってきます!!」
お父様は泣きそうな寂しそうな複雑な顔をしていた。私はお父様といつでも会話できる様に通信の魔石をお互いに持つ事にした。それとは別で、お母様をなんとか誤魔化すために私の影分身も一体用意した。
私は、出発前に友達に一言声をかけるかどうか、迷っていた。急に居なくなる事はみんなを裏切る様な気がして心が痛んだ。ただでさえ魔法ができる事を隠していたのだから…………
よしっ!と覚悟を決めて、通信の魔石で三人に連絡を取る。
「「「アデル大丈夫?」か?」なの?」
心配している声が返ってくる。
「私は大丈夫だよ、それよりもみんなを騙す様な事になってしまってごめんなさい…………光属性だけなのは本当だけど、実は、色々な魔法が扱えるの」
「そうだったんだね、ビックリはしたけど、アデルは規格外だから納得した自分がいたよ」
ディランが優しい声で返してくれる。
「それとね、もう一つ報告があるの…………」
「なんですの??深刻な事ですの?」
ローズが心配そうに聞き返してくる。まるで今からいう事がわかっているかの様だ。
「私、お兄様を魔国から救い出してくる為に一人で旅に出るの、だからみんなとはしばらくお別れになるの…………だから最後に伝えなきゃって…………」
「最後じゃねーだろ!帰ってくるんだろ?本当は俺達も着いていきたいけど、すぐ出ちまうんだろ?俺達はアデルが帰ってくるまで待ってるから!!仲間だからな!」
マークが励ましてくれる。そうだ、私はここにお兄様と一緒に帰ってくるんだ!!そしてまたみんなと楽しい学園生活を送るんだ!!
「うん!ありがとう絶対に戻ってくるから待っててね!私頑張ってくるから!!」
そこで通信の魔石が切れた。少ししか喋れない魔石でよかったかもしれない。これ以上話してたら寂しさが込み上げてくるところだった。
よし、後はジェイク宛にギルドから手紙を出そう。そうして、出発の準備を済ませると、明日の出発の為に早めに就寝したのであった。
(お兄様、待っててくださいね、必ず私が救出してみせます!!)
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