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波乱の学園祭

「アデル、今日一日は僕たちと楽しもう?」


 ディランがにこやかに手を差し伸べてくれる。私はその手を取る。


 今日は学園祭だ、私達のクラスは魔女の館という名の喫茶店を開いていた。午前中と午後で交代制になっている。私は午前中担当なので一生懸命魔女の格好で給仕している。白魔女役なので白のフリルのついた魔女衣装を着てるのだが、中々可愛くて気に入っている。


「午後から、何を見て回るか決めた?私、自分が作った魔石をみんなに見てもらいたいなぁ」


 コピー人形を皆んなにも作って遊んで欲しいなと思っていた。


「アデルが何を作ったか気になりますわ!そんなに自信満々ならきっと面白いものなのね!」


「僕ら魔法部はマークの剣術部と合同で試合するから見に来てほしいな、ねっ、マーク」


「おう!!俺とディランは同じグループになったんだ!!もう負ける気がしないぜ!!優勝目指す!!」


 ディランとマークの試合があるなんて、絶対に見逃せないじゃないか!!二人のチームが優秀するようにと、密かに祈る。


(わたくし)はバレエ部なの……脇役なんだけど……もし良かったら見に来てくださる?」


「もちろん行くよー!!ねっ!二人とも!!」

「おう!!」「うん!!」


 午前中の給仕を終えた私達は、まず、私の魔石部を見に行く事になった。部活は人気がないが、体験型の魔石部は観にくる人が多いのだ。


 今回、展示する直前でアーロン先輩にコピー人形の魔石の説明をしたら、どういう術式を組んでいるのかしつこく聞かれた。世紀の大発明だとか言っているけど、魔法で作ったので、術式を聞かれても答えられない……だから秘密で通している。


「やぁ!アデレイド嬢!君のコピー人形、人気だよ!!」


 遠くから私を見つけたアーロン先輩がこちらに手を振って話しかけてくれる。


「あれを特許取らないなんて、君どうかしてるよ!!僕もあの術式知りたいし、なんとかならない?」


 アーロン先輩の目が怖い……魔石が関わると人が変わるみたいだ。


「そんなことよりも、今日の店番、先輩達に甘えてしまってすみません…………」


 実は、今回は私が落ち込んでると思い、魔石で物は作るが、店番は先輩達でやってくれる事になったのだ。現に、リフレッシュ出来ているのでありがたい。


「ふふ、そんな事は良いんだよ」


 優しく微笑まれる。私達はコピー人形の列に並び、順番が来るのを待った。


「これが自分そっくりの人形ができる魔石なのか??めちゃくちゃ楽しみだ!!」


 マークが首からネックレスをかけて魔石を触るすると目の前にマークと全く同じ人形が出来上がる。


「すげーーーーー」「「すごいーーー」」


 三人とも驚いてくれた。とっても嬉しい。


「こんなに凄いもの作れるアデル天才だよ!魔石の専門術師とかになれるんじゃないか?」


「マーク大袈裟だよ、今回たまたまうまく出来ただけだよ」


 それから、ディランとローズも人形を作り、人形と色々なポーズをとったりしながら楽しく時を過ごした。


 順番的に次はディランとマークの合同試合だ、私とローズは観客席に座って待機している。


「ディランとマーク優勝できるといいね」


「そうですわね、優勝したら何かお祝いでまた4人で出かけたいですわね」


 そうだね、と頷き、もし行くならここが良いあそこが良いなど、二人で楽しく話し合っていると、開始のラッパが鳴り響いた。


 大人数の対抗戦らしく大きく四つのチームに分かれており、色分けされている。赤、青、黄、緑でチーム分けされていた。ディランとマークは黄色の様だ。


 因みに王子も参加している。何故なら魔法部と剣術部掛け持ちで入っているからだ、王子は青組だった。


 最初は赤と青、次に黄と緑、最後に勝ったチームで対戦するらしい。


 赤と青の試合が始まり、激戦が繰り広げられている。観客席には魔法で流れ弾が当たらない様にバリアが貼られている。安全に観戦できるのだ。


 青組の勝利だった。奇しくも王子の組が勝ち登ってきた。次に黄と緑だ、もちろん黄色を応援する。


「ディランーーマーークーーー頑張れーーー!!」


 大きい声で応援をするとディランとマークがこちらを振り向き、手を振ってくれる。ローズは大きい声を出すのが恥ずかしいようで、観戦用の旗を一生懸命振って応援している。その姿が可愛くてパチリと写真をこっそり撮ってしまう。


 魔法と剣術の激しい戦いが始まる。マークの様に剣を持った人が基本アタッカーになっている。ディランの様に魔法を使う人はバリアでディフェンスをしつつ攻撃魔法やバフをかけていた。


 楽しく観戦していると、不意に背中がゾクリとした。嫌な予感がし、サーチをしてみると空の方から気配がした。空をジッと見つめると空に亀裂が入った。そこから現れたのは


 「…………魔人…………」


 一瞬にして空が曇り始め皆が異常を察知した時には遅かった。十人ほどの魔神が魔法を放ってきていた。アデレイドは咄嗟に会場全体をバリアで包んだ。アデレイドのバリアのおかげで魔人からの攻撃を防ぐ事ができた。


「アデレイド、貴方…………魔法使えるの?」


「光魔法だけしか使えないよ!」


 ローズは見てしまった。アデレイドが巨大なバリアを張って自分を含む皆を助けてくれた所を


 アデレイドは胸中穏やかではなかった、お兄様を攫った魔人こそ居ないが、魔人は魔人だ、全員殺さなければ気が済まないくらいには気が立っていた。


 我を忘れて攻撃魔法を放つ、1人の魔人に攻撃が当たり、魔人は苦しそうにしている。アデレイドの攻撃を見て他の生徒達も攻撃を開始する。


 しかし、魔人の圧倒的な魔法にこちら側は劣勢になっていた。そんな中、気の抜けた声がこの決闘場の場に鳴り響いた。


「はぁ…………面倒な敵がいるなぁ……さっさと片付けちゃおっか」


 ピンク色の髪を揺らしながら一瞬にして現れ、ぷかぷか空に浮かぶ先生、余裕な態度から、はたしてこの人数の魔人をやっつけられるのだろうか、その場にいた全員が思った。

 

「先生、なんとしても魔人の息の根止めましょう!!」


「物騒だなぁ〜まぁ……そうだね、やっちゃおっか」


 先生とは魔物を狩り始めてから、連携を取りながら魔物を狩っていた。そして、魔物を狩りすぎて私はCランクにまで冒険者として上り詰めていたのだった。


 私はロープで魔人を拘束する。また、新しく影分身が使える様になったので、影分身も使う。影分身はコピー人形の事だ。それを何体も同時に動かしているので影分身の様に使えるのである。


 取り逃した分は先生がフォローしてくれていた。そこに私と先生の攻撃を喰らわせる。10分と経たないうちに魔人を1人残して、殲滅した。


 残りの1人は瀕死状態だ。勿論お兄様の情報を聞き出す為に残しておいたのだ。


 魔人を倒し歓声があがる。私は魔法が使える事がバレてしまったが、それよりも大事な使命があるからもうどうでも良かった。


 私は早く尋問がしたくて仕方なかった。この盛り上がった会場では少なくとも尋問は出来ないだろう。そう思い、魔人を捕まえている先生を見つめる。


「さて、この後の処理は他の先生達に任せるよぉ、私達は用事があるので失礼するねぇ」


 そう言うと私の肩に手を置き、瞬間移動をしてくれた。移動先は魔法の授業で使う部屋だった。私は我慢ができず魔人に問いかけた。


「貴方達が連れ去った私のお兄様は今どこにいるの?無事なの?酷いことしてたら承知しないから!!早く吐きなさいこのゲスやろう」


 怒りに任せて捲し立てる。


 魔人はこちらを睨みつけて何も言わない。それがアデレイドの怒りをさらに上げていく。


「まぁまぁ、アデレイド嬢、落ち着いて、焦るといいことないよ?」


 と言うと、先生は一瞬で魔人に何かの魔法をかけた。


「さぁ、もう一度質問してみな」


 自信満々に言われ、もう一度質問をしてみた。


「わ、私のお兄様をどこにやったの?酷いことしてないでしょうね?」


「お前の…………兄は……魔王城に……い……る…………ひどい…………ことな……ど…………なにも……ない」


 さっきまで何も言わなかった魔人が辿々しく話し始めたのだ。先生はもしかしたら自白の魔法を使ったのかもしれない


「貴方達はなぜお兄様を攫ったの?」


「……………………お、俺たち………グッ……グァ……グッガァァァァア…………」


 すると、急に魔人は苦しみだし息を引き取った。


「もしかすると、今の質問の様な事を聞かれたら死ぬ様に魔法がかけられてたのかもしれないねぇ、死んでしまったものは仕方ないか」


 でもこれでお兄様の居場所はわかった。何故魔王城に連れて行かれたかは不明だが、酷いこともされていないらしい。少しだけ安心した。


「先生、私魔王城に行きます!!」


「ピシッ」おでこにデコピンされる


「君……突っ走りすぎじゃない?僕もついていってあげたいけど、今何故か魔物が増えててね、討伐に忙しいんだよ…………君は実力がついてきてるけど、君一人じゃ危ないよ?」


「それでもお兄様の事を考えると一日でも早く助けに行きたいんです!!」


 涙ぐみながら先生に抗議する。その瞳からは何があっても、絶対に助けに行くという意志が宿っていた。

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